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第一章 転生して、まずチュロスが食べたい


 目の前に広がるのは、見知らぬ城の寝室。

 天蓋付きのベッド、絨毯、暖炉、そして窓の外には中世ヨーロッパ風の街並みが広がっている。


「まさか……これって、もしかして……」


 私の頭に浮かんだのは、あるウェブ漫画のタイトル。


『皇太子の初恋は、』


 私は前世で、その漫画の大ファンだった。

 ウェブ版は課金して今あがってるお話まで読んでるし、コミック版も全巻買ってる。

 そして今、私はその世界にいる。

 しかも、その漫画の登場人物──悪役令嬢のカズヤ・ティマシア・グレイヴ として。


「まさか、まさかですよ……まさか私がカズヤ・ティマシア・グレイヴ に転生するなんて……」


 カズヤは漫画では、平民出身のヒロインであるアデーラを妬んでいじめたり、罠を仕掛けたりする。

 皇太子の婚約者である自分を守ろうと必死になるが、最終的に追放され、国外追放or暗殺される運命のキャラ。


「……いや、待てよ……今ならまだ序盤だ。漫画のストーリーが始まる前。つまりまだ何も起きてない……!」


 私はベッドから飛び起きた。


「ということは、まだなんとかなる!」


 なんとかなるよ。絶対大丈夫だよ!

 これは私が子供の頃読んでいた少女漫画の主人公が言ってたセリフです!


 いや、ホント、マジでそう思う。


 前世では毎日残業でストレスまみれ。

 休日はコンビニスイーツを片手に、好きな漫画に没頭する日々。

 そんな私が、この異世界に来たのだから──


「自分の好きなように生きよう!」


 そうして私の心に浮かんだのは、とあるスイーツの名前。


「……チュロス」


 私は前世でチュロスが大好きだった。

 サクサクの衣、中はふわっとしていて砂糖とシナモンがまぶされて、温かい状態で食べると至福の味。


「……この世界にチュロスってあるのかな?」


 調べてみたところ、この国には揚げ菓子はあるが、「チュロス」という概念は存在しないらしい。


「……チャンスだ。スイーツ屋を開こう」


 幸いにも悪役令嬢カズヤ・ティマシア・グレイヴ は、公爵家の娘だ。

 この国では皇族の次に財力を持つ。

 起業するのは難しくないだろう。


 悪役令嬢?

 必要ない。

 漫画の中の主人公と皇太子は、悪役令嬢がいなくても結ばれていた。

 私は『悪役令嬢』じゃなくて、『チュロス屋の店主』になる!


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