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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

デスゲームで親友と殺し合った件

作者: 春乃 桜

徹夜した朝に吉◯家で牛丼を食べたら気持ち悪くなって幻聴が聞こえました。もしかしたら誰かの声だったりして……

 教室の広さほどの密封空間にて、俺と親友の(しゅん)は、互いに獲物(ナイフ)を持って対峙していた。


 なぜそうなったのか?


 事は数日前。旬と一緒に街を歩いていたら、スーツとサングラスを掛けた男たちに襲われ、気がついたらデスゲームに参加させられた。


 このデスゲームは二人一組のツーマンセル。

 100人の参加者、計50組が自分の命を賭けて戦うものだった。


 そうして様々な試練を乗り越えて、結果的に俺たちが最後の一組となり、

 

 ——これで解放される。


 そう思ったのも束の間。


「どちらかが死ぬまで解放しない」


 と、ゲームマスターの宣告により、最後の殺し合いが始まった。


 

 ただ、俺はこの戦いに納得がいっていない。

 

 デスゲーム以前からの親友を自分の手で殺めるのはもちろん。そのことを知っておきながら、傍観して楽しむゲームマスターにとてつもない怒りを感じていた。


 だからこそ、


「旬、俺たちが戦うのは間違っている。そもそも俺たちが戦うべきなのはゲームマスター。元凶であるあいつだろ!」


「まさか(わたる)。ゲームマスターに歯向かう気?」


「ああ。お前の力があれば、どんな奴でも倒せる。このゲームを潜り抜けたみたいに」


 旬は少し考え込んだ後、「協力する」と言ってくれた。


「じゃあまず、この部屋から脱出だな」


 この部屋の壁は鋼鉄で出来ており、普通に破壊するのは不可能だ。

 そう、普通なら。


「旬、お前の能力なら外に出られるよな」


 ——能力。


 デスゲーム開始時に与えられた超常的力のこと。


 旬の能力は、自分と触れた対象を半径10メートル以内でテレポートする能力。そして、密閉されていても理論上は外側に出ることができる。


「脱出するからこっち来て」


 俺は便利な能力だなーと思いつつ、旬の前に行く。

 

 ゲームマスターは俺たちの行動に対して傍観を続けている。


 何か考えがあるのか知らないが、その思惑ごとねじ伏せる意気込みでテレポートされるのを待っていた。


「ところで時間かかりすぎじゃないか? 何して……」


 旬の方へ視線を移すと、頭目掛けてナイフを振り下ろしていた。

 

「ッ⁉︎」


 間一髪のところで急所は避けたが、左腕が使い物にならなくなってしまった。


「何する旬! 協力するはずだろ!」


「ご……ごめん……ごめん」


 旬は離すかのようにナイフを落とし、小刻みに震えていた。


 ——まさか。


「ゲームマスターの仕業か!」


「その通りだよ。渉くん」


 その声は頭上のスピーカから発せられていた。


「旬に何をした」


「何って、旬くんにある提案をしたんだ」


「提案?」


「うん、渉くんも知っているだろう。旬君のお母さんが持つ現代の医療じゃ治せない病気。渉くんを殺したら直してあげるってね」


 ゲームマスターは嬉々として話していた。まるで褒めてほしいとばかりに。

 

