これが白米じゃ!!
お米についてと料理について出てきますが、間違ってる所があると思うので、鵜呑みにはしないでください。すみません。
乾燥を始めて1日が経った。
うぇざりすとさんに手伝ってもらったおかげで、数日かかる乾燥を、1日で終わらせてくれた。
『本当にありがとうなのじゃ、うぇざりすとさんよ』
『いえいえ…!とんでもございません…私なんかが役に立てて光栄です…!』
『なんかなんて……うぇざりすとさんは天照様みたいに素晴らしいのじゃ!本当にありがとう』
『アマテラスさま……?』
うぇざりすとさんに米を送らないとじゃな!
そう思い、乾燥した稲を回収する。
回収の際、メロア君と料理長さんが手伝ってくれた。ありがたいのぅ〜
そして今は、とある一部屋に稲を持っている。
「さて……脱穀じゃ!!」
「「脱穀??」」
二人が目を丸くして見てくる。
「脱穀とは、稲から米を取り出す作業じゃ!えぇっと……千歯こきとか見たことないかのぅ?」
わしゃの質問に二人は眉をこばわす。
おやや…
「えぇっと……とりあえず!稲から種もみ…お米を外すのじゃ!」
「なるほど…では魔法で……って…」
メロア君が杖を稲に向けるが動きが止まる。
稲を見て、少し顔をしかめた。とは言っても、よく見ないとわからない程度に
「どうしたのじゃ?」
「どうやら、稲一つ一つに魔力がついてしまい、魔法の魔力が分散させられてしまうようです。とは言っても、あまり問題ないと思われます。」
表面上の笑みを着けてそう言ってきた。
魔力が分散……??
……つまり…魔法が使えないということか…?
「な〜んじゃ、そんなことか。もとより魔法でやろうとはしておらんのじゃ。」
「「えっ??」」
魔王様の発言に二人は目を見開く。
「本当は…脱穀機があればよいのじゃが、ここにはないからのぅ…昔ながらのやり方でやるのじゃ!」
そう言って取り出したのは、壺と蓋である。
「壺……それを使うのですか?」
「そうじゃ!よく見ておれよ〜」
そう言って、いくつか束にした稲を取る。
稲の米をついた方を壺の中に入れる。
この時、茎の部分をしっかりとつかんでおく。
そしたらその上から蓋をする。
あとは……
「一気に削ぐのじゃ!」
ザシャッ! カラカラン…
手に残るのは、米が取れた藁だけ。
「これを繰り返すのじゃ!」
時間はかかるが、これが一番良いと思ったのじゃ。
道具が少ない中、安全にやる方法で思いついたのがこれだったのじゃ。
「……!わからりました。私もやらせていただきます。」
「!私めも!」
こうして、三人で脱穀を始める。
ザザシュッ…
「っ…米が残ってる…」
「…私もです」
二人とも魔王様と同じやり方で脱穀をするが、手に残った稲には、種もみがついたままである。
「最初はゆっくりでいいんじゃよ。だんだん速くしていけばよいのじゃ。あっ、あとお二人さん。手を切らないように気をつけるのじゃぞ〜」
ザシュッ、ザシュッ、ザッシュッ…
「「………」」
2人を横目にノールックで脱穀をする魔王様に釘付けになる。
2人の5倍の速さで脱穀を進めている。
うぅ~ん…二人にはやりにくいかのぅ…
他の方法の方がよいのかのぅ?
茶碗やこき箸も同じやり方だしなぁ~…
どちらも挟んで脱穀する方法である。
にしても懐かしいのぉ〜、昔脱穀機が壊れて家族みんなで手動でやったのぅ〜。
こうして7割魔王様が脱穀し、すべての種もみを
壺の中にいれることを完了した。
「ふぅぅ~~、終わったのじゃぁー!」
広い空間にさわやかな声が響き渡る。
壺は4個佇んでいる。中にはめいいっぱいの種もみ。
「お疲れ様です。…すみません…あまり役に立つことが出来ず…」
「いえ、わたくしもです…」
「わぁあ!?良いのじゃ!手伝ってくれただけでありがたいのに、とても助かったのじゃぞ!」
申し訳なさそうに頭を下げる二人に、困惑しながらも感謝を伝える。
「次は籾摺りじゃ!」
籾摺り、稲から外した種もみの殻を取る作業。
手作業ならすり鉢を使う方法が有名である。
「皿に種もみを入れて、木の棒で擦る」
ガリガリガリ…
「「ほほう」」
二人ともすり鉢に目を注目している。
よし、これくらいじゃな…
ある程度すったら息を吹きかける。
この時、強くやりすぎると殻が舞ってしまうから注意じゃ!
