7日目:天の川の伝説のその脇で。
7.レニィさんには「天の川は渡れない」で始まり、「それが少しくすぐったかった」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば6ツイート(840字程度)でお願いします。
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天の川は渡れない。
それは時期じゃないからとか、川が荒れているからとか、橋渡しのカササギが居ないからとか、そんな理由もあるけれど。
一番の理由は、私は織姫様ではないということ。
二番目は、私はあくまで織姫様の沢山いる侍女の一人でしかないということ。
私の仕事はあくまで、洗濯女だもの。
織姫様は、機織りを生業とされているとても美しい仙女様だ。
織姫様が織った羽衣がなければ、他の仙女達が困ってしまうから、織姫様は、年に一度許された日以外は牛飼いの男から離れて、機織りをしなければならない。
織姫様は機織りの仕事で忙しくて、他のことはお一人だけではできないのだ。
だから他のお仕事をするために、私のような下女がたくさんいる。
織姫様の身の回りのお世話ができる方は、高位の方なので、年に一度、織姫様が天の川を渡る時にはついていける。
けれど、私はただの洗濯女。
私のようなただ洗濯をするだけの洗濯女はいつだって、天の川の端で洗濯するだけだ。
けれど、いつも川の端で洗濯をしているからこそ、対岸に居る人たちを見ることができる。
その人を見かけたのは、いつも通り、たくさんの衣を籠に入れて川岸までえっちらおっちら運んでいた時の事だった。
その人はなかなか動いてくれない牛を引いて、川で水を飲ませようとしていた。
あちら側も大変だなと思って見ていたら、牛に水をやろうとしていた人と目が合った。
その人は私を見るとニコリと微笑んでくれた。
私はどうすればいいのか一瞬わからなくなったけれど、同じように笑い返した。
それから時々、洗濯に行くとその人を見かけるようになった。
一度、あの人と言葉を交わしてみたいと思ったけれど、私は洗濯女、彼はたぶん牛の世話をするだけの人。
織姫様と彦星様がお会いになられても、私たちは対岸に留まってお互い微笑み合うだけ。
天の川は渡れない。
今日はあちらが手を振ってくれた。だから私も振り返す。
それが少しくすぐったかった。
これにて完結。
最後だけ甘酸っぱい感じになれました。
あくまで創作なので、古典とかに沿ってはいないかなと。