「そんなこと……なんでできるんだ……」


「能力を開発したんだ。それくらいはできるよ」


「そうじゃない! なんでそんな惨いことができるのかって言ってんだ!」


 旬にとってお母さんは唯一の家族だ。そんな母親を天秤に掛け、弄ぶなんて。


 俺は溢れる感情を必死に抑える。だが、


「むしろ感謝してほしいぐらい。病気を治してあげるんだ。こんなことほぼ無いよ。あと、そうだ……」


 そして奴は最悪の一言を告げた。


「旬君、次躊躇いをしたら君のお母さん死んじゃうかもね?」


「えっ⁉︎ ……嘘だよね?」


 戸惑いながら旬は尋ねる。


「私が嘘をついたとき無いだろう」


 その瞬間、俺は感情の糸が切れた。


「――お前は人じゃない。人の形をした悪魔だ! 絶対に殺してやる」


「ふふっありがとう渉君、最高の褒め言葉だよ。それじゃあ二人とも頑張って殺し合って僕を楽しませてね」


「待て! 話はまだ終わっていない!」


 そうしてゲームマスターの声は途絶えた。



 くそッ。どうすればいいんだ。


 俺は旬の方を見る。そこには震えた様子は無く覚悟を決めた目をした旬がいた。


 どうやら俺を殺す決心がついたらしい。


「悪いけど母さんのために、死んで」


 その瞬間、旬は消えた。

 

 いや、視界から消えたと言うべきか。テレポートで俺の死角に回ったんだ。

 

 でも能力を知っている以上、対処は出来る。


 俺はすぐさま体を反転させ、横薙ぎにナイフを振るうが、少量の血飛沫が舞うだけでだった。


「ギリギリで避けたか」


 旬は後方にテレポートすることで、致命傷を避けた。


「前言撤回。便利じゃなくて厄介な能力だ」


「渉だって同じことが言えるよ。その目が無ければ2回死んでる」


 俺の能力は、この特殊な目だ。


 銃弾の弾道が見えるぐらいには動体視力が良くなる。


「そして、その目に反則的な反射神経が合わさることで銃弾さえも避けることができる。初めて見た時は驚いたよ」


「やけに称賛するな。お前らしくない」


「まあね」


 すると旬はナイフを下ろした。


「渉……初めて会った時は覚えている?」


「虐められていたお前を俺が助けた時だろ」


「その時、母さんの言葉を思い出した」


『誰かを助けられる人と友達になりなさい』


「母さんが言っていた人はまさに君だと思った。それから長いこと一緒に過ごしたけど、やっぱり母さんは見捨てられない」


「それがお前の答えなのか」


「うん。決断は揺るがない。だから最後に言わせてほしい。

——友達でいてくれてありがとう」


 笑顔でそう言うと、旬は再び消えた。


 旬の決意は相当なものだ。だから俺も気を引き締めないと死ぬ。


 でもさっきと同じパターンなら対処は出来るはず。


 そして上空から気配を感じた。


 ——上か!


 タイミングを合わせ、ナイフを振るうが、刃が当たるギリギリで消えた。


 今度は背後!


 そのままの勢いで背後に攻撃した。だが、また消えた。

 

 そうして四方にテレポートを繰り返しながら、息継ぎの無い連続攻撃をしてくる。


 ——まさか短期決戦⁉︎


 どこから攻撃されるかわからないから反応が遅れ、徐々にダメージを負い始める。


 ダメだ。左腕が使えたらまだマシだったが、右手だけじゃ捌ききれない。


 最後に一か八か。俺の前に現れた旬に渾身の攻撃を振り下ろす。


 だが、無様にもテレポートされて避けられてしまった。


「あっ……」

 

 ——死。


 その言葉が頭をよぎった。


 そうして俺は背中を刺されて……。






 ――死んだ。











 ******








 背中を刺されて俺は死ぬ。


 その光景が見えた。


 走馬灯かもしれない。


 でも、これが未来の自分だとしたら?


