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女神さまに実家のまろ助(柴犬)を犬質に取られたので、主人公を追放する父親に憑依転生することになりました。  作者: ルル・ルー


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14.一日デート権





 王都のとあるカフェにて、俺の目の前に座る男は満足げな表情と共にケーキを頬張っていた。


「幸せな時間をありがとうございました。ここ数年で一番有意義な1日でしたよ」


「そうか」


 午前中は劇場へ歌劇を見に行き、昼食を挟み美術館を経由した後、この場に到着した。


 先日の夜会の中で娘ちゃんの怪我を治してもらった対価として、ルーカスが指定したお願いというのは、俺との一日デート権だった。


 可愛らしいお願いだが、おかげで明日の新聞には俺とルーカスの密会が載ることになるだろう。

 明らかに男2人で出かけるコースではないからな…。外堀を埋められている感も否めないが。

 奥さんの機嫌が地の底まで下がるのは目に見えている。


 一応、今日の予定については奥さんにも伝えている。

 コースに若干のデート臭はするもののその健全さに念を押しているのだが、いかんせん、この男が開けっぴろげに俺の愛人なんかに立候補しているのがいけない。

 何をしても不実な行動に見えてしまう。


 今日の夜は寝れないだろうなーと現実逃避しながらコーヒーを口に運ぶ。

 ちなみにルーカスは大の甘党だが、俺は今世も前世も甘いものは苦手だ。


 その後も彼の話は途切れることはなく、俺はそれを黙って聞いていた。

 今日は一日中こんな感じである。

 何がそんなに楽しいのか分からないが、まぁ笑顔だからいいかという感想を抱く。

 可愛い後輩のような印象だな。

 ……もしかして絆されてるのか?


 そんな時、部屋にノックの音が響く。


 今いる部屋はこのカフェで一等景色がいい個室である。

 2人きりだとルーカスの行動が怖いので使用人を数人入れており、外にもうちの護衛が構えている。

 それでもこの場を訪れるということは、つまり訪問者はそれなりの地位の貴族であるということだ。


 デート中に邪魔が入ったことに不機嫌そうなルーカスの表情を横目に、使用人に視線を送る。

 開けられた扉の先には夜会で見かけたことのある壮年の顔があった。


「突然の訪問、恐れ入ります、公爵閣下」


「ああ」


「何の御用です?ランベール辺境伯。私と閣下は今忙しいのですが」


 辺境伯。公爵家と同じく私兵を持つことを許されている数少ない爵位である。


「閣下が珍しく街にいらっしゃったと耳にしましてな、思わず足を運んでしまった。内々にお話ししたいことがあるのだが」


 そう言って人当たりのいい笑顔と共にチラリとルーカスに視線を向ける。

 記録に残らないこの場所で2人きりで秘密の話をしたいのだろう。

 ちなみにその内容については、おおよその見当はついている。


「ルーカス」


「閣下ッ、今日は一日私にお時間を下さるというお約束だったじゃないですか!」


 そう言って追い出すなんて酷いと全力で伝えてくる。1秒たりとも俺から離れるつもりはないらしい。

 しかし、そこにいる辺境伯はルーカスの実家、伯爵家より爵位は上なのだが、そんな風に駄々をこねて大丈夫なのか?

 まぁルーカスが我が道を行く人間であるのは周知の事実ではあるのだが。

 辺境伯もその辺りあまり気にしない人だし…


「ルーカス」


 そんなことを思いながらもう一度、少し強めに名前を呼ぶと、俺に引くつもりがないのを察したのか、口をへの字に曲げ「かしこまりました」と渋々席をたった。


 この話、もちろん断るつもりではあるがルーカスを巻き込むつもりはない。

 いつか耳に入るだろうが、今ではないだろう。


「すぐに終わらせる。下で待っていろ」


「ッ、はい!」


 しゅんとしていたルーカスの背中にそう言うと、彼は嬉しそうに振り向きルンルンで部屋を出ていった。

 ……やはり絆されてるのか?


「仲がよろしいですな」


「ああ、なぜか懐かれている」


 この頃のルーカスは何となく前世の部下を思い起こさせるからか、放り投げずらいのだ。

 あと、明らかにわんこ系だしな。

 スイッチが入るとちょっと手に負えないが……。


 あー……、これは完全に絆されてるな……。




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(❁ᴗ͈ˬᴗ͈))))

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