9037列車 晩ご飯
萌サイド
萌「今日もお邪魔します。」
光・智萌「おだまします。」
私はそう言って、家の玄関を開けた。
陽斗「おばさんお帰り。」
おば・・・。
萌「アレ陽斗君、ママは。」
陽斗「寝てる。」
ああ・・・。「落ちてるかもしれないし」って言ってたもんねぇ。だが、玄関の辺りが騒がしくなったことに気付いたのか、目をこすりながら
梓「ああ、いらっしゃい。入って。」
奥の部屋からひょこっと顔を出していった。と・・・朝見送ってた時と服が変わっている。運動会には昼も興じていたのか・・・。
萌「梓。ご飯作るけど、冷蔵庫のモノ勝手に使っちゃ悪いと思ったから、いろいろ買ってきたんだけど。」
梓「えっ、そこまでしてくれたの。別に冷蔵庫のモノ使ってくれていいだに。・・・でも、買ってきてくれたんだから良いか。光君と智萌ちゃんこっちにおいで。私と一緒に遊ぼう。」
陽斗「えぇ、ママ。僕も遊ぶ。」
梓「はいはい。陽君もいらっしゃい。」
陽斗「「はい」は一回だよ。」
普段自分たちが言っている言葉を返されるとは。
萌「これは一本とられたんじゃない。」
梓「・・・ハハハ・・・。」
陽斗「ママ。怒られた時は。」
梓「ごめんなさい。」
陽斗「いい子、いい子。」
梓「はぅ。可愛い。」
萌「ねぇ、ねぇ。陽斗君。晩ご飯は私が作るんだけどカレーで良い。」
陽斗「うん。」
梓「私も少しは手伝おうか。」
萌「良いよ。梓は疲れてるでしょ。夜からの延長戦もしてたみたいだし。」
梓「私は別にする気は無かったのよ。なのに大希の奴、萌ちゃんが出掛けてすぐに色んな所触ってくるんだもん・・・。迷惑ってくらい私の体が好きなんだから・・・。」
そこまで言って、自分が何を口走ったのか分かったようで「今のは忘れるのよ、陽君。」と言い聞かせていたが、「パパはママの体が好きってどういう意味。パパはママが好きなんじゃないの」と聞いていた。効果はあまりなかったらしい。
カレーを作って、皆で食卓を囲む。ナガシィも大希君も夜勤のある仕事柄あまりこういう機会が少ない。私も梓も「こういうのも楽しいね。」と呟く。
萌「陽斗君、美味しい。」
陽斗「うん、美味しい。でも、ママのカレーの方が美味しい。」
梓「アハ・・・。一言余計だなぁ・・・嬉しいけど。・・・ところでナガシィ君から連絡あった。」
萌「ああ。有ったよ。旭川の方行ったってね。今日もJR動いてないみたいで車で移動してたみたいだけど。」
梓「へぇ・・・。今日もねぇ・・・。こんな時期に北海道行くのも考え物ねぇ・・・。」
萌「うん。でも、今回は飛行機で行ったから北海道に上陸できたんだし・・・。新幹線で行ってたら新函館北斗で足止め喰らってたからねぇ・・・。」
梓「・・・そういうところはよく分かんないけど、函館って言ったら北海道の南の端じゃん・・・。帯広とか旭川に行こうと思ったら何キロ車走らせれば良いんだか。」
萌「千歳まで行くだけで250キロくらいは走らないとダメだからねぇ・・・。今回は飛行機に救われてるようなモノよ。」
梓「ていうか、ナガシィ君って生粋の鉄オタだと思ってたけど飛行機にも乗るのね。北海道まで新幹線で行くような人たちだから、今回も新幹線で行ってるのかと思ってたわ。」
萌「・・・浮気よ、浮気。」
梓「電車から飛行機に。ハハハ。」
萌「・・・あぁ・・・。私も行きたかったなぁ・・・。」
梓「今度はナガシィ君に子供達任せて行ってくれば。そのくらいの我が儘は聞いてくれるんじゃない。」
萌「うーん・・・。聞いてくれるとは思うけど、ナガシィってあんまり子育てじゃあ信用してないしなぁ・・・。」
梓「ナガシィ君可哀想・・・。」
萌「いやぁ・・・。ナガシィもその辺り認めちゃってるから・・・だからあんまり子供をほっぽり出してまでどっかに行こうとは思えないのよねぇ・・・。」
梓「・・・自己犠牲もしすぎないようにね。」
萌「うん。分かってる・・・。帰ってきたら、いっぱいこき使ってあげようと思ってるんだけど。」
梓「やり過ぎて愛想尽かされないようにね。」
萌「梓と同じで沢山色仕掛け使ってやりますよぉだ。」
梓「ッ。」
陽斗「ママ。色仕掛けって何。」
梓「まだ知らなくて良いの。」