01-002「騙された!?騙されてなかった!」
「ふんふふ~ん。ふふ~ん」
白に黒が混ざった斑な髪をツインテールにした少女がいる。
少女は原曲のわからない鼻歌を歌いながら上機嫌だった。
ここは多分……異世界の館。
彼女は今、風呂場の脱衣所で服を脱いでいるのであろう。
「あら、ビャッ子ちゃんたらご機嫌ね~。お風呂好きなの?」
ウェーブの掛かった金髪の小柄な女性が問いかける。
「セリカさん、ビャッ子ちゃんは元々は男の子なんです。期待に胸が高鳴っているだけかと思われます」
そう突っ込んでくれたのは、同じく金髪だがストレートをポニーテールにしたカレンさんだ。
鋭い指摘だが素直に"そうだ"と答える訳にもいかない。
「俺が風呂好きなのは間違いないですよ!? も、勿論ちょっとは……その、ドキドキしてるんですけど……」
それを聞いた二人の女性はクスクスと笑う。
「心が健全なのはいい事じゃない? これで体も健全な男の子だったら、こんな風に一緒にお風呂に入ることはないけどねっ。ね~カレンちゃん」
「当たり前です。私たちの目的はビャッ子ちゃんの色々、それこそ中の方まで見せて貰う事です。ですが、ビャッ子ちゃんは私達が作ったオートマタのステファニーとは違う存在となっておりますし、今は人格があるのですからタダで見せて頂こうとは思っておりません」
「心は男の子と言うことなら、引き換えにこちらも色々とお見せ致しましょう。健全な男の子の心があるのなら、なかなかの好条件だと思うのですが如何ですか?」
「今のビャッ子ちゃんのお体は女性体ですので、性的危険のない裸のお付き合い位なら喜んで致しますよ。ですが正常な生身の肉体を持つ男性の場合であれば話は別です。例え結婚を誓い合った殿方であっても、熱いヴェーゼを交わし濃厚な初夜を迎えるまではお風呂をご一緒する事はありません」
二人は既に衣服を脱ぎ終え、軽く畳んで棚に置かれているカゴに納めていた。
今、俺は二人の会話を聞きつつも今の状況を整理していた。
まず、脳内の情報には確かにここの風呂の情報はあるのだが、改めて辺りを見回し風呂場の様子を確認する限り、発生する違和感というか、何とも言えない懐かしい感じがするのだ。
籐を使った床に籠、風呂場へと繋がる扉はガラス張りではないものの、金属製の横スライドの扉が敷設されている。
先程、その扉をそっと開けて中を覗いて見たところ、手前には幾つかの体を洗うようなスペースがあり、5人は入れそうな奥には大きな浴槽があってその全てがタイル張りであった。
(ちょっとちょっと。これは銭湯ってやつだよな? 俺がまだ小学校の時に行った博物館の一角に再現展示されてた昔の公衆浴場の模型に似てるんだよなぁ。まさか、あの時見た銭湯ってやつに入れる事になるとはなぁ~感激だなぁ……)
そんな事を考えながらも、俺は籠のある棚を向いた状態で服を脱ぐのにモゾモゾと苦戦していた。
カレンさんが言っていた「色々とお見せしましょう」って台詞も気になるし、脱衣に苦戦している姿をじっと見られているのも何なので、俺から二人に質問を投げかけてみる事にした。
「ところで、お二人から見た俺って何なんでしょうか?」
「検体ね~」
「検体です」
とても素早い回答に、二人の技師としての強い姿勢が感じられた。
それと共に自分の置かれている立場の危うさも併せて感じられた。
「カレンちゃん、もしかしたらビャッ子ちゃんは服の脱ぎ方が分からないんじゃないかな~」
「あ、それでモゾモゾしていたんですね? ビャッ子ちゃん、あなたの服はコマンドで脱衣できます。ついでにモードチェンジも試しておきましょう」
(あ、あ~……本能の赴くままに脱衣しようとしていたが、ステファニーの知識には確かにモードチェンジの方法があるな……)
「す、すみません……すぐに……」
と二人に向かって振り返ると、セリカとカレンの二人が生まれたままの姿で立っていた。
「ぶほぉ!」
みごとに……いや、みごとなオッパイだ。
小柄な方のオッパイも立派だが、ポニーテールの方のオッパイも立派だ。
上も丸見えなら下も丸見えで、金髪は色々と金髪なのが本当だと知った。
「も~、そんなとこばっかりジロジロ見ちゃって~」
「健全にお過ごしならば生というのは初見ではないでしょうか? お若いのですから仕方がありませんよ」
「後でじ~っくり細かい所まで見せてあげるからね~。ささ、早くモードチェンジしちゃおっか~」
(は、は、は、初めて見たけど外国人? だからか? やたらとオッパイにハリと迫力があるな! いや~悪くない。むしろ良い!! 最高!! ……はっ!? 俺、ここで捕まったりしないよな?)
