兄の軌跡と妹たちで よーそろー
再び宇宙へ上がって来た。
時雨たちと今回は教官たちの艦も宇宙に上がって来ている。
「来たわね。最終防衛ラインまでは一緒に行きましょう」
と小桜 友海教官から連絡が来た。
「わかりました。最初で最後のランデブーですね」
と何気ない言葉を返した。
しかし、冬花たちは俯いて聞いていた。
時雨にとってはただ教官とこうして並んで艦を動かすのが、最初で最後なのかなと思っただけで、他意はない。
教官にしても、冬花たちにしても、もう二度と此処に帰って来れない戦いなんだと時雨が伝えていると思ってしまった訳である。
友海も死地へ送り出す事はわかっていたし、大軍の中に一隻だけ送り込む訳だから無事で済むとも思っていない。
そしてその大軍は数日後には自分たちにも襲ってくる訳だから。
学園長にしても友海にしても、このまま生徒たちは敵前逃亡して欲しいとさえ思っている。
命さえあれば何とかなる、あの艦は慎しくすれば自給自足が出来るのだ。
例えこの星が亡くなろうとも。時雨にこの話をしようと思った時。
ELEWから通信が入った。
「私たちELEWは此れより第一防衛ラインにて、敵主力艦隊と戦闘に入ります。
なるだけ多くの敵艦を破壊しますので、最終防衛ラインにて残艦の駆逐をお願いします、私達が帰ってくる場所を守って下さいね」
友海は嗚咽と共に涙が溢れていた。
「必ず守るからだから帰って来てね」
と交わすのが精一杯だった。
友海はその場に座り込んで泣いていた。
いつから泣いていなかったのだろう?こんなに早く生徒を死地に送り出すなんて思ってもいなかったし、生徒に気を使わせてしまった想いで寂しく恥ずかしくそして哀しくてまだ泣いているのだ。
泣きながらELEWを見送っていた。
「全力前進、第一防衛ラインまでよーそろ」
と声を上げた。
冬花は復唱し
「全力前進、舵そのまま よーそろ」
「全力前進、舵そのまま よーそろ」
と航海長は復唱し、レバーを全開に引いた。
エンジンは高音に唸りを返て速度が上がって行った。
「まだ防衛ラインまでは二日掛かるから交代で休んでね。最終防衛ライン着いたら、ブラック企業に早変わりするから休める時に休んで」
「了解しました。艦長」
と冬花は挨拶して全艦放送にて
「最終防衛ライン到着まで交代にて休息を取る様に」と指示をした。
航海長も自動運転に切り替えてただ座って居ただけだった。
「またアクアに帰って来れますかね」
とボソリと冬花が声を漏らした。誰もが言いたくて、聞けない言葉をみんなわかっているからどう考えても帰って来れない事を。
「そうだなぁ この艦お兄ちゃんが私たちの為に作ってくれた艦なんだよ。
私たち専用のそしてお兄ちゃんはこの艦と同化してるとまで言われているんだよ。
だったら誰にも負けない。だって全戦全勝で誰一人撃墜出来た人もいないんだよ。
そして圧巻だったのが、デモストレーションで行った柊奈多軍10機対そのゲーマー全員による対戦。
私は良く覚えている。確かに数は負けているでも、お兄ちゃんの戦いは常に一対五位にしかならなかった。一斉に攻撃出来るのは距離がある時だけ、逆に乱戦に持ち込めば敵は味方打ちになるから攻撃してくる数も限られてくる。
各個撃破していけば良いんだよ。そうやってお兄ちゃんは何百万対10の戦いに勝ったんだよしかも一機も撃墜される事なく。
其れを知っている私がたかが万対1の戦いに負けるなんて思わないよ。
もっと不利な戦いで勝っている人を知っているんだから。だから生きて帰るアクアにだから信じて、私を ウウン違う私達の大好きなお兄ちゃんを ネッ冬花」
とウィンクしながら冬花の両手を握りしめた。
「うん、信じてみる。そうだよね私たち一緒に見てたよねその戦い。だから私も信じるし一緒に帰る戦いをしよう」
冬花は光明が見えたのか泣いていた顔は明るく笑って伝えていた。
「うん」
と時雨は返した。
他の場所でもあの戦いは感動した。数じゃないんだと考え直した戦いだった。
そうだこの戦い死ぬとは限った戦いじゃないんだと。
皆んな声が明るくなって休憩に入って行った。
学園長も言っていた。無制限のエネルギーの中でならアイツは最強だと。そしてこの艦は無制限のエネルギー供給が出来る艦だと。
お前たちは柊奈多が守ってくれるのだと。
時雨と冬花は偉大な兄が今まで見せて来た戦いがこれからの戦いに繋がって行くのだと休みながら一つ一つのバトルを思い出していた。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
次回は5月の3日か4日辺りを予定してます。
戦いに行く不安と兄への信頼天才ゲーマーはELEWの中で何を思うのか。最初はこの宇宙海賊との戦いで八万文字行きたかったのですが、このままのペースでは無理かな・・・