第3話 保健室での無駄なお喋り
早く書きたいのは山々なのですが、やる気スイッチが全然入らないのでマイペースに行きます。
一頻り大爆笑すると俺は大事な事を思い出し、保健室に置いてある時計を確認する。 時刻はちょうど午後12時のお昼時になっており、血相変えて彼女に質問する。
「まさか入学式って?」
「そんなのもうとっくに終わってるわよ」
彼女は少し不機嫌気味に言うあたり、入学式には出れていないのだろう。 きっとそれは俺が助けを願ったからだ。 あの時トラックの中で助けを願わなければ、きっと彼女が気づく事は無かっただろうし、川に落ちることも無かったのだろうが、仮にあのタイミングで助けを願っていなかったら、恐らく俺は今頃黒服集団から酷い辱めを受けていたに違いないと、安堵の息を吐き出しつつも、少しばかりの責任を感じていた。
彼女がぼっちになるのではないかと。
「俺のせいでごめんな、せっかくの入学式だったのに」
本当に彼女には感謝しても仕切れないくらいの借りが出来てしまい、俺は頭に手をつきながら絶望している。 彼女が何か要求してくるのではないかと、そんな事を思いながらビクビクしている。
「そんなに怯えなくてもいいじゃない、私は何も要求しないわよ、まぁーあなたの記憶は消してやりたいけどね、それに私はいつだって……」
彼女は俯きながら、光が抜け落ちたような瞳でそう言うと、場の空気が少し重くなり、俺はそんな空気を壊すように、わざとらしく明るく言った。
「いやいや、何しれっと記憶消すとか言ってんだよ、普通に怖いからな⁉︎」
すると彼女は更に近くまで寄ってき、真っ白な小さな手で怯えた表情の男の首筋に手を当て、楽しそうに言った。
「記憶を消されると頭がスッ〜キリするのよ、いっぺんためしてみる?」
ころころと変わる彼女の表情に、目つきに、声色に少しばかり精神の不安定さを感じたが、俺は気にせず軽い感じに返した。
「いやいや試さねーよ! 何軽々しく俺の記憶を消そうとしてんだよ、スーパーの試食コーナーの店員さんかてめぇ! 」
すると彼女は口に手を当て、バカにするように話す。
「試食コーナーの店員にそんな事出来るわけないじゃない、ひょっとしてあんた頭のネジが緩いおバカさんなの?なら、尚更記憶を消してスッキリしないとね♡
それに私は私というブランドなのよ、そんな安っぽ〜い物と比べないでくれる?」
「はぁ〜⁉︎ ゆるくねーよ!カッチカチのギッチギチ亀甲縛り並みの頭だよ、お手軽に記憶を消そうとするのやめてもらえます?」
「えっ、なにその頭、普通に気持ち悪いんだけど」
目の前にいるパウダブルーの髪の少女が真顔で言うものだから、俺は少しばかり精神的なダメージを負いながらも、「そりゃそう思うか」と自分自身の脳内構造の気持ち悪さを自覚し、嫌気がさしたのだった。
そして俺は伝えるべき言葉を、今の今まで頭の中から落っことしていた事に気づき、今更ながら深々と頭を下げ、少し照れ臭そうに彼女にその言葉を伝える。
「えっと、その、、、助けてくれてありがとな」
「なに赤面してるのよ、あんたってやっぱきもちわるいわね」
それに同調して、彼女の妹であるパウダーピンクの髪の少女も続けざまに罵倒する。
「お姉ちゃんの言う通りよ、ほんとに気持ち悪い」
「お前ら姉妹揃ってひでーな」
パウダブルーの髪の少女は、心のこもっていない気の抜けた少年の声を聴くと、くすくすと明るく笑いながら言った。
「全然酷くないわよ、むしろ靴を舐めて感謝して欲しいわ、本当にしたらマジでキモくて蹴っちゃうけど」
「ぜってーしねーよ!まぁーとりあえずは、ありがとな」
「しつこいわね?別に良いわよお礼なんて、それよりも次からはちゃんと気おつけなさいよ、へんたい」
俺はそれを軽く聞き流して、ゆっくりとベッドから足を下ろし、靴を履くために状態を屈ませたついでに、パウダーブルーの髪の少女の太ももの辺りを凝視した。
心を読めてしまう彼女は、眉間にしわを寄せながら言った。
「死にたいの?」
「すんません!」
その後俺たちは遅刻の理由をきっちり説明するべく、パウダーブルーの髪の少女、皇 メリーとパウダーピンクの髪の少女、皇 エリー共に、クソがつくほど広い校舎の中を歩き回り、一階にある第一職員室へと向かったのだった。
ブクマされる事に期待しよう。
やる気スイッチ入らないとマジで書けないなー。