「きょっきょっきょぬーですめ……ですね……」
(噛んだ。ガチ噛んだ)
「勿論です。私、スタイルには自信が御座いますので。セリカさんもですけど」
「そりゃそうよ~? ちゃんと磨いてるんだから! オッパイは天然だけどね~。そうそう、ステファニーのスタイルは私とセリカちゃんを平均化したサイズになってるのよ~」
「そうでしたね。ではビャッ子ちゃんも巨乳でスタイル抜群ということになります。良かったですね。さあ、話はここまでにして取り掛かってください」
俺は噛んだ事を忘れるためにも、気合を入れてモードチェンジに取り掛かる事にした。
「じゃあやります。<モードチェンジ:タイプA>」
……しかし、なにもおこらなかった!
「あはははは~、ビャッ子ちゃ~ん。今着てる服がタイプAよ~? あ~はははは~」
「プッ……ククッ……そ、そんな笑っては……失礼ですよセリカさん……クククッブーーッ!」
二人は目に涙を浮かべて爆笑している。
俺の方は笑いと共にブルンブルンと揺れる二人のオッパイに目を奪われそれどころではない。
(そ、そんなにロボの間違いが面白いかね? 俺は良い物が見れてるから問題ないがな!)
二人がはぁはぁと息を切らせて笑い終わったタイミングを見計らい、再度モードチェンジに挑戦する。
「そ、そろそろいいですかね? じゃあもう一度、<モードチェンジ:タイプB>」
シュパっという感じで俺の服が別のものに置き換わる。
ステファニー自身の記憶にもモードチェンジの記憶は無かったので、もしかしたら全身が輝き、眩しい全裸のシルエットになってから下から徐々に服が変わっていくスタイルなのでは? と思って心配だったのだが、人前で裸のシルエットを見せる必要が無いシュパっとした着替えだったので本当に良かったと思う。
今の俺のスタイルは戦闘メイドロボだ。風呂だけに銭湯メイドロボと言いたい所だがやめておこう。
服と言うよりはメイド服型のバトルスーツだなこれは。
(なぜタイプAがフレンチメイドなのに、タイプBのバトルスーツはヴィクトリアンメイドなんだろう?)
タイプBのメイド服型バトルスーツはスカートが長い。
念の為腰まで捲り上げてみると、パンツではなく7分丈スパッツを履いていた。
長袖で首元もしっかり締まっており、胸元も厚手の甲冑型装甲に覆われているので変な意味でガードが堅い。
これでは胸の大きさも分らないし、チラしてもスパッツと言う切ないスタイルだ。
色合いが黒地に黄色をあしらった警戒色(トラロープ?)なのだがその理由も不明。
「いいですね。色以外は想定通りです。では次をお願いします」
「あ、はい。(色は想定外なんだな……)<モードチェンジ:タイプC>」
シュパッ!
「!? ……な!」
着替え終わった服を見た俺は衝撃の声をあげた。
「なんで紺のスク水なんですか~!!」
そう、それはスクール水着(旧)で紺色だった。
前の世界では大凡1000年前、西暦2000年より前には普通に使用されていたらしいが、俺の生きていた西暦3000年の時代ではそんな水着は無い。
そもそも水泳の授業っていう物がないので指定の水着もないのだ。
だが、過去の文献を検索できる有料サイトには、そういった水着を着た少女が描かれたページ数の少ない本が少なからず残されていた。
俺のスクール水着に関する知識はそこで得たのである。
本の内容? 勿論15歳の俺が検索できる内容の本だったぞ?
