だるまさんがころした
大輔…男
鬼島…不問
乃亜…女
佐藤、男A…男
鈴木、女A…女
大輔N
「軽率…軽率だった…あの時の俺に説教したい…こんな遊びに参加した事を…絶対に生き残ってやる」
鬼島「本日はお集り頂きまして誠にありがとうございます、私、鬼島と申します」
乃亜「このメール本当なんでしょうね」
鬼島「ええ、勿論」
乃亜「なら早く始めましょ」
佐藤「そうだ、早くやろーぜ!んな、おいしい話のんびり待ってらんねーよ!」
鈴木「そうよ、こんな辺鄙なところの倉庫まで来たんだから、早くやって、終わらせて早くもの寄越して返しなさいよー」
大輔「本当に乃亜に送ったこれは合ってるんだな?だるまさんがころんだを遊んで鬼にならずにクリアしたら1000万くれるってのは」
鬼島「はい、勿論」
大輔「そうか、ならさっさと始めてくれ」
鬼島「はい、他の参加者の方もいらっしゃいますので簡単に説明させて頂きます、先ずはこの遊びの鬼となる者に登場してもらいます」
大輔「な、なんだ!?」
乃亜「ひっ!バケモノ!」
佐藤「おいおいビビりすぎだろーお前ら、作りもんだよ作りもん、特殊メイクだろ?すげーけど!」
鈴木「演出ヤバって感じ」
大輔「あ、ああそうだよな、本物の鬼なわけないもんな」
鬼島「先ずは倉庫の端からスタートです、私が初めの一歩と言ったら一歩進みます、だるまさんがころんだと言うとこの鬼が振り返る、振り返った後5秒間は決して動いてはいけない、動けば捕虜となります、皆さんは鬼が背を向けてるうちに近づきタッチする、その後皆さんは逃げます、タッチされた鬼がストップと言う今回は私が担当します、ストップがかかったら止まって頂き、鬼から1番遠い人が歩数を決めます、鬼は決めた歩数分近づく事ができ、近づかれ触られた人は脱落、つまり死亡です…ここまで一回です」
大輔「普通のだるまさんがころんだと殆ど変わらないな」
乃亜「そうね」
佐藤「余裕じゃね」
鈴木「まじそれ」
鬼島「次の回は1番目に捕虜になった人が鬼となります、これを繰り返し最終的に1人生き残った方が優勝、賞金1000万円獲得できます」
大輔「オッケー、わかった」
佐藤「余裕余裕」
鈴木「まぁ私がナンバーワンって感じでいけると思う」
乃亜「はいはい、悪いけど私達が貰うから」
鬼島「ふふ、気合いが入ってますね、他の参加の皆様も…お待たせしました、それでは鬼から離れてください、距離は任せます」
佐藤「うーい!」
鈴木「はいはーい」
大輔「行こう乃亜」
乃亜「うん」
大輔N
「この時、少しでも怪しんでいれば何か変わったろうか…彼女の乃亜、幼馴染の佐藤、その彼女の鈴木…この3人に来たメールに…」
鬼島「さて皆様、移動できましたね、では参ります、はじめの一歩」
大輔「よっ」
乃亜「ほっ」
佐藤「一歩っと」
鈴木「こんなもんっと」
鬼島「だーるーまーさんが…ころんだ」
鈴木「ちょっ!待って!えっ!いきなり片足立ちなんだけど!」
佐藤「里奈ちゃんザマァ」
鈴木「翔太ぁ!むかつくぅー」
大輔「はは」
乃亜「5秒耐えればいいから」
鈴木「私ヒール!ちょっ!無理!うわっ!」
鬼島「鈴木里奈さんアウトです、こちらへどうぞ」
鈴木「ちぇっ…まぁ、まだ始まったばっかだし鬼になってもなんとかなるっしょ、脱落じゃないし」
鬼島「だといいですね」
鈴木「???」
