気品が高いー山吹
2話です。お願いします。
20XX年1月。珍しく都会で雪が降り出した。
「はぁー。やはり雪が降ると寒いですね、お父さん。」
鼻を赤くし、白い息を吐く女性は、‐山吹―と書かれた墓の前で手を合わせている。お供え物の花である鳴子百合を差し替えて、水を変える。すると、少し俯いて呟く。
「……次は兄さんときます。ではまた。」
今年の1月で大人入りをした私は、在学中である大学の門をくぐり、自身の部とサークルの予定表をみる。
「予定は・・・無し、ですか。」
最近、サークルの活動が乏しい。
「まぁこの天気なので仕方ありませんが、無いのは憂鬱ですよ。」
(うっ。また誰もいないのに・・・抜けませんね…)
溜息一つつくと、誰かがこちらにやってきた。
「はよー山吹さん。今日もないねぇ、コレ。」
声を掛けてきたのは同級生・鬼塚夏目さん。ポニーテールが似合うサークルの花。指でさしたのを今週の予定表である。
「おはようございます、夏目さん。ふふ、たしかにそうですね。」
すると時計を見た夏目は
「げぇっ!遅れるぅぅぅ、あ!またね山吹さん!」
手を振り走り去る彼女は、髪を綺麗にしていたのでデートだろう。・・・幸せそうです。
「はい、また。」
(元気ですねぇ、この天気なのに…)
もう姿は見えないがまぁいいでしょう。私も用事がないので帰りますか。
「たしか冷蔵庫にジャガイモとニンジン、玉ねぎ・・・あぁ、肉がありませんか。」
外はいつの間にか雨から雪に近くなり出している。
「早く帰って温まりましょうか、あーこたつが愛おしいです……」
早足でスーパーにかける私。専業主婦かっ!ふふ、家が楽しみです。
(おや?鍵はどこでしょうか?んんっ??)
キラリッと光る。
ありがとうございました。次もがんばりま~す!