 俺は信じてみようと思う。



 最後の一振り。俺は攻撃せずに背後を振り返った。


 そこには驚いた顔をしている旬がいて、蹴り飛ばすことで一度距離を置くことに成功した。


 まさか……本当に見えているのか。


 すると、頭の中で旬が俺の右後ろにテレポートした映像が流れる。


 俺は映像通り、右後ろを見るとやはり旬が移動していた。


 これで確信した。俺は未来が見える。


 正確には5秒先で、視界内の対象者の未来。おそらく能力の覚醒、又は延長線上の力だろう。


「いくぞ旬。ここからは俺のターンだ!」


 それからの戦いは呆気ないものだった。


 旬は先ほどの猛攻でスタミナ切れを起こし、能力を使う頻度は落ちた。


 対して俺は未来が見えるからテレポートを正確に対処して、徐々にダメージを与えていく。


 そして……俺は旬を殺した。



「お見事!」

 

 部屋のスピーカからゲームマスターの声が響く。


 旬を殺す時、ロウソクの火を消すのと一緒の感覚だった。


 火を消すのは簡単だけど、照らされていた温かみが真っ暗になる感覚。


 俺はもうどうすればいいかわからない。


 そんな時だった。


「……渉くんには一つ、できることならなんでも叶えてあげよう」


「――⁉︎」


 ゲームマスターが今まで喋っていた事は聞こえなかったが、この一文ははっきり聞こえた。


「それは本当か? なんでも叶えてくれるのか!」


「ああ、もちろんだとも。旬君を生き返らせるなどの無茶な願いは無理だけど、現実的な願いなら叶えてあげよう」


「そうか、じゃあ降りてこい。俺が殺してやる」


「えーそんな殺すとか怖いよ渉くん。でも僕死にたくないし……こうしよう。

——僕とのデスマッチバトル。それでどうかな?」


「それでいい。俺たちをこんなことにしたお前をズタズタにしてやる」


「その意気だよ渉くん。じゃあちょっとそこで待ってて」


 それから5分ぐらい経っただろうか。


 部屋のドアが開いて、奴が入ってきた。


 黒のタキシードに黒のシルクハット、黒い杖まで。

 まさにゲームマスターという服装だった。


「まずはおめでとう。僕から細やかなプレゼントだ」


 そうして投げつけられたのは謎の液体が入った瓶だった。


「飲むといい。怪我も体力も全回さ」


 未来を見ると、切り傷や使えなくなった左腕は完全回復していた。


 仕方なく液体を飲む。


「まずい」


「ははは……仕方ないだろう。一応薬品なんだ」


「それで、敵に塩を送っていいのか?」


「全力でやってもらわないとゲームは面白くないしね」

 

「そうか。後悔するなよ」


 そして俺はすぐさま奴の懐に潜った。


 未来ではナイフで喉を一突、確実に殺していた。

 

 なのに、


「なッ⁉︎ 防いだだと!」


 現実では刀で防いでいた。


 俺は一旦バックステップで距離を取る。


「その杖、刀だったのか」


「なかなかおしゃれでしょう」


 奴の杖は偽装、支柱が鞘で中に刀身が隠されていた。

 

 そして何より、未来が違う。


 不具合か? それとも……。


「渉くん。君の未来が違って驚いているでしょう?」


 —— ⁉︎


 その顔、どうやら本当に未来が見えているようだね。


「何故わかった?」


「先ほどの戦闘、テレポートに対しての先読みが常人を超えていてね。まるで未来を見ているかのようだと思ったんだよ。まぁ確証は無かったけどね」


「でも未来は違った。何をした」


「普通は教えないけど、対等の勝負をするため特別に教えてあげよう。

 秘密は僕の能力——免疫にある」


「免疫?」


「その通り。風邪などが治った時に付くあの免疫だ」


「それが何故、未来視に繋がる」


「んーちょっと話は変わるけど、君たちが何故人智を超えた能力を使えるかわかるかい?」

 

「……わからない」


「まぁそうだよね。正解は、君たちの体に能力を発現させる薬を投入させていたんだよ」


 薬だと?


 ――まさか!


