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助手のマイケルはこういった野生動物の撮影に参加したのは初めてだ。
動物園のような管理されてる場所での観察はあるのだが自然界での動物を見ることは初めてになる。
改めていろいろ気づいたことがある。
彼女の生活は非常にシンプルなものだ。
食うと寝るが生活の最重要な基本だ。
草食動物なら食べるものに困ることはまずない。
彼女のような肉食動物だと自分の足で獲物を仕留めなければならない。
ライオンなんかよりはずっと狩りの成功率が高いと思われるが、それでも大変なことには変わりない。
それに水の問題もある。
衛生的ではない泥水でも飲まないわけにはいかない。
もし自分だったと思うとゾッとする。
寝るにしたって本当にリラックスして眠れるわけがない。
いつ襲われるかわからない。
他の肉食系の動物がウロウロしている。
寝込みを襲われたら終わりだ。
野生で生きていくって危険だらけなんだ。
自分がこんな生活してたら3日生きてられるか?
マイケルだけではなくキースも心配してることがある。
彼女のような肉食動物だけではなく野生動物全体が減ってきているのを危惧している。
アフリカだけではなく中南米や東南アジアなどもそうだ。
森林の減少や無秩序な用材の伐採などで野生動物の生息環境が破壊されていることが原因だ。
動物学者であるキースは定期的に野生動物の存在を確認しておきたいといつも思っている。
そして自然保護も世界的に訴えることも忘れてはいない。
だからテレビでの撮影であっても野生動物の現状を把握して撮影することも意義のあることだと考えている。
彼女は諦めた。
2日もなにも口にしてなかった。
インパラの子供を仕留めたまではよかったが、ほんの少し口にしたところへライオンのメスがやってきた。
1匹がすぐ2匹、3匹になってせっかく狩りに成功したのに彼女は追い払われてしまった。
1対多数では彼女に勝ち目はない。
インパラは諦めて他の狩りをするしかない。
幸いなことに次の獲物はすぐ見つかった。
シマウマだ。
大人のシマウマは狙えない。
ライオンなら別だが彼女が狙うには力不足だ。
子供がいればなんとかなるだろうがその姿が見えない。
場所を変えるしかない。
とにかくお腹が空いている。
早く食べないと動けなくなってしまう。




