第1話 クマパン少女
果たしてこれでいいのか……リハビリがてら頑張るので、これからよろしくお願いします!
とある日の夜、地球は虹色の光に包まれた。 その光はとても美しく、ユラユラとオーロラのように揺れながら世界を包み込み、見るものすべてを魅了した。人間も、物も、大自然全てがその光に魅力された。
全てを魅力する、薄く広がる虹色の光に包まれたせいなのか、ありとあらゆる物は自我と肉体と異能の力に目覚め、 一部の擬人化した人間の道具とも呼ばれていた者達は、新たなる自由を得る為に、人類を攻め滅ぼそうとする。
だがしかし人類は滅びることは無かった。変化した彼らと同じように異能の力と肉体の進化により、遅れを取らなかったからである。
後に進化した人類と擬人化者はこう呼ばれるようになった。
新人類は【新人類】と、擬人化者は【擬人化者】と呼ばれるようになった。
そして新人類や、擬人化者になる事に失敗してしまった中途半端な存在の事を、【新擬失敗者】と呼んだ。
【新擬失敗者】の大抵の者は自我をほとんど持たず、異能の力の制御が効かない大量殺戮生物として、【新人類】と【擬人化者】の敵として立ちはだかり、【新人類】と【擬人化者】は互いに手を取り、【新擬失敗者】を追い払ったのだった。
それから少し時が経ったころ、全世界共通のある一つのルールが、世界の国々にの代表と優秀な擬人化者が集まり発表された。
新たなルールの名は【新人類擬人化憲章】、この絶対的なルールは新人類と擬人化した者たち比べる事なく、同等のレベルの存在として互いを認め合い、人権を全ての者に与え、自由にのびのびと生きて貰うために制定された、絶対厳守のルールである。
【新人類擬人化憲章】が定められた事により、一時は敵対していた筈の擬人化した者達と完全に和解することができ、互いに手を取り合い、幾度追い払っても尚暴れ回る【新擬失敗者】から身を守る為、暴走した彼等を救う為、全世界は力を合わせてある一つの大都市を作ったのだった。
大都市の名は【新人類擬人化都市】と呼ばれ、そこでは学生達や、社会人に、負け犬となったホームレス、進化した人類と擬人化した者達を研究する人間や、悪人など数え切れないほど色々な人々が存在している。
そしてそんな大都市で現在学生をやっている少年、佐藤 思願野は呑気に通学していたはずなのだが、どうやら朝っぱらから謎の黒服集団に、手足を鎖で縛られ、トラックの荷台に積まれて拉致されたらしい。
そんな不運な彼は、長く深くため息をつきながら、黒髪天パを指に巻きつて言った。
「何なんだよ朝っぱらから、はぁ〜〜ついてねーな」
拉致され絶賛絶望中の彼は、今日がフェルト新擬者教育高等学校の入学式である事を思いだし、さらに深くため息をついて小言で言った。
「誰かたすけくんねーかな、、、はぁ〜〜〜このままじゃ入学初日から悪評が立っちまうな」
そんな事を思っていると、トラックが何かに衝突したのか、激しい揺れと強い衝撃が体に伝わり、そのままトラックの暗い部屋で宙に浮き、「ガシャン!」と金属音を立て、俺はトラックの壁に体を強く打ち付けられ、苦しみながら悶えた。
「クゥゥゥウ、いってぇぇえ!マジでクソだな、なに事故ってんだよこの無能供、ぜって〜後で文句言ってやる」
すると事故とほぼ同時に、トラックの荷台の金属製の天井がいとも簡単に斬られ、太陽の光が暗闇になれた俺の視界を奪う。
「まぶしっ!」
