両片想いなJK百合
結奈
視点
茶髪ショート
17
紗枝
友人
淡いピンクセミロング
17
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「あたし、神崎さんに告られたんだ」
まだ夕日と呼ぶには明る過ぎる太陽が、丁度紗枝の横顔と重なった。放課後の教室は私たち2人を除いて誰もいない。
「え…?神崎って…あの三組の?でも神崎って女子じゃん…」
ーーー頭が真っ白になった
動揺を隠せず、声音を一定に保つことで精一杯だった私を見つめて紗枝は言葉を続ける。
「うん…実は…この前の修学旅行で偶然神崎さんと話してさ…それで…今まで黙っていたけど私さ…女の子が好きなんだよね…」
「ごめん…引くかな…」と、紗枝は、なんだか申し訳なさそうな顔でスカートをシワになるくらい強く握った。
「それでその告白受けようかなって」
言葉がズキンと私の胸を刺した。
深く、熱く。
紗枝は自分の言葉を頭で確認するように唇を震わせ、目線のやり場を失ったのか風に押されてゆらゆらと蠢くカーテンを見ている。
「どうして…?」
何を言えば正解なのか17年培った知識の海を探そうとフル稼働させた脳がキャパを超えてその中で一番の悪手が私の口から零れかける。
「えっ?ああ…私たちの間に隠しごとは無しじゃん?だから結奈には伝えておこうと思って…」
なぜ急にカミングアウトしたのか、そう私が疑問に思ったと勘違いした紗枝は言葉を続ける。
違う…そういう意味じゃない。
「ごめんね?急に変なこと言って………まだ友達でいてくれる…かな?」
明らかに怯えているのが分かる不格好な笑顔で紗枝は俯いたままじっとしている私を不安げに見つめた。
「…結奈?ーーー
ダメだ。
ダメだダメだ。
この想いは心の奥にあれば十分なのに…!
「どうして!私じゃダメなの!」
自分が思っていた以上の声量が出た。
どうしてーーーーー
紗枝とは小学校からずっと一緒だった。
給食も、昼休みも、下校も、部活も。
週末はいつもお泊まり会をしていたし、
カラオケだってショッピングだってファミレスだってどこに行くにも一緒だったのに、
それなのに
「私でいいじゃん!紗枝のことこんなに想っている!クラスの男子よりも神崎よりもずっとずっと大事に思っているのは私なのに!」
これが恋だと気づいてから溜め込んでいた想いが雪崩のように押し寄せてくる。
「紗枝は男の子が好きだからって、私とは違うからって、蓋をしてたのに!」
「それなのに…それなのにそれなのに!」
「どうして…私じゃダメなの…」
なんとか繋ぎ止めていた瞼が決壊し涙が止まらなくなった。勇気を持ってわたしに伝えてくれた嬉しさよりも私じゃダメだったのかという気持ちが勝ってしまった。紗枝は何も悪くないって分かってるのに、言葉が次から次へと口を滑っていく。
視界がぼやけて紗枝の顔は見えないが多分呆れてるだろう。それか戸惑っているかだ。どちらにせよ「終わった」と、そう確信が持てた。今まで溜め込んでいた想いを吐き出せたんだ。これでようやく諦めがつくとそう思った。
どんな反応だったとしても私はそれを受け入れる…たとえ絶交されたとしても。それほどのことを言ってしまったのだから。
ゆっくり…と目を開く、
「へ?」
涙を裾で拭い、もう一度目を開いた。
明るくなった視界に映る光景に理解が追いつかなかった。
私がずっと恋焦がれていた少女が鼻をすすりながら目を赤く腫らしていた。
「紗枝なんで泣い…「なんでもっと早くに言ってくれなかったの!」
咄嗟に出た言葉が遮られる。
私は訳も分からないまま震えた声で怒鳴られた。
「なんでって…」
理由は伝えたはずだ。
私と紗枝は違う。
絶対に交われないんだ。
悲しいけど
「あたしだって結奈のこと大好きなのに…!」
そこからはさっきと攻守逆転した。
「結奈は恋愛とか興味ないし、女の子同士なんてもってのほかだと思って!」
拙くぽつぽつと言葉を紡ぐ。しだいに声も
頬をつたう涙もどんどん大きくなっていき
「だから神崎さんからの告白は好都合だと
思った!告白を受けて結奈のことを諦めようとした!」
「それなのに…それなのに!」
「ずるいよぉ…」
途中までの力強い声がみるみるうちに小さくなり最後は糸のようなか細い声で、しかし確かにそう言った。
ひっぐ、ひっぐと声を詰まらせて泣く紗枝の姿を見てあっけらかんとしていた脳がこんがらがっていた紐を解いていく。
私は今、夢を見ているのだろうか。
届かない想いを伝えただけでなく、
その想いを受け取って貰えた。
ふっ…と力が抜けた…
自分へ向けられた好意に少し顔が熱くなるのを感じた。私も紗枝もまだ嗚咽が抜けきっていなく
すんすんと鼻をすする音が絶えない。そして数十秒くらい経ちようやく口を開く。
「はは…私が悩んだこの6年間はなんだったんだ」
「こっちのセリフ!」
紗枝も力が抜けたのか、ふわっと口元が緩んだ。
「明日ごめんなさいってちゃんと言わなきゃ…」
「そうだね神崎には悪いけど」
紗枝は少し困った顔で髪を耳にかけた。
その仕草がいつもの百倍可愛く映った。
(いつも可愛いけど)
そして紗枝と私はお互いの目を見つめて
にこっと笑った。
「これからよろしくね」
「うん」
「「恋人として」」
ふたつの椅子を引く軋んだ音が。
校庭の笑い声が。
時計の進む音が。
何も聞こえなかった。
あるのは静寂だけ
ーーー机に身を乗り出し唇を重ねた。
深夜にぱっと思いついてささっと書いたので支離滅裂かも知れません。ごめんね。ジャンル問わず両片想い好きです。