第三話 弱肉強食
僕は早速、暗くなるのを待って外に出た。
そして翔の家が見える所から、翔が家を出るのを
待った。
こういう金銭のトラブルは、夜中の誰もいない
所でやるもんだ。
しばらく待つと、家から翔が出ていく姿が見えた。
僕は見つからないように尾行し、翔の後を追った。
尾行を続けて着いたのは、住宅街から離れた
場所にある公園だった。
確かに、見た目も場所も、闇取引的なことを
するのに好都合だ。
翔が公園の奥にある大きな木に近づくと、そこには
既に優等生野郎と数名の男女がいた。
『よぉ、翔、約束のもんは持ってきたか?』
『はい・・・。』
そう言うと、翔は封筒に入った札束をポケット
から出した。
そこまで分厚くない所を見ると、おそらく
十万円ほどだろう。
『ちゃんと持ってきてくれて偉いなぁ、それで
こそ俺の財布だ。』
優等生野郎どもは翔の惨めな姿を見て、馬鹿に
するように笑っている。
僕はこの光景をスマホで撮影していた。
助けに入りたいが、もっと奴らを裁くにあたる
証拠が必要だ。
すまん翔、もう少しだけ耐えてくれ。
『じゃあ、早速それ貰おうか。』
優等生野郎が手を前に出し、翔は封筒を奴に
渡そうとした。
だが、翔は急に封筒を渡そうとする腕を止めた。
そして、何か考える顔をした後、翔は封筒ごと
札束を手でビリビリに破いた。
『あぁぁぁ!! 俺の金が!! テメェ何して
やがんだ!!』
そう言うと、優等生野郎は翔の顔を殴った。
翔はというと、殴られた拍子に地面に倒れたが、
落ちていた石を拾い上げ、優等生野郎の頭に
投げつけた。
『イッテェ!! この野郎!!』
優等生野郎が痛がるのを見ると、翔は自分の
怒りを奴らに言い放った。
『お前らいい加減にしろよ!! 僕が親と高校に
内緒でバイトしているのを知って、黙っている
代わりに口止め料を払えって、ふざけてる
のか!! これは僕が両親のために稼いだ
金だ!! アンタらに渡すくらいなら、
破り捨てたほうがマシだ!!』
『この貧乏ガキが・・・この俺に逆らってんじゃ
ねぇぞ!!』
『僕はもう、アンタらには従わない。親にも先生
にも正直に言う。もう僕は一人で抱え込む
ようなマネはしない!!』
『チッ、お前ら!! もうコイツは用済みだ。
殺して埋めちまえ!!』
優等生野郎が指示すると、男女らはバットなどの
武器を取り出した。
翔は完全に包囲されて、もう逃げ場がない状況だ。
僕は撮影を止めて、持ってきた大量のロケット
花火にライターで火をつけ、優等生野郎どもの
方向に花火の先端を向けた。
数秒後、ロケット花火は優等生野郎どもの方向に
向かって発射され、奴らの足元で爆発した。
奴らが慌てふためく様子を見る感じ、きっと火傷
したのだろう。
『クッソ、誰だ!?』
僕は優等生野郎どもに近づいた。
はぁ、遂に僕の本性を出すしかないかぁ。
『高校一の優等生、その正体はヤンキーグループ
のリーダー、礼儀正しい姿は仮面に過ぎず、
その実態は極悪非道なクズ野郎。』
『お前は・・・転校生の!?』
優等生野郎どもが僕がいることに驚いている
隙に、翔は僕の後ろまで走ってきた。
『よく頑張ったな翔、後は任せろ。』
『春馬君、君は一体・・・。』
僕は行動を起こす前に、一つ優等生野郎に質問を
することにした。
『なぜ翔から金を奪い続けた? 翔以外にも
高校中に、もっと金持ちの奴らがいる
じゃないか。』
