キリンの飼い方
我が家の書斎の1番大きな本棚の上から二番目の棚の向かって右から6番目には『キリンの飼い方』という本があります。
『キリンの飼い方』というタイトルですが
ほんとうにキリンの飼い方が書いてあるわけではありません
それは30ページほどの絵本です
ある絵描きさんのお話です
『キリンの飼い方』という絵本を描いたシュマーンという、イギリス人のことが書いてある絵本です
シュマーンが自ら著した絵本を探すお話です
僕はこの本を祖父に百回はよんでもらいました
おかげで何ページに何が描いてあるか
本を見なくても言えます
1ページ目は
シュマーンとシュマーンのお母さんが食卓を囲んでいる絵です
10ページ目は
犬と猫と竜と象とクジラとハゲタカを連れてお散歩をしている小綺麗な身なりをしたジェントルマンが描かれています
12ページには
誰も人はいません
イギリスのグラスゴーという場所の遊歩道っていうやつです
25ページは
シュマーンの恋人が海を眺めている背中が描かれています
27ページで
この本で初めて『キリンの飼い方』が出てきます
大きな家がひとつ描かれている30ページを祖父はいつも必ず2回読みます
『キリンの飼い方』は祖母に読んでもらったこともあります
お父さんもお母さんも読んでくれたことがあります
でも僕は祖父が読んでくれる『キリンの飼い方』が一番好きです
祖父は読み終わったあとに
シュマーンの話をしてくれます
祖父はシュマーンと友達だそうです
祖父は本物の『キリンの飼い方』を見たことがあるそうです
30ページばかりの絵本なのに
とても重いらしいです
シュマーンは生きている間に百冊の絵本を描いたそうです
それは全部あるひとりの人の為に描いたと祖父は言っていました
『キリンの飼い方』は、その最後に描いた絵本なんです