第18話
初めて休日というものを味わっている気分だ。
・・・・・・何をしていいのかがわからない。
今まで野球に費やしていた時間がすべて空白になり、ワタシは何も手を付けられずにいた。
腰椎分離症の影響により、野球人生に幕を下ろすことになり3週間。
チームも辞めようと監督と年明け早々交渉になり、母親を巻き込んだいざこざになり、何とか頭を下げて辞めさせてもらうことができた。
「ねぇアイツ知ってるか?自信があってうちのチームに入り込んだくせに実力でかなわなかったからやめた弱者なんだぜ~」
チームメイトの一人が同じ中学にいる。そいつはワタシの事を学校中に言いふらし、裏切り者だとか、いずれ歩けなくなる障がい者だとかなんとか言って噂がものすごく広がっていった。
腰椎分離症は痛みこそ酷いものの、歩けなくなる症状ではない。
彼女の言っていることは根も葉もない誇張されたことである。
だが、成績も容姿もまぁまぁ良い彼女の言葉を信じる者は多くいたが、生憎人と関わりが希薄であったワタシにはあまりダメージがない。
しかしあまりにも噂が広がりすぎて同情の目線が多くなり、気分が悪い。
同じ立場になったこともないくせに、ロクな気にかけもしないくせに同情なんかするな。
咲さんは「気にしなくていいよ、あんなの」と何度も言ってくれているが、まぁ多少は精神にダメージが入るものだ。
それに、日に日に咲さんの声も心に響かなくなってきている自分がいる。
また・・・・・・人生に段々と色が抜け落ち散っている気分。
「なにこれ?」
そんな中、できる限り身体を動かそうと、腰に特注のコルセットを巻きながら家の中を片付けていると、
ヒラリと一枚の紙。床のそれを拾いあげる。目をやる。
「――――なに、これ?」
数字の羅列。記述された返済額という文字。
0の数。月日。預金残高。残りの・・・・・・
「――――まさか、このために?」
ほんとにやることがないと、どことなく自分ってなんで生きているのだろうと感じることがあります。
虚無感というのはどうやら魂を腐らせるみたいです。