少し時間が経ち目が光に慣れてくると、パウダーブルーのユルフワロングヘアーに、ベビーブルーの瞳ときめ細かい真っ白な肌、青と水色のチェックのスカートと黒タイツに、下半身の真ん中にはクマさんがひょっこりと黒タイツ越しに顔を出しており、こちらをこれでもかと睨みつけてくる。 真っ白なブレザーの胸元には、少しお洒落な金色の刺繍が施されており、白いワイシャツが水で濡れているせいなのか薄っすらと純白の下着が透け、小ぶりな谷間が視界に入ってきた。 因みに下着の真ん中の辺りは小さな水色のリボンの様に見え、俺はその光景脳裏に焼き付けながら見ていた。
するとパウダーブルーのユルフワロングヘアーの少女は、少し引き気味に俺の事を、冷たく見下すような眼差しで言った。
「ちょっとあんた目線がキモいんですけど、せっかく助けに来てやったのに本気でキモいんですけど、やっぱり助けるのやめようかな」
「ちょ、ちょ、ちょ、まって、まってくれ!君がクマさんのプリントの入ってる、お子様パンツ履いてるって言いふらしたりなんか絶対にしないから助けてくれよ!」
「はぁー!?ちょっと何言ってるの?あっあんた、今、今、今すぐ見た事全部忘れるか、私にチョンパれるか、死ぬか選びなさい‼︎」
「あっすいません、何も見てないです、茶色いクマさんなんて見てないです、助けてくれよお願いだ!」
俺は無様にも、トラックの冷たい床に頭を擦り付け付けながら、犬の様に尻を振って必死に懇願すると、パウダーブルーのユルフワロングヘアーの少女は頬を少し赤くして、スカートを抑えながら荷台に乗り込み、手に持っていた深い青色の刀で鎖を切った。
「あんたあとで覚えておきなさい、絶対に記憶を消すから」
パウダーブルーのユルフワロングヘアーの少女は深い青色の刀で、トラックのドアを切り刻むと、目の前には複数台の白塗りの車が停まっており、俺の事を拉致したであろう黒服集団達が十人程待ち構え、その中の一人の男がゲスい声で言った。
「あーーーたまんねーな、最高だ!可愛い嬢ちゃんまで手に入るとは思わなかったぜ! 今夜はみんなでパーティーでもするかぁ〜ひひひ!」
「あらぁ? モブ如きで私の相手が務まると思ってるの?心外だなーほんと、心外だよ、 まぁーそれなりに楽しませなさいな♡」
そう言うと、パウダーブルーのユルフワロングヘアーな少女は、天に向かって刀を投げ、姿勢を低くして全速力で黒服の男達に突っ込んでいく。
「あいつ、お子様パンツの癖に速い!」
俺は心の中で言っただけなのに、何故かこちらの事を顔を赤くしながら涙目で睨んできた。かわいい。
この事から察するに、俺は彼女の持つ異能の正体に気づいたのだった。
「思念系の異能者か、コイツまさか俺の記憶ガチで消すつもりなのか?って言ってもそんな強力な能力、Sランク以上の異能者でもないかぎり出来るわけないしな……」
俺はそんな事をぶつくさ言いながら、脳裏に焼き付けたクマさんのパンツが浮かび上がりそうになったが、その前に目の前にいるパウダーブルーのユルフワロングヘアーの少女が、テレビにも出た事のある、超有名人であった事を思い出してしまったのだった。
彼女の名前は皇メリー、思念系異能力者でランクは【S】を超える【EX】である。 その能力の限界は未だ未知数であり、本人も一度も本気を出した事が無いと言っている程である。
人々は彼女の事をこう呼んでいる。【幻想の青魔女】と、そんな風に呼んでいる。
そして彼女は黒服集団の目の前まで行くと、指をパチンと鳴らし、上空から降ってくる深い青色の日本刀、その日本刀の名は【思道開門字】能力は正直使っている本人にしかわからないようだが、恐らくは異能ランク【EX】と釣り合う程の、最強クラスの力を持っており、その日本刀を握った瞬間黒服集団達は、一瞬にしてバタバタと眠るように倒れ、青い輝きを放つ刃を俺に向けて言った。
「さぁーお次はあなたの番よ♡」
「はっ?はぁぁぁぁぁぁぁあ!」
クマクマーーはガキンチョ!