日本一のモテ男② 【スピンオフ】
「花咲、世界で一番カッコいいと思う男の名前を挙げろ。」
「ええぇ……あんまり芸能人とか興味ないんで、よく知らないんですけど……。」
「好きな男でもいい。誰でもいいから挙げてみろ。」
花咲は少し困った様子で考えながら、名前を挙げた。
「……私、水無月さん好きです。尊敬してます。」
周囲は沸いたが、ルカは顔色ひとつ変えずにグラスを置いて言った。
「俺はそんな言葉に騙されない。どんな女も名前が解った途端、目の色変わる。断言する。俺が挙げる男の名前がわかったら、お前は5秒で俺に謝る。」
「どんな人ですか?」
「誰もハッキリ口にはしないけど、みんな知ってる。顔とかルックスとかみんな嘘!みんな嘘つき!そんな事気にしてもしょうがない!周り見たってしょうがないんだよ!
問題解決能力がずば抜けて高い切れ者だ。どんな奴でも名前を聞けばしぶしぶ認めざるを得なくなる程の色男。そいつは誰にも振り向かないけど、気紛れに振り向く事があるから、そいつのために大金貢ぐ奴もいる。みんなこいつと戦ってる。人生はこいつとの一騎討ちだ。今答えられたら許してやる。漢字で4文字。誰だか言ってみろ。」
「ますます分からないんですけど……。」
「じゃあ、聞く。俺とこいつと、どっち取る!?」
そう言うと、ルカは財布から一万円札を抜いてテーブルに叩きつけた。
「……本当に貰っていいんですか?」
「ほらな!」
周囲は爆笑に包まれた。
「諭吉か……諭吉には勝てねぇわ、確かに。顔がどうこう言って要らないって言う奴、男でも居ねー。」
これには嘉月も納得した。
「やんねーよ、バーカ。俺を選べば財布ごとついてくるのに、女は絶対金見るよ。顔とかタイプとか全然関係ない。諭吉には勝てねーんだよ。そんくらい、わかりきってんだよ!」
「……すいません。」
「あー、もう、誰も味方いねぇよ。」