「あ、それね。黒がよかった? 一応、私達が着てたやつをモデルにしたんだよね~カレンちゃん」
「いえ、私の学校は違う水着でした。股間部の切れ込みが違う新型です。あれはセリカさんのがモデルです」
「あれ~? そうだっけ~」
(色も出所もどっちでもいいが、名前が平仮名で"すてふぁに~"なのがな納得いかんな。はて? 日本語はこっちでは何語って呼ばれてるんだろう)
「それはいいですけど……これの格好は何が目的なんです?」
俺はセリカとカレンの目じりがニヤリと嫌らしく下がったのを見逃さなかった。
「やだ~ご奉仕用に決まってるでしょ~?」
「メイドロボにはそういった方向性の用途も考慮されているのです。タイプは色々ありますがステファニーはそっちも可能なように設計しました。ではモードチェンジはこれで終了です。脱衣は分かりますか?」
「あ、はい……え? あぁ大丈夫です。<モードチェンジ:キャストオフ>(俺はフィギュアじゃねぇぞ!)」
先程と同じくシュパっと服が無くなったかと思うと、胸の部分が重力に引かれ、少し下がりながらも解放された感覚がして、俯き加減に自分の胸元を確認するとそこにはセリカやカレンに負けない立派なオッパイが存在していた。
念のため下の方も確認してみるとちゃんと揃えられた芝生が存在したのだが、生えている草は白かった……
「はい。結構です。ではお風呂に参りましょう」
「暖かい時期でよかったわよね~。冬なら風邪ひいてたわよ~?」
「済みません……」
こうして俺達はやっとお風呂場に入る事が出来たのだった。
ガラガラとスライド式の扉をあけると中からブワっと暖かな蒸気が流れ出してきて、その蒸気を分け入ってお風呂場の方へと向かうセリカとカレンに続き、俺も中に入ってから後ろ手に扉を閉めた。
「さて、まずは体を洗わないとね~」
俺はキョロキョロと回りを確認してみたのだが、特に石鹸等の道具はない。
「あの、何で洗うんですか? ステファニーの記憶でも液体石鹸で洗浄する知識しかないんだけど?」
「あはぁ~。それはご奉仕用よ~? 普通は魔法で洗うから石鹸はないのよね~」
「ステファニーは所有者に洗わせるという部分も喜ばれるため、自分で洗浄する必要がないと判断し、不要の知識としてワザと組み込んでいません」
「でも、魔法で洗えるなら風呂自体要らないんじゃないかな?」
「お湯に浸かる事が好まれているのです。ビャッ子ちゃんもお風呂が好きならお湯に浸かるのも好きでしょう?」
(確かに、風呂は体を洗うだけが目的じゃないもんな)
「そうですね。確かに俺もお湯にゆっくり浸かるのは好きですよ」
「じゃあちゃっちゃと洗って浸かりましょ~よ。<ウォッシュ>、はい<ウォッシュ>」
シュワーン、シュワーンと俺の全身とカレンの全身が輝いたかと思うと、体がスッキリとした感覚に包まれた。
洗い終わった後と思われる湿った感じが不思議と心地いい。
「ありがとうございますセリカさん。では<ウォッシュ>」
シュワーン。
「カレンちゃんもありがとね~」
「これが魔法ですか?」
「そうよ。厳密には魔法をスキル化した物だから詠唱不要なの」
「マクダクル先生……いえ、マスターの事ですが、魔法をスキル化する事で詠唱を不要にする方式はあの方が考案したのです。馬鹿で気弱でムッツリスケベですが少しは有能な方なのですよ?」
(すっごく落としてちょっとだけしか上げなかったな……でもマクダクルが意外と優秀なのは俺が見ても分かるぞ?)