「デスゲーム開始前、気絶している時に投入したのか」


「うん。それで続きがあるんだけど、能力が発現する時に体が能力の力に耐えきれず破裂しちゃうんだよ」


「でも体は至って平気だが」


「免疫で力を抑えたんだ。それに伴い、能力が発現したては本来の半分ぐらいの力だろうね」


 そして……と奴は続ける。


「君の『動体視力を上げる能力』は本来の力ではない。能力が体に馴染んだことで『未来視』という元の能力が復元したんだ」


 未来視が……本来の能力。


「そして僕の体は能力に対して免疫がある。僕に干渉する能力ならば、何千度の炎でも未来視でも無効化されるんだ」


 なるほど、そういうことか。実際、奴の未来は見えないところまで来ていた。


「自慢の能力は僕には効かない。どう打開するつもりなんだい?」


 大丈夫。未来が見えなくても、『動体視力向上』は直接奴に干渉しないから使える。


 フィジカルでゴリ押せば勝てる。


 俺は接近戦で攻めることにした。

 

 奴の攻撃を的確に対処し、反撃する。そうすれば確実に追い込んでいけると思っていた。だが、


「もっと踏み込まないと。ほら左がガラ空きだよ」


「くそ!」


 奴は赤子を捻るかのように戦っている。


「目が良くても経験の差は覆せないようだね」


「まだだ!」


 俺は奴に突っ込んで行く。


 そして、奴との距離は5メートルはあった。でも気づいたら目の前に刃があって?


「ぐッ⁉︎」


 俺の右目は切られてしまった。


「もうダンスは終わりかい? もっと踊りたかったのに」


 勝てない。左目だけで勝てる相手じゃない。

 

 俺は無意識に俯いてしまう。これが戦意喪失というものなのか。


「もういいか。飽きてきたし、終わりにしよう」


 どうすればいいんだ、もう終わりか。


 旬の復讐も出来ずに……


 あれ?


 何で未来が見えるんだ?


 俺が切られる未来が見えた。恐らく2……3秒後の未来。


 ただ、今までは目に映る者の未来が見えていた。


 でも今は俺の視点。


 そうか。俯いた時に俺の体が視界に入ったから。


 ——いける!


「何⁉︎ 避けた? まさか!」


 そうして奴は二連撃を繰り出す。


 だが、見えているんだよ!


 俺は右足にカウンターを決め、初めて奴にダメージを与えた。


「何をした?」


「余裕がないから言わないけど、大丈夫か? 足元ふらついてるじゃないか」


「余計なお世話だよ」


 そうして戦闘が続いた。


 俺は自分の未来が見えるとはいえ、接戦を貫いた。


 大した奴だ。足を怪我してもこれほど動けるとは。


 お互いに切り傷を増やしながら、それでも攻撃を続けた。


「はぁはぁ……君はしつこいね」


「そう言うお前こそ」


「ふふ……そうだね。そして僕は最高に楽しいよ!」


「楽しいだと」


「純粋に全力で殺し合う。これほど楽しいことは無い。でも残念だ、このステージはもう終わる」


 そして奴は何かを投げてきた。


 何を投げた? 


 未来を見ても正体は分からなかった。


 俺はそれをギリギリで避けたが、


 ——鞘⁉︎


 投げつけたのは鞘で、俺はそっちに視線が行ってしまう。

 

「よそ見したね渉くん。これなら未来が見えないはずだ!」


 しまった、気づかれてたか。それに俺は視界に自分の体が映っていない。まずい!


 急速に接近され、俺の左足が斬りつけられる。


 右足で何とか蹴り飛ばし、追撃を免れた。


 でもこの足じゃ負ける。次で決めなければ!


