第4話
――――懐かしい小学校時代。
いつも応援しに来てくれる母に喜んでほしくて野球の練習をたくさん頑張った。
そのおかげでバッティングを中心に良い成績を収めることができ、リーグ内で神童と呼ばれたこともあり、
チームメイトたちから必要とされていた、なかなか良い思い出。
6年生になる頃には市の選抜にも選ばれ、プロ野球で使われている球場で試合をすることができたうえにホームベースを踏むこともできた。
努力の結果が伴えば、人は自信がつくものだ。
自分で叶えられそうなものに、手が届きそうだと思った時。
ワタシの中で一つの夢が生まれた。
『――――プロ野球選手になって、お母さんを楽にしてあげたい!』
お母さんの喜ぶ顔がたくさん見られるし、何より給料が良い。
昨今は女性のプロ野球も通常のプロ野球同様、熱気が出てきている。
まあ、それでも若干ルッキズム的なものがないと言い切れないのが残念なところだが。
それはまぁ、お金が溜まってきたら乳液とか買って整えればいいだけのことだ。
それ以上に必要なのは・・・・・・野球の実力。
今まで軟式でプレイしてきたが、プロは硬式だ。
小さいうちから慣れておいた方がいいと判断したワタシは、女子硬式野球の世界に入り込んだ。
当初は順調で、期待の新人友呼ばれていたが・・・・・・わずか2か月。入団してわずか2か月。
ワタシは――――腰を怪我した。
改めて考え直してみるとおかしいトレーニングだった。
12~3歳では扱い切れない重量を用いた、根性論に任せたトレーニングでは怪我をするのは当然。
それから1年。腰は多少楽になったが、バッターとして使い物にならないと判断され、意思を聞かれぬまま、投手になることを命じられた。
投げる場所のコントロールこそできたが、中々スピードが出ない。
思い切り投げると、ストライクゾーンから外れてしまう。
ブルペンでストライクを150回入れるまで帰ってくるなと言われ、投げ続けた結果・・・・・・・野球肩になってしまった。
以降は無理を続け、直りの悪い身体でもなんとか夢に向かって頑張り続けているが、
問題なのは、怪我だけではない。
「さっさと土運べよ!怪我人はチームの為に動くんだ!それが社会に出てから生かされるんだぞ!」
土を運んでブルペンのマウンド造り。
誰かが使って、削れたマウンドに土を補充して綺麗に整える日々。
隙間時間を縫ってストレッチや筋トレ。
使い物にならない・・・・・・使い物にならない・・・・・・
皆よりも1時間早く来てグラウンド整備を行い、皆がアップを始めている最中もグラウンド造り。
「飛月!早くしろよ!」
怒りのままに、監督がボールを地面に叩きつける。
あれは次怒らせたらノックと称してボールがこちらに飛んでくるに違いない。
使い物にならない・・・・・・使い物にならない・・・・・・
集団で生きるということは、自身を捨て道具と成り果てることなのだろうか?
社会で生きると言うことは、集団の為に尽くし果てることなのだろうか?
頑張って、頑張って、使い物にならなくなった瞬間捨てられることが、生きるということならば。
だったら・・・・・・そんなものであるならば。
――――大人になる前に、死んだ方がいいに決まっている。
寒いですね。体調を崩さないようにしないと・・・・・・




