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9032列車 壊れ行くタウシュベツ

智暉(ともき)サイド

 三国峠の頂上を経由して、ひがし大雪ガイドセンターに戻ったのは8時35分を少し過ぎたくらいだった。

 さて、ここに着いてはじめにやらなければならないのはニッポンレンタカー帯広(おびひろ)支店に電話することである。8時には十勝三股(とかちみつまた)から幌加(ほろか)の間を走っている間になったものの辺りは電波が殆ど飛んでおらず安定した電話が出来ないと思った為だ。

 支店に電話したところレンタカーの延長はあっさりと出来た。今借りているレンタカーは札幌(さっぽろ)支店に22時までに、今治(いまばり)が返却することに決まった。

 そうこうしている間に今回のタウシュベツ川橋梁ツアーに参加する人たちが集まってきた。ここでスノーシューの付け方をはじめとする準備や糠平(ぬかびら)湖での注意事項を伝達される。その内何度も「湖内での落とし物はゴールデンウィークまで見つからない」と言っていた。まぁ、ここでモノを無くしたら絶望のどん底だろうからなぁ・・・。

 さて、準備が終わると2台のワゴン車に分乗して、五の沢橋梁駐車場へと向かう。ここでスノーシューを履き、森。そして、糠平(ぬかびら)湖へと足を進めていく。しかし・・・。

智暉(ともき)(暑い・・・。)

辺りは-10度くらいの筈である。それにもかかわらずかなり暑い。上下厚手の服とズボン。プラス肌着、タイツ。手には手袋とスキーとかで使うような防寒手袋を装備している。この装備は正直失敗だったと言わざるを得ない。これは普段の冬装備を少し強化するだけでよかっただろうなぁ。

NPO職員「皆様のご協力のおかげで早くタウシュベツ川橋梁まで着くことが出来ました。ここで40分ほど撮影の時間をとりたいと思います。ただ、このロープの中に入ったり、タウシュベツ川橋梁の上に乗ったり、くぐったりしないようにお願いします。」

と注意があった。

 雪の上にはロープを超えて橋に近づいている足跡もある為、問題行動をする人も中にいるんだなぁと残念になる。

 まぁ、それはそれとして・・・。

智暉(ともき)「来た甲斐あったな。」

前に横たわる旧士幌線(しほろせん)タウシュベツ川橋梁を見る。橋の5分の1くらいが氷の上に顔を覗かせている。橋は十勝三股(とかちみつまた)の方へ向かって上り坂になっている為、十勝三股(とかちみつまた)の方が見える範囲が多い。そして糠平(ぬかびら)の方はまだようやく氷の上に出てきたタイミングのようで、氷が砕けているのが見えるだけで橋の姿を見ることは出来ない。橋の上には30cmはある分厚い氷がある。糠平(ぬかびら)は最低気温が-20度を記録する日もあるような場所だ。そして、昼間は気温が上がっても-10度くらい。それくらいの低温が続くだけであれだけの氷が出来るのか。

今治(いまばり)「あれだけ分厚い氷突き破ってくるんだから、橋も劣化するわな。」

智暉(ともき)「そりゃそうだろ・・・。電力会社だってタウシュベツ川橋梁の整備はしないって言ってるからな。」

今治(いまばり)「・・・整備はしてもこういう環境じゃあなぁ・・・。」

智暉(ともき)「まぁ、整備するだけ無駄だよね。」

 もちろん、整備されていたりタウシュベツ川橋梁みたいに水の中に沈まないなら、他の残っている士幌線(しほろせん)のアーチ橋と同じでコンクリが剥がれ落ちたりはしていないだろう。ただ、それはタウシュベツ川橋梁としていいのかとは思うな・・・。

 40分の撮影時間はあっという間に過ぎていった。橋から離れる前NPOの職員さんが言った。

「繋がっているのは今シーズンが最後かもしれません。今のタウシュベツ川橋梁の姿、写真撮っておいた方が良いですよ。」


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