「こうして残ったのが…玄米じゃ!」
「「おぉ〜…!」」
「あとはこれを全部やるだけじゃ!」
「「ぜんぶ…」」
こうして、ひたすら魔王様と料理長は種もみをこすり、メロア君が風魔法で殻を飛ばすのを繰り返した。
メロア君が自動操作魔法?という物を動かす力で勝手に種もみをこすってくれたおかげで早く終わったのだった。
「よし…あとは最後…白米にするだけじゃ!」
︙
「まっ…魔王様…これであってるのですか…!?」
目の前の光景に目を疑う。
そらそうだ……
魔王様がハンマーでお米を潰そうとしているのだから!
「いくぞー!えいしょっ!」
ドンッッ!
「「!?」」
鳴り響く打撃音に振動。
揺れ動く魔王城に辺りは騒然とする。
「魔王様…これは一体…?」
「これは精米。玄米から白米にする作業じゃ!」
精米、棒などで突いて糠や胚芽を取り除く作業。
現代ではコイン精米機が有名である。
「おいしょー!!」
ドンッッ!!
何度も米と木がかすれ合う音が響き渡る。
「それは、どれくらいまでやるのですか?」
「えぇ??なんてぇ言うたぁー?」
しもた…精米の音のせいで何にも聴き取れんかった…
「そ…それは!どれくらいまでッ…やるのですかッ!」
手でメガホンの形を作り、なるべく響くように声を出す。慣れないことをしたからか、メロア君の息が少し上がっている。
「えぇっと…そうじゃなぁ…」
なんにも決めとらんかったのぅ…
精米には段階がある。
最初は玄米。
籾殻を取り除いた状態。
栄養価が一番高く、ビタミンやミネラルが豊富。
しかし、ボソボソしていてクセがあり食べ難い。
次に食べられてるのが3分づき
玄米よりも色が薄くなったが、まだ茶色。
ボソボソ感があるけど玄米よりも食べやすい。
次は5分づき
白っぽさが出てくる。
ボソボソ感があるが風味があり、食べやすい。
その次に7分づき
柔らかい食感で食べやすく、白米に似ている。
白色で食べやすい。
そして最後が白米
一般的に食べられているお米。
柔らかい食感で食べやすく、美味しい。
しかし、玄米よりは栄養価が低い。
「うぅ〜ん……五分づき…いや…それだとぼそぼそだから……八分づき……いや…!白米じゃ!!」
米と言えば白米じゃ!!
2人に白米を食べさせてあげたいし!
魔王様、力仕事を約40年ぶりに頑張る。
︙
がちゃん!
「魔王様、次は何をなさるのですか?」
メロア君が不思議そうに覗き込む。
「米を炊くのじゃ!久々の土鍋じゃ〜」
最近は炊飯器をずっと使っていたから、土鍋で炊くのはわくわくするのじゃ!
一人鼻歌を歌いそうになるくらい気分が良くなっている。
米の炊き方。
まず初めに鍋に白米を入れる。今回の量は大体2合じゃ。そしたら次に水を入れる。この時、はじめの水は良い水のほうが良い。乾燥しているお米ははじめの水をよく吸うからじゃ。
「まぁ…今回は魔法での水じゃがな」
お米が浸るくらい水を入れたら、さっと手でかき混ぜる。最初は2 3回混ぜたらすぐに水を捨てて良い。
しゃかしゃかしゃか…
「わぁ…白く濁りましたね…」
「最初の方はこれくらい白く濁るのが当然じゃ」
この時の水は普段なら捨てるが今回は別の鍋に移しておく。水を流す時は、手で米をこぼさないようにする。
「次は20回ぐらい混ぜる!」
これをざっと3回やって半透明の色になれば終わりじゃ。
「次にきれいな水に浸して放置する」
「これをすることにどんな意味が?」
「これをすると米がふっくらするのじゃ」
放置時間は夏と冬で違う。夏は30分、冬は1時間くらいである。
さて、この間に…
「料理室で余っていた食材を調理するのじゃ!」
今回あるのは…人参にじゃがいもに…これは……玉ねぎか?
「うぅ〜ん…そうじゃ!なんちゃってぽてとさらだを作ろう!」
「「なんちゃってぽてとさらだ??」」
まず初めにじゃがいもを洗い、芽を取る。
「じゃがいもの芽には毒があるから気をつけるのじゃ」
そしたらじゃがいもは米の研ぎ汁が入った鍋に入れて加熱。
「米の研ぎ汁にはアク抜き効果があるのじゃ」
「アク抜きとはなんでしょうか?」
「え??」
料理長の発言に固まってしまう。
今までの食材…アク抜きしとらんかったんか!