鬼島「次行きます、だるまさんがーころんーだ」
佐藤「ヨユーヨユー、我微動だにせず!」
乃亜「佐藤君調子乗りすぎ」
大輔「引くくらいになぁー」
佐藤「あーそんな目で見ないで」
鬼島「田中佳子さん、宮崎隼人さん、アウトです、こちらへ…皆様、中々に優秀ですね、では50名お集り頂いて、3名しか動いてない…ふふ、続けましょう、だーるーまーさーんーがーこーろーんーだ」
大輔「ふぅ…大分近づけたな」
佐藤「あそこに居るおっちゃんとかもうタッチできそうじゃね?」
乃亜「ならあの人に任せて、もう動かないほうがいいかも」
大輔「確かに…」
佐藤「あったまいいー」
大輔「序盤に無理する必要ないもんな、何回もやるんだし」
乃亜「それに1番遠い人が鬼の歩数決められるんだよね」
大輔「そうだな、今は逃げた方がいいか」
佐藤「だな」
鬼島「だるまさんがころんだ………ストップ!さてさて1番鬼から遠いのは…佐藤翔太さんですね、では鬼が行動できる歩数を決めてください」
佐藤「お、おう」
大輔「俺たちに届かない歩数で頼むぞ」
乃亜「他の人なるべく脱落できるくらいで私達生きれる感じ」
佐藤「んーと…こんくらいかな…10歩!」
鬼島「かしこまりました、それでは鬼、10歩行動してください」
大輔N
「次の瞬間、僕らは目を疑った」
佐藤「は?」
大輔「嘘だろ」
乃亜「きゃ、きゃああああ!!」
大輔N
「鬼が触れた相手の腹をその腕で貫いた」
鬼島「松田潤さん脱落」
大輔「鬼は一歩ずつ進み触れられる人間の命を次々と奪っていった」
大輔「な、なんなんだよこれ!!」
佐藤「ありえねぇ!ありえねぇよ!」
乃亜「…ひっく…うう」
鬼島「だーるまさんがこーろした…なんちゃって…ふふ…1回目終了…最初の捕虜となった鈴木里奈さん貴方には鬼になってもらいます。鬼、やれ」
鈴木「い、嫌よ!か、顔近づけないで!私は彼氏いんだから!んっ!んんぅー!!」
佐藤「里奈ぁ!何しやがんだ!俺の女だぞ!」
鬼島「鬼の接吻受けし者、次の鬼となりて、古き鬼を喰らう」
鈴木「え?」
鬼島「すぐ分かる」
鈴木「ぅぐっ!うがぁっ!か、身体が…うぅ…あっ!ぐぁああああ!!」
大輔「身体が変わってく?」
乃亜「里奈ちゃん?」
佐藤「おい、嘘だろ?やめてくれよ」
鈴木「いやぁああああ!!」
佐藤「里奈ぁああ!!」
鬼島「さぁ次の回の鬼が出来た、新しい鬼が古い鬼を喰うから少し休憩タイムだ」
鈴木「ぐぁあ!あぐっ!あぐあぐっ!」
佐藤「おい、やめろよ、里奈」
大輔「佐藤…」
乃亜「酷い」
鬼島「この時間を使い、残り人数の集計といこうか、ふむ…ふむふむ…大分減ったね…佐藤翔太君の10歩と言う選択で半分減ったね…残り25名だ」
男A「ぎゃああ!!」
鬼島「おや、食欲旺盛な子だ…捕虜の1人を食ってしまうとは…残り24名」
女A「冗談じゃないわ!私は降りさせてもらうわ、そして、これを起訴してあげるわ!」
鬼島「脱落でいいということで?」
女A「ええそうよ!」
鬼島「そうですか…ばんっ」
女A「……」
鬼島「脱落…つまり死亡と説明したじゃないですか?貴方、いい大学出てるのに頭悪いんですね…残り23名…さて、続けますよ?」
乃亜「ひっ!」
大輔「大丈夫だ、乃亜…生き残ろう」
乃亜「大輔」
佐藤「ひゅー熱いね…お二人さん、こちとら…うぅ…ちっきしょー!!」
大輔「わ、悪い」
佐藤「いいよ」
