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9030列車 暖機運転

智暉(ともき)サイド

 2022年2月8日。2時40分のホテルの駐車場に車のエンジンが響く。しかし、まだエンジンは暖まらない。水温計はまだ低温を示す青色のランプが付いている。もうエンジン点火して10分くらい経っているはずなのだが・・・。

今治(いまばり)「おはよう。」

声をかけた今治(いまばり)は大きい荷物を抱えている。今日も千歳(ちとせ)のホテルに泊まる僕と違い、今治(いまばり)札幌(さっぽろ)まで行ってしまう。千歳(ちとせ)のホテルにお世話になるのは昨日から今日にかけてだけなので、全部の荷物を持ち出さなければならないのだ。

智暉(ともき)「オハァ・・・。」

今治(いまばり)「どうした。」

智暉(ともき)「ヤベぇよ。」

そう言いながら、僕はレンタカーのワイパーを握った。アームは普通に動くのだが、ゴムの部分は完全に凍り、上げた状態のまま凍っている。本来なら窓の曲線に合せて曲がってくれるが、全く曲がらない為ワイパーはしばらく全く使い物にならないだろう。この車の鍵を開けた時も閉じたドアミラーが「バキバキ」と音を立てて展開されたことに面食らっていた。ドアも車から引きはがすという表現が適切なような開け方でなければ開かなかった。-15度は車も凍る世界らしい。

 2時56分。ホテルを発つ。全く雪のない駐車場から厚い雪が積もる道路へと繰り出す。

駐車場を右に曲がり、最初の交差点を左に曲がる。大きく積み上がった雪は自分たちの視界を奪う。3時であれば歩行者はまずいないと思いたいが、こういう所から飛び出してくる可能性を考えなければならない。

智暉(ともき)「雪多いなぁ。」

今治(いまばり)「俺、雪道走るの今日が初めてなんだよなぁ。」

智暉(ともき)「マジで・・・。不安になるようなこと今言うなよ。」

今治(いまばり)「わりぃ・・・。」

智暉(ともき)「まぁ、慎重に走ってれば吹っ飛ぶことはないよ。周りの車に合せて調子乗って走らなきゃ、問題ないさ。」

僕はこれが事実だと思っている。

 眠った千歳(ちとせ)の街を外れ、道央圏連絡道路という高規格道路を通り千歳(ちとせ)東インターから道東道へと入る。この先、およそ4時間30分かけて糠平(ぬかびら)を目指す。

 しばらく道東道を走ると左下の辺りに何か建物が見えた。細長そうな建物・・・。

智暉(ともき)石勝線(せきしょうせん)かぁ・・・。南千歳(みなみちとせ)から新夕張(しんゆうばり)の間が終日ダメらしいんだよなぁ・・・。」

正直さっき見えた建物が本当に石勝線(せきしょうせん)のものであるかどうかは分からない。

今治(いまばり)「畜生めー。」

智暉(ともき)「まぁ、それはそうともし明日もJR北海道の特急が動かなかったら、旭川(あさひかわ)に宗谷ラッセルでも見に行かない。」

今治(いまばり)「・・・いやぁ、流石に明日になったら大丈夫だろ・・・。」

智暉(ともき)「まぁ、大丈夫だとは思うけどもしかしたらの話よ。それにレンタカーも取れないとできないからな。」

今治(いまばり)「・・・そうだな。じゃあ、もしレンタカーが取れたらね。」


233解錠

233ミラー展開バキバキ音いう

234エンジン点火

256出発

256エンジン水温計青ランプ消灯


これが-15℃の世界

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