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#書き出しと終わり  作者: レニィ
3/7

3日目:人間らしさ。

ちょっとSF・終末感

3.レニィさんには「私達は人間でした」で始まり、「その言葉を飲み込んだ」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば7ツイート(980字)以内でお願いします。


____________________________________________________________


私達は人間でした。

人としての営みを過ごしていました。

朝日の中で目を覚まして、学校や会社というコミュニティへ出向いて、学びや成果だけでなく、人と人とのやり取りがありました。

顔と顔を合わせる事で、表情や感情を直に感じて、笑ったり、泣いたり、怒鳴ったりしていました。

ある日突然、人間の元へやってきたのは、未知のウイルスでした。

それは、人から人へと移って、どんどん広まって、世界中がそのウイルスの餌食となりました。

ウイルスは常に形を変えて、人を脅かしていきました。

やがて人は、人と人が顔を合わせることを避けるようになりました。

ウイルスを広めず、その進化を防ぐためには、どうしようもないことでした。


人々は、いつかは必ずまた、人と人が顔を合わせる時が来ると信じて耐えていました。

幸い、人の技術は、人と人が顔をわざわざ合わせずとも、交流する力を持っていたので、次第に人は、外に出ずとも、コミュニティへ参加するようになりました。


人が耐えて、耐えて、耐え続けている間も、ウイルスは人を脅かしていきます。

最初に発生したウイルスが落ち着いたと思ったら、今度はまた別のウイルスが人を襲い、また人は顔を合わせることを避け、耐えることを繰り返しました。


いつしか、人は外へ出ることが最も危険な行為になってしまいました。


もう、今、外へ出れるのは、外へ出ることを生業としなければならない人間だけ。

それ以外は、生まれてから死ぬまで、与えられた区画の部屋に一生居るのという事が、一般的な人間の姿になりました。


かくいう私も、その一人。


親という者の顔も、他の人間の顔も知りません。


人間は、まず培養ポッドで生育され、物心がつく頃に担当の育成ドロイドと共に一区画を与えられ、与えられた教育プログラムをこなして、与えられた仕事を行うものになりました。

どの区画に、どれだけの人間が、どんな教育プログラムで、何の仕事をするのかは、もうずっと昔に決められているのです。


時折、外で仕事をする人間の姿がニュースになります。

今日のニュースは、外の人間が勝手に子どもを産んだという内容でした。


身勝手だという意見がほとんどの中、私は、彼らが羨ましくなりました。


彼らの方が余程人間らしい。


私はその言葉を飲み込んだ後、今日の仕事に取り掛かりました。

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