「へ~便利ですね」なんて話しながら俺達は奥の湯船に移動して掛け湯をした後、冷え始めた体を熱い湯の中に沈めるのだった。
「あ゛~い゛~わ~」
「はあああ~」
「あぁあぁぁ~」
三人はそれぞれに湯に浸かった時の独特の声を詠唱していた。
「あ、そうそう。魔法は後で教えてあげるからね~って言ってもホストからロードするだけだけど」
「ステファニーは全属性習得可能なモジュールを積んでますし、新型エンジンのSTEの出力からすると、試算では殆ど無限に魔法が使えるはずです」
「魔法が無限に使えるって、俺ってヤバイ存在なんですか?」
「そこは公開しないから大丈夫じゃない?」
「そうですね。誰も知らない事は無い事に等しいですからね」
(美女二人が物騒な事言ってるな……)
「さーて体も温まってきたし、お待ちかねの"くぱぁ"タイムかしらね~」
ゴクリ……。
俺は出ているのかも分からない唾をのみ込む。
その"くぱぁ"が想像している通りの物であれば、即ち俺は真理の扉を開くという事に他ならない。
「そうですね。そろそろ本題に入るのがいいでしょう」
カレンがザバッと勢いよくお湯から立ちあがる。
プルンと形の良い胸が揺れたかと思うと湯船の角の方へと移動すると端の方を指さした。
「この角は縁が厚くなっていて上に腰掛ける事ができるようになっていますので、ここでやるのが良いと思います。ビャッ子ちゃん、こっちにいらしてください」
「ひゃい! いまいきます」
緊張のあまり、俺は湯の中から首だけを出した状態でザブザブと角に移動する。
「おお、俺はど、どうすればいいですか?」
「えっとね~まずはこうするのよ~」
セリカにガシっと後ろから頭を両手で押さえられ、仰向けにされるように角の縁へと頭を移動させられる。
「はい、上を向いて大きく口を開けてね~。は~い、くぱぁ~」
(くっそ……騙された、俺の真理は開かれないのか……)
「あ~ん……」
結局、俺は大人しく口を開けていた。
セリカとカレンが歯や舌を触ったりして色々と調べているようだが、歯科の自動検査機が口の中を調べているときとあまり変わりはない。
「どうカレンちゃん?」
「どうって、人と同じですが……」
「なんか本当にオートマタなのかも分からないわよね~」
「私達の制作したステファニーとは別物なのは間違いないですね」
「はほ~、おおえいぇうぁ~」
(上手く喋れねぇよ……)
「あ、もう良いわよ~」
「何かと思ったら口の中を調べるだけですか? びっくりしましたよ。俺はてっきり……」
「次は下の口です」
「え?」
「そちらも調べますよ? 私達のもお見せするので比較しましょう。ステファニーの基本的なモデルは私達二人ですが、その部分の造形は汎用の簡略化されたものを流用していました。ですので二人のどちらか、又は汎用部品と類似性がみられるのか、もしくはまったくのオリジナルなのかを調べたいと思います。確り見せますから確り見せて頂きます」
(本当に言ってるのか? てっきりさっき騙されて終わった話だと思ってたんだけど!?)
「じゃ、最初に私とカレンちゃんが並んで見せるから、私達のを比べて違いを覚えてね~。順に入れ替わって比較していくから、違いはしっかりと報告するように!」
「イエス・ユア・ハイネス!」
「ビャッ子ちゃん、返事はハイでいいです。ハイで!」
「ハイ!」
……
結果、ガチKPAでした!!
あざーっす!
だが、元15歳の心の扉は真実により開かれた! とかそれどころではない……。
(変な銀のクチバシみたいので中まで見られた……前も後ろも……いや、俺も見せて貰ったんだけどな? うへ……)
満面の笑みを浮かべたて風呂を出た俺と、俺を見てクスクスと笑いあうセリカとカレンの三人は、別室で待っていたマクダクルと合流しそこで結果報告会となった。
「で、どうだったんだい?」
身を乗り出す勢いで聞いてくるマクダクル。
「ちょっとマスター。ガッつくのはみっともないですよ~」
「そうです。大人しく部下の報告を待つのも上司の務めだと思います」
マクダクルがしょぼーんしているが、俺はフォローしない。
俺はさっきの映像を脳に焼き付けてリプレイしているのだ。
尚、これは物の例えではない。
本当に大脳制御モジュールの記憶回路に目で見た映像を動画を保存し、それを仮想視覚内で再生しているのである。
「カレン、ビャッ子ちゃんがずっとニヨニヨしてるんだけど大丈夫か? どうしたんだ?」
「マスター、年頃の男の子があの状況を味わえばこうなるのは仕方がないでしょう。暫くすれば元に戻ると思われます」
「きっとマスターでもこうなりますよ? じゃ先に報告しますね~」