乃亜「ごめんね」
佐藤「……」
鬼島「次を始めます、各自、スタート位置へ……はじめの一歩」
乃亜「みんな、一歩が少ないね」
大輔「だろうな」
佐藤「大輔、耳かせ…」
大輔「は?なんでそんな事!」
佐藤「いいから!!絶対やれ!」
大輔「わかったよ」
鬼島「だるまさんがー」
佐藤「うぉおおお」
乃亜「佐藤君!?待って!」
鬼島「ころんだ」
佐藤「うっ!」
鬼島「…全員セーフ」
佐藤「ふぅ」
乃亜「佐藤君、何してんの!?」
佐藤「ああ、俺がタッチしてやろうかなって」
乃亜「はぁ?何言って!」
鬼島「だるまさんがこーろーんだ」
佐藤「ふぅ…後もうちょい」
乃亜「何馬鹿な事してるの!死んじゃうよ!」
佐藤「うるせーよ、クソビッチ」
乃亜「え?」
佐藤「大輔!絶対そっから動くなよ!」
乃亜「え?何言って」
鬼島「だるまさんがころんだ」
佐藤「おお、今回早いな、おい!あー鬼島さん?」
鬼島「ちょっとだけ言いたいことあるからいいすか?」
佐藤「大輔!乃亜はな、他の男いっぱい居るクソビッチ野郎だった!お前の事1番とかほざきながら他にも男作ってるクソ女だよ」
大輔「こんな時に何言ってんだよ!」
佐藤「こんな時だからだろ!乃亜は俺も誘ってきたんだ、まぁ断ったけどな!里奈が居るし、もう居ねーけどさ…はは…鬼島さん、再開だ、長めに頼むぜ」
鬼島「…だーるーまーさーんーがーこーろーんー」
佐藤「タッチ!すぐ止めて!」
鬼島「ストップ」
佐藤「大輔やれよ」
大輔「無理に決まってんだろ、お前死ぬぞ!」
佐藤「いいんだよ、里奈が居ない世界生き残っても仕方ねぇ、それにこれってどのみち生き残れて1人って感じ、鬼島さん、1人になるまでって言ってたし」
大輔「そうだけど!」
佐藤「今がチャンスだ、その女はお前を裏切る、やるなら今だ」
乃亜「嘘よ!佐藤君!自暴自棄にならないで!」
鬼島「ふふ…佐藤翔太君、頑張った君への褒美として友人に少し良い物を見せてあげよう、これはつい1週間前の事だ」
佐藤「よう、なんだよ、呼び出しなんて」
乃亜「ねぇ、佐藤君、私の事どう思う?」
佐藤「んー友達」
乃亜「それにセックスってつけてあげようか?大輔物足りないし他の男も漁るの飽きたし手近な佐藤君が良いかなって!イケメンだし、里奈にも飽きたでしょ?私の方が全然可愛いし、あの子にできないことできるよ?」
大輔「これは…」
乃亜「何よこれ!こんなのでっち上げに」
佐藤「な訳ねーよ!本当だ!こーゆー女だよ!これが真実だ!俺はな里奈が良いんだよ!飽きるわけねーだろ!クソビッチ!!里奈が全てなんだよ!」
乃亜「そんな嘘よ!」
佐藤「嘘吐きはお前だろーが!」
大輔「ごめんな…」
佐藤「いいよ、やれよ大輔…親友だろ?」
乃亜「嘘よね、大輔君?一歩とかよね?死ぬのは佐藤だけでいいじ」
大輔「35歩」
乃亜「嘘、そんなに歩かせたらみんな死んじゃう!」
大輔「いいんだよ、関係ない人巻き込むの嫌だけど…乃亜…死んでくれ」
鬼島「鬼、35歩行動をしなさい」
佐藤「大輔、生きて帰れよ…がふっ!」
大輔「翔太!!」
鬼島「ふふ…ひとーり…2人、3人、どんどん消えますね…」
大輔「ごめん、ごめん…全部こいつがいけないんだ」
鬼島「10、11」
乃亜「いや、近づいて来ないで」
鬼島「19」
大輔「あいつは俺を裏切ったんだ」
鬼島「20、21」
