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西暦3000年の最強ロボットが異世界転生~未来の演算能力を持つ美少女オートマタは、レトロな魔法世界を無自覚に無双するようです~  作者: 無呼吸三昧
車、作っちゃおうぜ

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03-007 「飽き飽きした日常と、二度目のアレ」

なんか平和すぎて様子が…


国営レースでの歴史的大勝から数ヶ月。


王都の風景は、劇的という言葉では生ぬるいほどに変貌を遂げていた。


俺とシルビアは、王都の目抜き通りに面したオープンカフェで、行き交う車を眺めていた。



「♪バーイトするならマクダクル~

 バーイトするならマクダクル~

 高収入~!」



大音量で脳を溶かすようなテーマソングを垂れ流しながら、ド派手なトラックが目の前を横切っていく。


荷台には『ケーキ職人募集中!』『日給・金貨一枚!』という巨大な広告看板。


いわゆる『アド・トラック』だ。


これ、俺のいた世界じゃ夜の店とかの宣伝に使われてたやつだよな……。


まあ、ケーキ屋も夜遅くまでやってるし、似たようなもんか(違う)。



さらに、その直後。



「マクダクル・ケーキのエナジーチャージはいかがですか~!」



屋根に巨大なショートケーキのオブジェを乗せた、銀と青のツートンカラーの小型車が走ってくる。


綺麗なお姉さんが窓から身を乗り出し、試供品のミニケーキを通行人に配っている。


某・翼を授けるエナジードリンクの宣伝カーのパクリだ。


あれの屋根に乗ってるのは缶だが、こっちはケーキだ。


インパクトだけは無駄にある。



「……なぁ、シルビア。」


「はい~、なんですか~?」


「カオスだ。

 俺の知ってる王都が、どんどんマクダクル色に侵食されていく。」


「いいことじゃないですか~。

 マクダクル家の繁栄は、ビャッ子ちゃんの手柄ですよ~。」



シルビアはのんきにパフェ(マクダクル製のアイス使用)を食べている。


確かに事業は順調だ。


順調すぎて、正直に言うと……。



「……飽きた。」


「贅沢ですね~。」


「いや、だってさぁ。

 車は売れまくり、レースは連戦連勝。

 グレイブル兄さんは税金計算と製造ラインの管理で死にそうになってるし、姉さんたちは研究室に引きこもって出てこない。

 俺のやることは、たまにこうして市場調査するくらいだ。」



俺はストローでアイスティーをかき混ぜた。



「なんつーか、こう……刺激が足りないんだよな。

 何かデカイ トラブルでも起きないかねぇ。」


「フラグですよビャッ子ちゃん。

 平和が一番ですってば~。」



シルビアが呆れたように言った、その時だった。



カッ!!!!



視界が真っ白に染まった。


太陽が爆発したのかと思うほどの、強烈な光。


俺とシルビアの直上から、何かが降り注いできたのだ。



『[WARNING] 未知の超高エネルギー反応を検知!』

『[ALERT] 魔力パターン測定不能! 空間座標が歪曲しています!』



脳内HUDが真っ赤に点滅し、警報音が鳴り響く。



「なっ!?

 なんだこれ!?

 うわぁぁぁぁぁ!!」


「きゃぁぁぁぁぁ!!

 ビャッ子ちゃぁぁぁん!!」



俺たちは抵抗する間もなくその光に呑み込まれ、カフェの椅子から忽然と姿を消した。



◇◇◇◇



……ガガッ……再起動……。


……システムオールグリーン……。



「……う、うぅ……。」



俺はゆっくりと目を開けた。


そこは、王都のカフェではなかった。


荒涼とした大地。

見たこともない植物。

そして空には、不気味な色の雲が垂れ込めている。



「……目が回ります~。

 ここ、どこですか~?」



横でシルビアも目を覚ましたようだ。

幽霊なのに目が回るのか。



俺はすぐに立ち上がり、周囲をスキャンした。



「現在地確認……マップ照合……。」



『[SYSTEM NOTICE] 現在位置特定不能。該当するマップデータが存在しません。Unknown Area.』



「……は?

 アンノウン?

 該当なし?」



俺は呆然とした。


王都周辺なら、俺のデータベースに地図が入っているはずだ。

それが無いということは、ここは未開の地か、あるいは……。



俺はふと、外部センサーの大気成分分析結果に目をやった。



『[WARNING] 大気汚染レベル:危険。

 未知の有毒ガスおよび致死性ウイルスを検出。

 生体活動には適しません。』



「……つか、実際には転移したっぽいけどこれ、大気組成的に前の世界の人間だと死んでる成分分布じゃねぇか。

 俺とシルビアじゃなかったら確実にデス転移だろ!」



そう。

俺はロボット(無機物)。

シルビアは幽霊(死んでる)。


だから平気で立っていられるが、もしグレイブルたちが一緒だったら、呼吸した瞬間に即死しているレベルの過酷な環境だ。



「ビャッ子ちゃん……ここ、もしかして……。」


「ああ、間違いない。」



俺は毒々しい色の空を見上げた。



「異世界にいて異世界転移かよ!

 ふざけんな!

 新機軸すぎるだろ!!」



俺の絶叫が、誰もいない荒野に虚しく響き渡った。


こうして、俺たちの「二度目の異世界生活」が、最悪の環境から幕を開けたのだった。


次話、新編「異世界転生転生」へ続く!

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