セリカとカレンが専門的な用語で状況をマクダクルに報告していく。
うーんと唸るマクダクルだったが、一通り聞き終わると考えを纏めたのだろうか、話を聞いていた時には閉じていた目を開く。
「わからん。結局見た感じどうなの?」
「はぁ……まあ分かりませんよね。マナスキャンしない限りは人間にしか見えないと思います。ちなみに秘密の部分は完全なオリジナルで、内部に至るまで人間そのものです。形状等の差は個体差レベルと判断しました」
「多分どころか絶対エッチな事も可能だと思いますよ~」
「だが、人間同等の容姿を持つオートマタなんてこの世界にはないぞ? その分野で最先端を行っていたのは、ここ、マクダクル工房な訳だし」
ぼんやりと話を聞いていた俺だったが、人間同等の容姿で思い出した事があった。
「あの、ちょっといいですか?」
「どうしたビャッ子ちゃん。なにか心当たりがあるのか?」
「あ、はい。元の世界で俺が義体という物に脳移植をするはずだったと言ったのを覚えてますか?」
「はいは~い。私は覚えてるよ~」
「私も覚えています」
「で、それがどうしたんだい?」
「その義体なんですが、実はバイオロイドと言われる種類だったはずなんです」
「ばいおろいど、かい? ばいおろいど……か、聞いた事がないな」
「ええと、人造人間? に近い物です。骨格や主要機関は機械化されているんですが生体機能は人間と酷似していて、元の世界では遺伝子情報を転写すれば子を生す事も可能だったはずです」
「遺伝子情報? と言うのは多分個人を特定するパターンのような物だと思うんだが、その情報の転写で子孫まで残せるとはね。うーん、ホムンクルスに近いのかも……それにしてもビャッ子ちゃんの居た世界の技術は凄いものだね……」
「俺もそう思います。もしかしたらなんですが、その義体の情報か体の一部が中身の俺と一緒にこの世界に来てしまった可能性があるんじゃないかな? って思ったんですよ」
「マスター。私もその可能性はあると思います。事実、ビャッ子ちゃんの内部には私達が作成した物では無い生体モジュールと思われる物が複数存在しています」
「ふむ……だがそれを証明する方法がないな」
「あ、俺の機能の話なんですが、色々と見えるんですよ」
「え!? うそ~なに? ビャッ子ちゃんってオバケがみえるの~?」
「違いますよセリカさん。俺が見えるのは皆さんの生体情報です。数値化された外寸や体温、心拍、皮膚の状態なんかが把握できますね」
「おい、そんな機能は付けてないぞ?」
「ですねよ~、設計もしてないですよ~」
「全部は把握できていないんですが、あとは身体能力にかなりの余裕がありそうなんですよ……これは皆さんと自分を相対的に数値で比較して思っただけなんですが」
「相対比較って事は対比があるんだろう? 是非教えてほしいな」
「あ、はい。良いんですが怒らないでくださいよ? 皆さんが1だとしたら、俺が1000程です。1000弱ですけど……」
「はい? 1000倍? 例えばどんな数値がそうなるの~?」
「見える数値だと外皮の物理耐性とかですかね? 想定体力や持久力は自分の方の表記が∞なので比較が出来ないというか……」
余りにも差がありすぎるので、俺の話した内容は後日検証する事になった。
今日は取り合えず一部屋を借りて休む事になり、俺は疲れていたのですぐに部屋に引き籠る事にした。
「じゃあ皆さん、おやすみなさ~い」
「ああ、おやすみ。明日も頼むよ」
「ビャッ子ちゃん、風邪は引かないと思うけど一応忠告しとくね~おやすみ~」
「あまりハッスルなされないようにご注意ください。それではおやすみなさい」
一体何をハッスルするのだろうか……。
そう思いながら自室として割り当てられたベッドに横になる。
何故だかふっとお風呂での出来事を思い出し、自分自身の体についても気になってきたので、偶々部屋に置かれていた手鏡を手に色々と自分の体を調べてみる事にした。
最初の内は色々と見ているだけで不思議だったのだが、段々と色々な部分を触ったりして確認している内に意識が無くなっていた……。
朝早くまだ辺りも暗い頃に目が覚めた時、誰の物か分からない女性ものの下着とパジャマを着ていたんだが全く記憶にない。
丁度そのタイミングで部屋の前を通り掛かったカレンに、「ご自身を慰めるのも偶には良いですが、そのまま寝てしまうのは問題ですので毎日は控えてくださいね」と扉越しに言われたので、多分だが気を失った全裸の俺をみたカレンが服を着せてくれたんだろう。
俺はあまりの恥ずかしさに毛布を頭まで被り、枕を濡らしながらもう一度寝る事にした……。
星&感想PLZ




