第5話 彼女達は隣人
2日続けてとかいつぶりでしょう。
パウダーブルーの髪の少女メリーと、その妹であるパウダーピンクの髪の少女エリーと一緒に、学校を出てすぐにあるフェルト新擬者教育高等学校前駅から、3駅ほど離れたフェルト学生寮駅に、3人で仲良く向かおうとしたが、パウダーピンクの髪の少女エリーから見た俺の印象があまり良くなかったせいで、道中はかなり警戒され、チェリーピンクの可愛らしい瞳に睨まれながら、駅に向かい、生きた心地がしなかった。 普通にしていると可愛い目つきの割に、睨んでいるととても鋭いのだ。あの目は確実に人を(俺)を殺そうとしている目にしか見えない。
「おいピンク頭、俺の事そんなに睨むんじゃねー、怖くてちびっちまうだろ」
「無理です、それより気持ち悪いので話しかけないでください」
妹に合わせて姉も無感情に言う。
「エリーの言う通りよ、さっさと死になさい」
「えぇぇ! ちょっとひどくねーですか⁉︎ 俺そんなに悪い事したか?てか声が冷たいよ!」
「自分の胸に問いかけてみれば?」
「理不尽だ……」
「理不尽で何よりだわ♡ 」
そんな会話をしながら電車に乗り込み、俺は今朝拉致されたのは何故なのか考えていた。
因みに今朝方俺が誘拐されたのは、フェルト学生寮から駅までのおよそ5分ほどの道のりの最中である。拉致の手段としては、恐らく拘束系の異能力により一度捕縛しそのままついでに意識まで刈り取られた後、擬人化者又は普通のトラックにぶち込まれ、拉致された。
やり方はとても大雑把ではあったが、洗練されたプロの組織によるものでは無いかと、自分なりに考察している。
因みにだが、俺が誘拐されたのはこれが初めてではない。 過去に2回程あり、今回の件を含めると3回目である。 それに加えて過去2回の誘拐は、フェルト新擬者教育高等学校の試験日と、合格発表の日に行われており、今回は入学式だ。 このままでは俺は通学の度に拉致されては助けを願う弱者になってしまう。 そんな事を考えていると、パウダーブルーの髪の少女メリーがクスクスと笑いながら、こちらを見てきた。
「何がおかしいんだよ、こっちはこんなに悩んでるってのに、困った人を見るのがそんなにおもしれーのか?」
「別に面白くないわ、一人で悩んでる人を見るのが面白いだけよ、せっかく頼りになる人が近くにいるのに、頼ろうとしないもん」
「ん?頼りになるやつ⁇」
彼女の言っている意味がわからず、俺はさらに悩み混んでいると、少し彼女が不機嫌になり、妹も何故か少し怒っている。 俺は何もしていないというのに、何故か怒っていた。
「何でちょっと不機嫌なんだよ?」
パウダーブルーの髪の少女が右手で頭を掻きながら、苛立った声で答える。
「あんたの頭が悪いからイライラしてんのよ、普通の頭してたら気づくのに、どうしてわかんないかなー、一から十まで教えてやらなきゃわからない無能なの?目の前にいるじゃない、頼りになる人が!」
「お姉ちゃんは優しくて、すごいんだからね!」
そう言われてから俺はようやく察した。
「何だよ、助けてくれんのか? 」
「当たり前でしょ、困っている人はほっとけないわ」
「でも助けるってどうすんだよ? 毎朝一緒に登校してくれんのか?」
すると彼女は、あからさまにめんどくさそうな表情に変わったと思ったら、何かを思いついのかパウダーブルーの髪の少女がニコニコしている。
「何だよ」
「何でもないわ、まー明日は朝迎えに行くから部屋番教えなさいよ、それと電話もよろしく」
「部屋は102号室だ、電話はこれな」
そう伝えるとパウダーブルーの髪の少女は、何故か石のように固まりながら、震えた声で言った。
「聞き間違いかしら?102号室??聞き間違いよね?」
「いや本当だから、そんな嘘つかねーよ」
「って事は……あんたは」
「へっ?何だ⁇」
「な、な、な、なんでも無いわ」
俺たちはそんな会話をしながら電車から降り、そこからは何も喋らずフェリス寮に着くと、カードキーを扉にタッチして自動ドアを開け、エントランスを抜けてからすぐに左側に曲がり、101号室の前で彼女達が止まった。俺はその隣の102号室の前で止まりドアについているセンサーにカードキーをタッチして彼女達に一応聞いた。
「二人の部屋って何号室なん?」
「…………よ」
あまりに小さな声だったせいで俺は聞き直す。
「101号室! あんたの隣! なんでヨォォォオーー!
なんでなノォォォォォォォォォォォオ!!!!」
その声は廊下中に響き渡り、俺たちはゴリラの様な管理人の竹本アンジェローニさんに怒られたのだった。
リハビリ中です。
とりあえずランキング目指してみます。