『はっ? お前さ、分かってねぇな。 そいつの
家は貧乏なんだ。 貧乏な奴から金を奪って
こそ面白いんじゃねぇか!!』
『そうか・・・やっぱりお前、どうしようもねぇ
クズだな。』
『なんだとゴラァ!! やっちまえ!!』
優等生野郎が一人の男に指示すると、男は僕に
向かってバットを振り上げてきた。
この適当な動き、やっぱり素人だ。
僕はバットを避けると、男の両足を引っ掛ける
形で蹴り、バランスを崩した男の腹を瓦割りの
ように拳で叩きつけた。
男は嘔吐すると、あまりの激痛に気絶した。
もちろん、優等生野郎どもはドン引きしている。
『なに!? お前らも行け!!』
他の男らも僕に攻撃しようとしたが、僕の三連続
回し蹴りで頭を打ちつけられ気絶した。
女子どもはというと、この光景を怯えて見ている
だけで何もしようとはしない。
『お前らは僕の嫌いなタイプだ。力が無いくせに
自分よりも弱い人間を食い物にして、都合の
いいように使い回す。本当に悪趣味だ!!』
すると、女子の一人が僕のセリフを聞いてイラ
ついたのか、バッグの中からスタンガンを取り
出して突進してきた。
僕は右足を上に振り上げ、女子の手からスタン
ガンを弾き飛ばし、そのまま女子の腹に
肘打ちを叩き込んだ。
女子は気絶し、他の女子どもは怖がって逃げて
行った。
『テメェ、なんでこの人数を!?』
『僕の父親は探偵でな、なんかあった時のために
稽古をつけてもらってんだよ。あと僕は昔から
仮面ライダーって作品が好きでな、マネしてる
うちに鍛えられてた。』
『けっ、何が仮面ライダーだ。やっぱり子供騙し
じゃねぇか。 俺がスポーツ万能なことを
忘れてんじゃねぇのか!!』
そう言うと、優等生野郎は僕に飛び回し蹴りを
当てようとした。
しかし、僕は体を低くしたことでそれを避け、
同時に僕は奴の顎にアッパーを繰り出して、
奴の体を宙に打ち上げた。
さらに追い打ちで、逆に僕から飛び回し蹴りを
優等生野郎に喰らわせた。
『うぎゃぁぁぁ!!』
『痛いだろ。 翔はお前の痛み以上に苦しみ、
我慢してきたんだ。 自分が耐えられない
痛みを他人に与えて、しかもその姿を見て
楽しんでんじゃねぇ!!』
『ぶっ、ぶっ殺してやる!!』
優等生野郎がナイフを取り出した。
結局は道具に頼るしかない、真の弱者にして
卑怯者が!!
『あぁ、そうそう。 お前らの行い全部撮影して
ネットとかに流しておいたから。退学逮捕は
もう確定だね。』
『はっ!? ふざけやがって、お前だけでも
殺してやる!!』
優等生野郎がナイフを滅茶苦茶に振り回して
走ってきたが、問題ない。
僕は平成最初の『仮面ライダークウガ』の構え
ポーズをとると、優等生野郎に向かって突進、
ジャンプと同時に空中前転し、その勢いで
奴の体にキックを叩き込んだ。
『マイティキック・・・おりゃぁぁぁ!!』
『うがぁぁぁ!!』
空中前転で威力を増したキックが当たったのだ。
そりゃあ叫びたいほど痛いだろう。
もしかしたら、どこかしらの骨が折れているかも
しれない。
そして気づいたのだが、キックの衝撃でナイフが
奴の頬をかすってしまい、血が流れていたので
ある。
奴も自身の体の状況を理解し、特に頬の傷に
ショックを受けていた。
『俺の・・・俺の顔が!! あぁぁぁ・・・。』
優等生野郎はショックのあまり、まるで力尽きる
ように気絶した。
今回の闇暴き、これにて達成。
第四話に続く・・・。




