第5話
今日はテスト結果のまとめ用紙が帰ってくる。
返却された秋の中間テストの結果は散々で、点数と平均点、学年での順位が記されたものがひとりひとり教師から手渡しされる。
ワタシの名前が呼ばれた。できるだけ目立たないように椅子を引く音を立てずに立ち上がり、教卓へと歩く。
「飛月さん。もし伸び悩んでいたら聞きに来てね。数学だったらわかるまで教えてあげられるから」
「・・・・・・はい。ありがとうございます」
嘘つけ。
前に3回行ったときは答えに乗っているような解説をつらつらと読むだけだったくせに。
その後これさえやればわかると言ってロクな解説もない自分で書いたテキストを進めてきたくせに。
「えー、皆さん。次の期末が終わったら2年生の3学期。
私たちはこれを3年生0学期と呼んでおります。受験する方は部活と文武両道に、しない方は就職に有利になるように様々な資格取得を目指してください」
――――ラブ・スター。龍之国。
この星・・・・・・この国は現在、少子高齢化や他国とのいざこざ、多く見舞われる災害で人口が激減してしまっている。
その影響でかつて存在した大学は姿を消し、中学校までで高校の授業を終え、15歳から18歳の期間で大学での授業を高校で受けるというスタイルなのだ。
つまり、数十年前と比較して受験勉強自体が難化しているということ。
まぁ、簡単に言えば。
学生の身分なんてさっさと終わらせて早く社会の歯車になれということだ。
「内点は高校受験にも就職活動にも影響しますからね、忙しい事を理由に授業中に寝てはいけませんよ。先生たちも忙しい中頑張っていますので。
――――では、一緒に助け合いながら勉強に部活に頑張っていきましょう」
はい、と真っすぐな生徒たちの返事が教室に響く。
――――何が、助け合いだ。
どいつもこいつも律儀に返事までしちゃってまぁ。
14年も生きてきて理解していないのだろうか。
学校は子どもをいい学校、いい就職先に入れさせるための道具としか見ていない。
だから成績の悪い生徒を教師は露骨に毛嫌いする。
あんな奴らと仲良くできる生徒の気が知れない。
・・・・・・世の中は、優れた人間だけを求めているのだ。
結果の返却が終わり、鐘が鳴る。
皆、結果はどうだったとかそういった話ばかり。
聞く気になんてなれない。言う気になんかなれない。
ましてや話すような人もいない。
成績は下位6割程度。
こんなことではロクな就職先もない。
プロ野球に入れなければ、若しくはさらに成績を伸ばさなければ、若しくは容姿がさらに良くならなければ、もう生きていくことはできない。
何なんだこの国は?
わざと良質な人間だけを生かそうとする政策でも立てているのか?
このまま大人になって、苦労して生きたとしても、地位も見た目も良くないと恋することさえできないだろう。
道端の小石。
誰にも見られない小石。
ワタシは、ワタシを見ていた。
急に腹が立って少しそれを蹴った。
ぽちゃんと音を立てて下水の穴へと落ちていった。
誰にも見られず。
誰にも認められず。
こんなドス黒くてドロドロとした沼へと沈んでいくだけの人生ならば・・・・・・
「・・・・・・ああ。そっか。そうだよな」
・・・・・・大人になるまで、生きなくていいのではないか?
ようやく筋トレできるぐらい身体が回復しました。
スクワット楽しい!!




