9036列車 縁の下の力持ち
智暉サイド
旭川駅前の駐車場から車を出し、国道40号線を走らせる。塩狩駅があるのは宗谷本線。稚内方面に延びる鉄路の為、そちらに行く道を走るのだ。
智暉「あっ・・・。」
途中、線路をオーバークロスするところである光景を見た。これは今日も普通に宗谷ラッセルは動くらしい。
峠の辺りは黒い雲が立ちこめていた。山登りにかかったところで雪が降り始めた。峠の頂上を越えて下りにさしかかってしばらく走ると、カーナビは右に曲がるように言ってきた。路面が全く見えていない道が奥へ続いていた。この先に目的地となる宗谷本線塩狩駅があるらしい。
駐車場っぽく雪が取り除かれた場所に車を置いて、塩狩駅までは歩いて向かう。下の雪には足跡も車のタイヤ痕もない。今日の塩狩駅には誰も行ってないらしい。
智暉・今治「ほう。」
行き止まりにそれはあった。周囲は木に囲まれていて、塩狩駅の所だけ開けているような所だった。
今治「ここにラッセルはいつくらいにやって来るの。」
智暉「ああ。15時19分くらいらしい。それから長いことここで止まってるみたいだで。」
今治「成る程なぁ・・・。」
元々、ここで宗谷ラッセルをとるつもりはなかったのだ。今日、JR北海道の特急が普通に動くのなら、特急「ライラック5号」に乗って旭川駅まで来て、レンタカーで名寄の北にある撮影地に行く予定だったからなぁ・・・。
今治「でも、まだ早くね。」
時間は14時40分を過ぎたくらいだ。このまま外で待っていても30分以上は時間を潰さないといけない。
智暉「車戻って、15分くらいになるまで待ってるか。」
そうせざるを得ない。
15時15分になったところで僕達は再び塩狩駅に行った。駅についてすぐに「まもなく列車が到着します、通路を横断しないでください」とのアナウンスが流れた。
智暉「ありがとう、宗谷ラッセル。」
声が漏れた。
15時18分。4灯のライトをつけたオレンジ色の車両が旭川方面に現れた。その車両はゆっくりと駅舎より遠いホームに入っていった。両端には左右両方に雪を除けられるように雪かきの付いたラッセルヘッドが連結され、真ん中には左右非対称の機関車が入り込む。DE15形2521号機。真冬の鉄路を支える除雪車の一つだ。
ホームの端まで走り、ようやっと止まった。写真を撮る為にホームの先端まで行きたいところでは有るが、途中から全く除雪されていない為、反対側の撮影だけに止めざるを得ない。
今治「橋のたもとで撮影って言うのもいいけど、こうやってゆっくり撮影するって言うのもいいなぁ。」
智暉「・・・あんまり意識したことなかったけど、ラッセルって結構デカいな。」
今治「まぁ、ラッセルだからな。」
智暉「次は名寄かなぁ・・・。」
その頃にはキヤ291系っていう新しい保線用機械に変わっているだろうなぁ・・・。
ラッセル車を見送った後、比布ジャンクションから道央道に入り、札幌を目指す。札幌インターを18時前に降りることは出来たが、激しい渋滞に巻き込まれることになり、裏道を通って札幌支店まで向かうことになった。
札幌2004→千歳線快速「エアポート200号」→千歳2035




