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西暦3000年の最強ロボットが異世界転生~未来の演算能力を持つ美少女オートマタは、レトロな魔法世界を無自覚に無双するようです~  作者: 無呼吸三昧
異世界転移転移

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04-007 「あれ?いまさらファンタジー?」

大好きなグダグダタイムでございます。


「おい、保冷車ホレー

突入角度が深すぎるっつってんだろ!

このままだと摩擦熱で燃え尽きるんだよ!」


『問題ありません。

外殻シェル内部の大気層を確認。

冷却機能、最大出力。

……マグロ冷凍便モードで突入します。』


「誰がマグロだ!!」


俺とシルビアを乗せた巨大な保冷車型宇宙船は、鋼鉄の惑星――変わり果てた地球へと突っ込んでいった。


窓の外では、圧縮された大気が断熱圧縮で赤熱……する暇もなく、ホレーの超強力な冷気によって瞬時に凍結していく。


傍から見れば、それは燃える流星ではなく、巨大な氷塊アイス・メテオに見えたことだろう。


「わぁ~、綺麗ですね~!

青い流れ星ですよ~!


そうそう、ビャッ子ちゃんってこの世界来てからずっと淑女モード忘れてますよね?」


「悠長なこと言ってんじゃねぇ!

わかってるから。

ワザとだから。


マジ衝撃に備えろ!

舌噛むなよ!

って、ロボや霊が舌嚙まねぇのもわかってるけどさ!」


ドオォォォォォン!!


凄まじい轟音と衝撃。


俺たちの乗った宇宙船は、何か柔らかいもの(森?)をなぎ倒しながら、長い長い地滑りを起こして停止した。


プシュー……。


各所から蒸気……いや冷気が吹き出し、システムダウンを知らせる警告音が鳴り響く。


「……い、生きてるか?

シルビア?

あ、やべ」


「は~い。

ちゃんと死んでますよ~。

幽霊ですからこれ以上死にませ~ん。」


「あ~…ホレー、状況報告。」


『……船体損傷軽微。

コンプレッサー、想定温度のため停止。

庫内温度……チルド状態を維持。

積み荷の鮮度は良好です。

想定消費期限に変更はありません』


「だから俺らは生鮮食品じゃねぇっつーの。」


俺はシートベルトを外し、歪んだハッチを蹴り開けた。


「よしシルビア、外に出るぞ。

どんな星なのか確認しないとな。」


俺は覚悟を決めて、外へと飛び出した。


そこには、俺の予想を遥かに超える光景が広がっていた。


錆びついた鉄骨の廃墟。


汚染されたヘドロの海。


空を覆う有毒なスモッグ……


そんなサイバーパンクなディストピアを想像していた俺の目の前には…


「……は?」


青い空。


白い雲。


見渡す限りの深い緑の森。


大・自・然


そして遠くに見える、石造りの古城。


「わぁ~!

綺麗!

まるで絵本の中の世界ですね~!

ここがビャッ子ちゃんの故郷って感じですか?

全然機械っぽくないですね?

私の生まれ故郷より田舎ですね~」


シルビアが森の空気を胸いっぱいに吸い込み(幽霊だけど)、クルクルと回って喜んでいる。


俺は呆然と空を見上げた。


「……なんだこれ?


さっきまで宇宙から見てた時は、完全に鉄の塊だったよな?

デス・スターだったよな?


中に入ったら大自然ってどういうことだよ!」


俺は慌ててHUD(視覚情報ディスプレイ)を起動し、環境スキャンを行った。


『[SCANNING] ……大気成分:正常。

窒素78%、酸素21%。

気温24度。

湿度50%。

人類生存において極めて快適な環境です。』


「快適すぎる……。

人工的に調整されてるとしか思えないんだけど。」


俺がいぶかしげに目を細めて空を確認すると、やっぱり青空の合間に「継ぎ目」があるのが見えた。


ステファニー筐体に実装された高性能なサーチアイが、雲の端っこが一瞬、電子ノイズのように歪むのを捉える。


「……なるほど。

空は全面ディスプレイ(人工空)か。

解像度はかなりあるんじゃないか?

