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みーちゃんは生きたい!  作者: トミー尾杉
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第14話

 教室は、相変わらずけたたましい。その騒ぎの本人がワタシであること以外は以前の通りである。


「なぁ、金もってない?くれよ」

「ない」

 以前右隣の女生徒からラノベを取り上げていた子からのカツアゲにきっぱりと返事をしてテキストを読む。

 ここでいつものように机に伏せてしまうと、泣いてる泣いてると喧しいのでテキストを読むことにしたのだ。


「ねぇわけねぇだろ!?前に本屋で見かけたぞ!教科書買う金ぐらいあんだろうがよぉ?」

「今手元にない。ないなら自分で稼げば?」

「あ?テメー、自分の立ち位置わかってんのか?」

 その言葉に、ふと教室全体を見つめる。


 こちらを見て心底楽しそうに笑う男子たち。この後どうするか話す女子たち。

 右隣の無人の席。退屈そうに頬杖をついて外を眺める金色の少女。


 ――――わかっていた。

 今までは友人なき孤独な立ち位置だったが、今は完全に孤立している。

 教室というか、この学校という子どもの世界しゃかいに――――ワタシの味方はいない。


「言ってること、わかるよな?」

 周囲を見渡し終わり、テキストを読むために少し下げた額に手が伸びる。

 正面に来ていたソイツは、ワタシの前髪を掴んだのだ。

 大層力を込めて掴んでいるのだろう、顔が若干歪んでいる。


「金、くれよ?大丈夫だ、くれるならこれ以上のことはしない」

「・・・・・・あげなかったら?」

「最近知り合いの男がさ、物欲しそうにしてるんだよ。ちょっと私の小遣い稼ぎのために・・・・・・」


 ――――バン、と。

 机をたたく衝撃の音に、教室が静まり返る。

 視線は、一点に注がれる。


 ――――ワタシでは、ない。

 髪を掴む手が緩み、彼女が右後ろを振り向いた。


「・・・・・・なんだよ、咲?『あの日』か?」

「・・・・・・つまんね」

 黄金の波のような艶のある長髪、人形の如き端正ある顔。

 小さな身長に怒涛な雰囲気を纏わせた少女が――――立った。


「あみ。少しうっさい」

「・・・・・・どうした、お前らしくない?マジで調子悪いんじゃねぇの?」

 髪は完全に解放された。少女の戸惑いは声音で十分なほど伝わってくる。


「かも。クッソ機嫌悪いわ。というか胸糞――――やりすぎじゃない?」

 少女が――――世界に入り込んできた。

 園田咲はカバンを持って、ワタシの元へ近づいてくる。

 可愛らしいキーホルダーがじゃらじゃらと、その音だけが教室を占領する。


「飛月、未来ちゃんだっけ?」

「・・・・・・なに?」

 園田咲。ワタシが気に入らない、気に入らない、視界にも映したくもない女。

 いつも幸せそうで、満たされていそうで、ワタシとは違う人種。


「バッグに物、まとめてくれる?」

 ――――そのはずだ。

 この手の奴は、自分から幸せや立ち位置を捨てるはずがない。

 なのに――――コイツは。


「学校から出ようぜ。ほら、早く」

 ――――自ら、こちらの世界に踏み込んできたのだ。


 予鈴が鳴る。担任が来る。園田咲とワタシの様子を見る。


「あ、せーんせ。アタシら今日休むわ、よろ~。ほら、突っ立ってないで、行くよ!」

「あ、待て園田!飛月!」


 ――――ほんとうに、あっという間だった。

 園田咲に手を取られ、一緒に走って教室を出る。担任が階段まで追いかけてくる。

 急いで下駄箱まで向かい、靴を履き替えて校舎をでて、


 何故だろう?

 ワタシは今、別の世界にいるような高揚感の真っ只中だ――――


今後投稿予定のものを夢中で書いてたら投稿が遅くなってしまった!

気を付けなければ!

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