9034列車 これは・・・
智暉サイド
2022年2月9日。JR北海道千歳線千歳駅。
今日からJR北海道の鉄道線一部が復旧した。と言っても雪に埋まって掘り出せない車両が大多数存在する中での復旧となった。その為、電車は1時間に1回来れば良い方というレベルである。
千歳駅の改札口にもホームにも多くの人間が列を成していた。札幌方面行きの1番列車は8時12分発の快速「エアポート81号」。6両編成の列車にこれだけの人間が乗るとなると・・・。
少し期待して4号車の列に並ぶ。ここだけ他の車両よりも待っている人間が少ない。ここは指定席車両uシートが連結されている。もし、空いているところがあったら車掌に直接言って530円納めて座るか。
8時12分が近づくと少なかった4号車の乗車位置にも何人か並んできた。
千歳812→千歳線快速「エアポート81号」→札幌842
ただ乗り込んだところは車掌室がある場所とは反対側の扉だったようで、車内を通り抜けて車掌室まで行く。「エアポート」が千歳のホームを離れるのを待ってから、
智暉「あのすみません。uシート座りたいんですけど、何処なら空いてますか。」
と聞いたところ、
車掌「今空いているところは空いているので、座っていただいて構いませんよ。」
との返答があった。僕は車掌室から一番近い座席に腰を下ろした。
外の雪は多く「エアポート」も雪煙を上げ、110km/h前後のスピードを出している。普段なら120km/hで走るところであろうから少し遅いのが分かる。
恵庭に到着すると既に千歳でいっぱいの車内に更に人が乗り込んでくる。当然、一般車だけではもう乗客を乗せきることが出来ないのか、uシートの車内にも立ち客が出るようになってきた。北広島に止まれば、その混雑は更に悪化。隙間という隙間に立ち客が立った状態になっていた。状況が状況とは言えこれは酷い・・・。
札幌駅が近づいてくる。線路は雪に埋まっていて、今の車両数で回せる数だけホームを開けている程度なんだろう。
札幌に到着してから、「エアポート」はすぐに新千歳空港へ引き返していった。多少スピードが遅かったこともあって、遅れていたのかもしれない。ふとホームを見回してみる。こんな状況でもこの状況を喜び勇んで乗り込んでくる鉄道ファンっていうのはいるんだと感心する。まぁ、僕もその一員か・・・。
改札口に行くと、ここも千歳駅と同じ状況だった。殆どの人間が自分のスマホを見ながら、次に来る列車はどれかと探しているのかもしれない。一方で電光掲示板には一つも表示が無い。鉄道ファンの間ではいわゆる「逝っとけダイヤ(列車運行の全てが直前に決まる為、電光掲示板などで情報を出さない戦術)」という奴か。この時写真に撮っておけばよかったと後悔した。
今治と合流してから、ニッポンレンタカーに向かうことになる。
今治「ところで、レンタカーって結局プロボックスかなぁ。」
智暉「まぁ、聞いてみてプロボックスしかなかったらね。有ったらそっちに変えてみるっていうのもいいだろ。」
まっ、予約段階でハイエース、プロボックス、ベンツしか残ってないレンタカーに変えられるレンタカーは残っていなかった。
萌サイド
私はスーツに身を包んで、智萌を抱きかかえて、光の手を握る。
萌「梓ちゃん、大丈夫。」
梓はかなり眠そうな顔をしている。昨日の運動会はかなり遅くまで続いていたのかな。
梓「いやぁ・・・。だってしたと思ったら子供達のお世話に時間とられて、そっち終わらせてきたら大希がお待たせしたお仕置きとか言って・・・。全然眠れてないの。」
と全部話してくれた。その後、自分が何を言ったのか分かったらしくて、
梓「いっ・・・今のは全部忘れて。」
と言っていた。
大希「そういえば、あいつは今日帰ってくるのか。明日くらいまで休みだったと思ったけど。」
と聞かれる。
萌「いや、今日も帰ってこないよ。あっちでラッセル車見に行ってくるんだってさ。」
梓ちゃんの方は何って言いたかったんだろうけど、昨日の運動会が響いているのかそれ以上追求したくないって感じの反応。大希君の方は呆れてものもいえんって感じの反応を返してくる。
大希「梓ちゃん、今日も泊めるんなら泊めて良いよ。俺は今日夜勤でいないで。」
梓「良いの。」
大希「良いよ。一人でいるよりも二人でいた方が色々と助け合えるだろ。萌ちゃんの旦那は北海道ほっつき歩いてるみたいだからなぁ・・・。」
萌「ゴメン。でも流石に何日もお世話になるのは・・・。」
梓「私のことは気にしなくても良いから。育児は人を頼ること。今は頼れる旦那さんが旅行行ってるんだし。」
萌「・・・ホントゴメン。じゃあ、今晩もお世話になって良い。」
梓「良いって言ってるだに・・・。」
萌「じゃあ、お世話になります。光、智萌バイバイって。」
光・智萌「バイバイ。」
梓「あっ、可愛い。」
大希「梓ちゃん可愛い。」
梓「今は辞めて、気持ち悪い。」
大希「酷っ。」
萌「じゃあ、また夜はよろしくね。あっ、今日は私がご飯作ろうか。」
梓「・・・じゃ、宿泊料って事でいただいとくわ。多分、私はお昼落ちてるだろうし・・・。行ってらっしゃい。」
私は鳥峨家家族に送り出され、仕事に・・・先に光と智萌を保育園に預けないとね。
梓サイド
梓「・・・ッ。」
大希「梓ちゃん。」
梓「ここではまっ・・・。」