パラジウムの神器
「悪霊退散!」
拓がパラジウムの神器の剣を一振りすると、禍々しい地縛霊が一刀両断されて、断末魔の叫び声をあげると、消え去った。
「すごいね、拓」
星花が固唾を飲んで見守っていた。
「これなら、私から離れて、独り立ちできるんじゃない?」
「それ、いやみか?」
「いいえ。事実だと思ってるわ」
がらん。
拓は剣をその辺に放り投げると、力いっぱい星花を抱きしめた。
「拓……、拓!何してるの!」
星花がもがこうとしたが、がっちりつかまってしまって身動きが取れなかった。
「星花、星花。2度とそんなこと言わないでくれ。お前がいなかったら俺は駄目になる」
「そんなこと」
「あるさ。絶対、お前から離れないからな。お前から離れたら最後だ」
「大袈裟なんだから……」
そう言いながら、星花は、もし拓がいなくなったら、自分こそどうなるだろうか、とぼんやり考えた。
拓に抱きすくまれて、肩越しに星空が見えた。オリオン座。白い息が空へ吸い込まれてゆく。
「わかった。もう、言わない」
「俺たちは運命共同体だ。どっちかが欠けても駄目だ」
「うん。うん、拓……」
星花の瞳から涙が流れた。
拓はやっと星花を離して、大丈夫か?、と心配した。
「大丈夫。……その剣、私にも使えるかな?」
「おう。練習しようぜ」
「うん」
神器があるだけで、かなり心強い。
銃刀法に抵触しないように、星史郎さんが手続きをしてくれていた。
免罪符を持ち歩いて慎重にやっていこう。
2人の絆がまた深まった。