大輔「殺すべきだ」
乃亜「嫌!やめて!あっちいってよ!私まだ死にたくない!」
大輔「死ね」
乃亜「あがっ!なん…で…」
大輔「はは、ははは…」
鬼島「残り1名、では最後の回を始めましょう、まさか3回目で最後とは思いもしませんでした」
大輔「え?これで終わりじゃ」
鬼島「最後に1人生き残った方がって言いましたよね、まだ終わってないですよ、この次を生き残らないとダメです、ではスタート位置へ」
大輔「…くそっ」
鬼島「それでは、はじめの一歩」
大輔「……」
鬼島「だーるーまーさーんーがー………」
大輔「??」
鬼島「いいんですよ、近づいて…」
大輔「あ、ああ」
鬼島「こー」
大輔「なんだ?こんなゆっくりだと1回目で」
鬼島「ろー」
大輔「タッチしてもいいんだよな」
鬼島「んー…タッチしないんですか?」
大輔「…タッチ」
鬼島「逃げないんですか?ストップはまだかけてないですよ?」
大輔「あ、ああ…なんだ何が目的なんだ…」
鬼島「ストップ」
大輔「……」
鬼島「入間大輔君、すまないね、こんな事に巻き込んでしまって…よかったよ、最後まで生き残ってくれて…君は参加すべき人間ではなかった、私が呼んだのは人としての道理を外した者達ばかりだ、君の彼女、久川乃亜は浮気症のクソビッチ、鈴木里奈に関してはドラッグ中毒、佐藤翔太君は最後は素晴らしかったが子供の頃は酷かったからね、他にも殺害や窃盗諸々と色々と死んだ方がいい奴らばかりだった…君を除いてね…だけど君はこの遊びで間接的にだが22名に死を与えてる、友人、恋人含めた22名…」
大輔「そ、そうするしかなかったんだ!!」
鬼島「そうだね、そうするしかない、生きたいから…我が身が一番」
大輔「そんなこと」
鬼島「あるだろう…恨み嫉みなんか関係ない、理不尽な事で死ねるなんて人間居ないんだ、そう狂ってもない限り」
大輔「……」
鬼島「理不尽な事で人を殺して生きてける奴も居ないけどね…狂ってない限り…さぁ何歩にする?」
大輔「……ふふ…ふははは…っははは…死にたくない…狂ってていい…一歩だ」
鬼島「おめでとう、君の勝ちだ…鬼、自害しろ」
大輔N
「そう言われた後、鬼は自らの身体を貫き、死んだ…鬼の目には涙が溜まってたように見えた…俺は笑った…何故なら生き延びたんだから」
大輔「ふっ…ふふ…はは、やった、生き延びた…あ、1000万…」
鬼島「あげますよ、死銭として…あの世でお使いください」
大輔「な、何をする気だ、そんな刀なんて持って!」
鬼島「斬るだけですよ、狂った貴方を」
大輔「や、やめろ」
鬼島「ふん!」
大輔「ひぃっ!」
鬼島「おや、外れましたか」
大輔「く、来るなぁ!」
鬼島「逃げなくていいじゃないですか…面倒ですねぇ…少し撃ちましょう…」
大輔「うぐっ!」
鬼島「ばんっ…これで動けないでしょう…手足いただきます、はっ!」
大輔「……ぎ、ぎゃあああああ!!!!」
鬼島「見事なだるま姿ですね、まだ少し血化粧が足りませんが」
大輔「かはっ!あがっ!ぎゃああ!」
鬼島「血だるま完成…さて役目を終えた、だるまのお焚き上げと参りましょう…ふふ…このガソリンがよく燃え天に昇らせてくれるでしょう…点火…くっ…熱い…息ができませんね、火だるま…ふふ…逝きましょう…貴方と私、死者を背負い、血だるま火だるま焚き上げて…天へと…黒く塗りつぶされた両の眼の闇を抱いて」