 俺は痛みを堪えながらゲームマスターに接近する。


 ゲームマスターもこの距離では避けられないと判断し、接近してくる。


 そして両者、決死の一撃は……


「僕の勝ちだ!」


 刀とナイフのリーチの違い。


 最後の決定打は武器頼りだった。


 くッ! 届かない。


 ダメ……なのか。


 刀は俺の胸を突き刺……


「何⁉︎」


 刀は俺の胸を突き刺す前に、消えた。


 いや、違う。俺自身が奴の背後にテレポートしたんだ。


 そのままの勢いで、俺はゲームマスターの喉目掛け――ナイフを突き刺した。


「がはッ!」


 ゲームマスターは吐血し、前に倒れる。


「はぁはぁ……旬!」


 俺は倒れる旬の元へ駆け、手を強く握りしめる。


「痛いよ渉」


 旬の胸部には刺し傷があったが、心臓のギリギリ横で致命傷を避けていた。ただ、体はボロボロでいつ死んでもおかしくない。


「悪かった旬。許してくれとは言わない。もう友達と言わなくていい。でも生きてくれてるだけで嬉しい」


「僕も殺そうとしたんだ。お互い様、それに僕たち友達じゃなくて親友だろ」


「ああ。そうだな」


「……見事だったよ。君たち」


 ゲームマスターはうつ伏せのまま話を続ける。


「一ついいかな旬君。渉君に触れないでテレポートさせたのはどういうトリックかな?」


「対象に触れなくても有効範囲内をテレポートさせることができました。多分僕の能力があなたの免疫を克服したのでしょう」


「なるほど……君たちには驚かされたばかりだ。持っていきたまえ」


 そうして僕たちの元へ鍵を投げつけた。


「これは僕の部屋の鍵。部屋の中にさっき渡した回復薬と旬くんの……お母さんの病気を治す免疫薬がある」


「良いのか」


「僕に勝った戦利品さ……まぁ僕はこんな楽しい戦いができたんだ。満足して……逝けるよ」


 そうしてゲームマスターは息を引き取った。



 俺は鍵を拾い上げる。


「……待っていろ旬、今回復薬を取りに行くから」


 俺が行こうとすると、旬は腕を掴んで制止させた。


「渉、もう間に合わない。そんな気がするんだ」


「え?」


「だからそばに居てくれ」


「……わかった」



「渉。初めて会った時に一緒に食べたアレ覚えているだろ」


「ああ、覚えてるよ」


「墓場で一緒に食べたいんだ」


「何だよ縁起でもないことを……」


 そうだよ、縁起でもないことを。


 そして何故だか、涙が溢れてくる。


「……最後の頼みだ渉。母さんに俺の言葉を伝えてくれないか」


「……◯◯◯」


「わかった。伝えるよ」


「そうか……良かった」


 旬の手が脱力する。


「……旬」


 名前を呼ぶが反応がない。


「——旬!」


 そうしてデスゲームは幕を閉じた。




 あれから俺は警察に連絡した。


 旬の弔いや、後々問題になるのを避けるためだ。


 生憎、会場の中にはデスゲームの資料が残されており、俺は殺人などの罪には問われなかった。

 

 それから旬のお母さんは免疫薬のおかげで、徐々に回復していっている。


 俺は病院に足を運んで自分で旬を殺したと打ち明けた。


 旬のお母さんは事情を知っていたし、俺を責め立てはしなかった。


 そして俺は最後に旬の遺言を伝えた。


 『——母さん、体に気をつけて』


 病室を出て、帰りの廊下。旬の名前を呼びながら泣く声が微かに聞こえた。





 *****





 デスゲームから一ヶ月ぐらい経った頃、俺は旬の墓場に来ていた。


「ほら、約束通り持ってきたぞ」


 俺は持ってきた牛丼を墓の排石に置く。


 もっと早く来たかったが、取り調べ等のおかげで遅くなってしまった。


「じゃあ、いただきます」


 そうして牛丼をがっついて食べるが、


「やっぱり一緒に食べないと寂しいな」


 空を見ながら独り言を言う。


 その時だった。

 

「美味しいね、渉。ありがとう」


 すぐさま墓に振り返る。だが、旬はいなかった。


「……気のせいか」


 それと、能力のことは()()ことにした


 この力は社会に大きな変化をもたらす。


 そう感じたから。

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