肉眼じゃ絶対バレないレベルだぞ。」


どうやらこの世界、外側はガチガチのSF要塞だが、内側は徹底して「古き良き自然」を再現しているらしい。


いわゆるスペースコロニーの内部みたいなものか。


それにしても、再現する文明レベルが低すぎないか?


遠くに見える城なんて、どう見ても石積みだぞ。


「ビャッ子ちゃん!

見てください!

あそこで誰か戦ってますよ!」


シルビアが指差した先。


街道のような開けた場所で、数人の人間が何やら巨大な影と対峙していた。


俺は自前のズーム機能で視界を拡大してその様子を確認する。


「……騎士?


それに…え?魔法使い?」


銀色の鎧を着て剣を構える男たち。


そして、ローブを着て杖を掲げる女たち。


彼らが必死に戦っている相手は――。


「ギャオオオオオオン!!」


全長10メートルはあろうかという、巨大な赤いドラゴンだった。


「うわぁ!

ドラゴンですよ!

ファンタジーですね~!

やっぱり異世界転移したんじゃないですか~?」


気が付いたらシルビアが結構近くまで行って観戦モードだ。


「いや、ここは確かに地球って言われてる場所っぽいな。

ホレーの座標計算をハッキングしたけど間違ってないっぽい。」


なにハックしてんだって?

だってあんなAIに任せてたら埒があかないだろう?


「……にしても、なんで地球にドラゴンがいんだよ。

ジ〇ラシック・パークでも開園したのか?」


俺は困惑しつつも、とりあえず彼らの戦闘を分析することにした。


現地の騎士たちが叫ぶ。


「ひるむな!

奴は伝説の魔獣、バハムートだ!

聖なる遺物アーティファクトの力を使うんだ!」


「はっ!

魔導師部隊、『雷の杖』(近接)用意!」


ローブを着た女性たちが、懐から奇妙な形の棒を取り出した。


そして、ドラゴンの足元に向けて突き出す。


バチチチチッ!!


「……おい。」


俺は思わずツッコんだ。


「あれ、どう見てもスタンガンだろ。

しかも直接当てるのって魔法っていえるんか?」


彼女たちが「雷の魔法」として崇めているのは、どうやら文明崩壊前の遺物、高出力スタンガンらしい。


だが、巨大なドラゴン相手にスタンガンが効くわけもない。


ん?


サイズ次第では効くのか?


まぁいいや。


結果、ドラゴンは意に介さず、巨大な尻尾を振り回した。


「ぐわぁぁぁ!」


騎士たちが吹き飛ばされる。


「くっ……!

雷が効かないだと!?

ならば『聖なる光の板』を使え!」


別の男が、四角い薄い板を取り出し、ドラゴンに向けた。


だが、板は黒い画面のままだ。


「な、なぜだ!?

神よ、なぜ光りたまわないのですか!?」


お…おおぉ、あれは伝説のyPadじゃないか!

って世界観ごっちゃごちゃだな。


大体あれ、ただのタブレット端末だもん。

光ったって動いたって効果ねぇだろ。


俺は頭を抱えた。


どうやらこの世界、一度文明が完全に滅んでいるらしい。


そして、残された科学技術の残骸オーパーツを、使い方も分からずに「魔法」や「伝説の武器」として崇めている。


いわゆる『失われた超文明』系ファンタジーってやつだ。


「ビャッ子ちゃん、助けてあげないんですか?

あのままだと食べられちゃいますよ?」


「……アレが人間食べるかなぁ。」


「え?」


シルビアが全力で?を浮かべている。


「まぁそうだよな~。

種明かししてやるからちょっとまってろよ。」


俺は足元の小石を拾うと、スラスターを吹かして一気に戦場へと飛び出した。


「よっと!」


シュタッ!!


