アクア防衛戦 その3 よーそろー
敵主力艦隊提督アーノルド・イアンは
「たった一隻で立ち向かってくるのか?
勇敢を通り過ぎてただの無謀だな。
だが潔いのかもしれないな。
舐めてはかかれないな、先ほど此方の先発隊十一隻をたった一隻に沈められている
舐めてかかるでないぞ」
アーノルドは副官に激を飛ばした。
「敵が射程に入ったら攻撃開始するように前線に指示する様に。
敵艦破壊したらアクアに侵攻する。」
普通に考えれば一対万ならば負けるバズが無い。
その余裕が敵を正しく認識していなかった。
舐めていたのだ。
「艦長敵からの一斉攻撃です」
紅葉が慌てて報告する
「航海長、艦首10°下げ、全速前進よーそろー」
「艦首10°下げ、全速前進よーそろー」
「敵は横長になっているから下に潜り込んで行くわけですね」
と紅葉は時雨の行動を予測した。
「そこまで考えてないわよ艦長は」
と冬花がぼそり
冬花が発した言葉と同じ時に
「まぁそうだけど、ただ単に攻撃が少ないからだよ」
「ほらね」
とまた冬花がぼそり
「敵も此方の動きに対して一部下に下がってきます」
「冬ちゃん右舷左舷の副長に攻撃始めの指示を、航空機隊は囲まれる前に出して」
「依羅さん、水倉さん主砲による艦砲射撃うちーかたはじーめ」
『了解しました。砲撃長自動射撃による艦砲射撃、うちーかたはじーめ』
時は同じにて両副長は命令した。
主砲は上部へ90°動かし発射された。
時雨たちは下から上に主砲が打ち出されているビームの光を見ていた。
「うわぁ ウイニング・ザ・レインボウ見たいだね冬ちゃん」
「イヤ見た事ないし」
横にある主砲は今回初めて上に向かって発射された。
足元から主砲が虹のように真上に上がって見えているのだ。
「艦長いつの時代のマンガですか?そもそもウイニング・ザ・レインボウと言う自然現象なんてありませんから」
「エッそうなの?今まで信じてたのにいつか本物を見るんだと思っていたのに」
「だから艦長惑星アクアにマダガスカル島なんてありませんから。それマンガ内の話だから」
ほんと二次元オタクは此れだから
次々と敵艦は破壊されていく。
「さぁーて此処からが本番だよ。艦首30°上げ敵中央まで来たらもどーせ」
「航海長預かりました。艦首30°上げ敵中央にて0°に合わせもどーせ ヨーソロー」
「航空機隊発進」
「参謀長預かりました。航空機隊全機発艦」
「聞いたか?a1発艦 いくぜぇー」
とa隊・β隊・c隊・d隊発艦した。
「余り艦から離れるなよ迷子になるぞ、撃て撃て撃て狩り放題だぜ」
と不知火隊長は叫んでいた。
「敵攻撃が激しくなってきます」
敵の攻撃が艦に当たる前にビームの壁のような物が弾いている弾くたびに振動が伝わってくる。
「航空隊各機へ、気をつけて敵空母から多数の航空機が発艦しました」
『了解』
「そろそかな、もどーせ」
「もどーせ よーそろー」
メインコンピュータ内部では
激しいな一人ではこれから先この艦を護れないと柊奈多は考えていた。
「まだ敵旗艦はわからないか?」
「まだ検索中です。マスター」
「旗艦探しはミーに任せて、アイとマイは右側面、左側面を頼む」
『了解しました、マスター』
艦上部を0°と見立てた時、
10時から2時までが柊奈多
2時から6時までがアイ
6時から10時までがマイ
が防衛システムを分担することにしたのだ。
「マスター、敵艦の一部が前方へ離脱していきます」
「それはヤバイな、しょうがない虎の子を出すか」
妹たちの泣き顔見たくないからな
ウーゥと航空機デッキにサイレンが鳴り響く
『此れより第3格納庫より航空機が発艦します。直ちに安全な場所に退避してください』
三度同じことを繰り返したのち、第3格納庫より航空機が出てきた。
出てきた機体を見て口々に
「あの機体コクピットがない?」
と思っているうちに発艦していった。
「時雨、冬花今出た航空隊は惑星アクアに向かった艦隊の殲滅に向かった。後はそいつらに任せて敵旗艦を叩くぞ」
「お兄さん、それはわかりましたが敵旗艦がわからないことには攻撃出来ません」
「此方でも探している。見つけたら射程距離に入ったらぶちかませよ」
「わかりましたが、今の航空機のパイロットは私達は知らない人ですよね」
「あぁ俺専属のメンバーだ。俺の言う事しか聞かない」
「可愛い子ですか?」
「あぁ無茶苦茶可愛い、俺の手で育てた可愛い子達だよ」
「お兄さまの変態、如何わしい私に近寄らないで」
「冬花が何を言っているかわからないが、俺はメインコンピュータ内にいるから」
「わかりました、そうやって私の事を覗いているのですね。シャワーを浴びているところや寝顔とか」
「盗聴や透視とかしてないしってか何言っているの冬花ちゃん。可愛い顔がキモいよ」
「可愛いって言わないで、昔からそうやってからかうんだから」
「日葵機が被弾しました。追撃されています」
「ごめん皆んな先に行くね」
「バカ日葵諦めるな脱出しろ」
「もうダメみたい」
日葵機は大量の被弾をしてしまった。
静かに燃えゆく機体の中で日葵は何を思う
「皆んな短い間だったけどありがとう、でも死にたく無いよ」
とコクピットの中で日葵は泣いていた。
日葵の航空機は爆発した。
「ひまり〜」
と誰かが叫んでいた。
時雨達も日葵ちゃーんと心で叫び、爆発した時目を瞑った。
時雨は帽子のつばを右手で持ちかぶり直した。そして
「みんな日葵の弔い合戦だよ」
誰もが涙しながら頷いていた
日葵の航空機の爆発があった頃医務室が慌ただしくなった。
医務室内にある生命維持措置に横たわる人影があった。
艦医長 博識 歴覇
歴覇は横たわっている少女の怪我の具合を確認している
「データ上異常なし、空間転送異常なしと」
呟いた。
「柊奈多さん、無事空間転送されました」
「ありがとう。意識戻るまで確認よろしく」
「わかってまーす」
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