高速で移動しドラゴンの目の前に着地。


舞い上がる土煙。


突然の乱入者に、騎士たちもドラゴンも動きを止める。


「な、何者だ!?」


「新手か!?」


そんな状況でチョリッスな感じでポーズするビャッ子。


見た目美少女なのでサマにはなっている。


「下がってな。

そんなんじゃ、そいつは倒せねぇよ。」


あれ~、なんかセリフ男らしいな~って男なんだけどさ。

ずっと俺の素が外に出てて、ステファニーが全然仕事してない感じ?

これはこれで楽なんでいいんだけどな。

この世界だと貴族の子女って設定もないしな


そんなことを思いながらも、俺は騎士たちを背に庇いつつ巨大なドラゴンを見上げる。


近くで見るとよく分かる。


質感、光の反射、影の落ち方。


全てが計算され尽くされてる。


そう。


『パーフェクトホログラム(有質量虚像)』


だ。


俺のHUDには、既に解析結果が表示されていた。


『[Target] Solid Hologram (Dragon_Type_V2)

[Source] Combat Training Drone #200 (Error: -)

[Status] Random』


自動周回モードか?


「グルルルル……!」


ドラゴンが口を大きく開け、喉の奥で炎が渦巻く。


「危ない!

ブレスが来るぞ!」


騎士が叫ぶ。


だが、俺は動じず、手に持っていた小石を親指と中指で弾いた。


簡単にデコピンの要領だが、指のパワーのお陰で威力はレールガン並みだ。


ヒュンッ!!


音速を超えた小石が空気を切り裂く。


狙うのはドラゴンの眉間――ではない。


ドラゴンの遥か頭上、何もない空中に見えている空間波動の「揺らぎ」だ。


パカァァァァン!!


何かが砕け散る音がした。


空中で爆発が起き、黒い機械の破片がバラバラと落ちてくる。


その瞬間。


「……!?」


ドラゴンは断末魔を上げることもなく、フッとテレビの電源を切るように消滅した。


後に残ったのは、静寂だけ。


「……え?」


「消え……た?」


「一撃で……魔獣バハムートを消滅させた……だと?」


騎士たちがポカーンと口を開けている。


俺は落ちてきた機械の残骸――『自律型戦闘訓練ドローン』を確認した。


「うーん、落とすだけにしたかったけど案外脆いな。」


粉々の部品を拾って確認するが、大したものはなさそうだ。


「す、凄い……!」


リーダー格の騎士が、震える声で俺に歩み寄ってきた。


「貴女……いや、貴方様はいったい!?

伝説の魔獣を一撃で葬り去るとは……!

もしや、古の予言にある『天空より降り立ちし銀の聖女』様では!?」


「は?

いや、俺はただの別の星から来た旅行者だぞ?」


「おお!

聖女様!

どうか我らをお救いください!」


「聖女様バンザイ!」


騎士や魔導師たちが一斉にひれ伏した。


俺は遠い目をして天を仰ぐ。


どうやらこの世界では、ちょっと良くわからん子女を「聖女」扱いするらしい。


「ビャッ子ちゃん、凄いです~!

適当な対応でいきなり英雄ですね~!


服も可愛いし、いいイメチェンじゃないですか?」


シルビアが呑気に拍手している。


「……嬉しくねぇよ。

って服?

イメチェン?

シルビアの服がこの世界に来た時にゴスロリになってたのは知ってるけど…」



……


お!俺の服もゴスロリってるじゃねぇか!!


いま気が付いたわ。


シルビアが黒ベース、俺が赤ベースだったのか…

こんな可愛い服着てたんだったら、もう少し可愛くしとけばよかった…


じゃねぇよ!


「とにかく、ここが俺の知ってる地球じゃないことは確定したな。」


「え?私の服?

あ~っ!カワイイ~。

気に入りました。

ってビャッ子ちゃんとお揃いだったんですね!」


「ここが地球です」


にべもなくホレーの通信が響く。


「俺の知ってる地球文明はどこ行ったんだよ!!」


俺の悲痛な叫びは、美しい(人工の)青空に吸い込まれていった。


外はSF、中身は文明崩壊後の勘違いファンタジー。


それって、普通になろう系ジャンルじゃね?

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