そりゃ苦みがすごいのも出てくるものじゃ…
ここの料理が美味しくない理由が一つ解けた。
「アク抜きとは食材のえぐみをとることじゃ。有名なのはほうれん草やシイタケなどじゃ。ちゃんとえぐみを取らないと尿路結石になりやすくやるから気をつけないとじゃぞ!」
「ほほう。勉強になりますぞ」
じゃがいもを茹でている間に人参をいちょう切りに切る。と言ってもこれは好みじゃな。
玉ねぎは縦に薄く切って水にさらす。辛味が無理な人はレンジでチンじゃ!
まぁ…レンジがないのじゃがな…
「魔王様、じゃがいもが茹で上がりました」
「おぉ、ありがとうメロア君」
じゃがいもは皮付きのまま茹でるのが吉、
皮付きだと旨味が逃げていかないからじゃ。
茹で上がった芋を取り出し「あっっついのじゃッ!!」
ぽちゃん…
「魔法でやりましょうか?」
「すまぬ…大丈夫じゃ…」
久々に作ったから馬鹿やったのじゃ…反省中…
芋を取り出したら、頑張って皮を剥く。熱い…
この間に人参も茹でておく。
向いたら包丁で切る。
マッシュにしても良いが面倒じゃから切るのじゃ。
「おっ、そろそろ米も炊き始めるとするかのぅ」
今日は早めに炊いてしまおう。ホントはだめじゃが…
水につけていた米に火をつける。
「2人は鍋を見ていてくれ」
「「わかりました」」
ざくざくざくざく…
「今回はざっくり切りじゃ!そしたら次は…」
潰し…切ったじゃがいもを大きめのボウルに入れる。
「あぁ〜きゅうりがなかったのか、色味がさみしいのぅ」
本当はハムやきゅうりをいれるのじゃが…ないからのぅ…まあ、仕方ない。
次にマヨネーズを……マヨネーズ……「……マヨネーズがない!?」
しもたぁ〜!わしゃは頭を抱える。
あると思っておった…
あぁ〜〜かわりになるものぉぉ〜〜…
「あ、この前蔵で見つけた…」
魔王様は思い出した、一つの小さな瓶を取り出す。
かぱっ
中には薄黄色したクリーム状の物が入っている。
これ…蔵で見つけたのじゃが…なんとなくマヨネーズに似てたのじゃよなぁ…匂いが…
しかし、蔵にあったもの…うぅぅ〜ん……
消費期限が脳にちらつく。
「料理長さんよ、これ…使えるのか…?」
ダメ元で聞いてみるのじゃ
「それは…それならば大丈夫かと。保存魔法をかけているため品質は落ちてないかと思われます。」
「保存魔法……」
ほぇ〜……なんと便利な……
またこの世界の凄さに驚かされてしまう。
では!使えるということじゃな!
スプーンで少しすくって、自分の手の甲に垂らして舐めてみる。
「これはっ!少し酸味とツンとするマスタードのような風味があるマヨネーズじゃ!]
よし!使える!!
潰したじゃがいもの中に茹でた人参と水にさらしておいた玉ねぎを入れる。
その後、マヨネーズ(仮)を大さじ5入れる。
まぁ、お好みじゃな!
そしたら混ぜる。
「魔王様、もう中火で良いでしょうか?」
「お、よろしいぞぉ〜」
はじめちょろちょろが終わって中パッパの時じゃな。
お米の方も考えつつ、こっちを仕上げ終わらせる。
その次に塩を適量入れて、味を調える。
胡椒を入れると美味しいのじゃが…あいにくまだ見つけてない…まあ…なにはともあれ…
「ぽてとさらだの完成じゃ!」
「まっ、魔王様!これは取っても大丈夫でしょうかッ?」
「ほぇ??」
焦ったような声で呼ばれ、見てみれば鍋から水が流れ出している。
「おっ、では火を弱めるのじゃ」
「はい!」
数分後
「次はまた強火にするのじゃ」
ボウゥ!
大体5分くらいかける。そうすることで余計な水分を飛ばすことができる。
数分後…
「もう良いかのぉ」
頃合いを見て火を止める。
「おや、では開けて…「まだじゃぞ、料理長さん!」
ふたを開けようとした料理長の手を止める。
「あと十分蒸らさなくてはならんのじゃ。ほら、赤子泣いても蓋取るなじゃ」
「ははぁ…なるほど…」
魔王様の言葉を聞き、料理長さんは手を引っ込めてくれた。
「ところで魔王様、その…赤子泣いても蓋取るな…とは何でしょうか?」
「あぁ!昔からある歌じゃ。この歌で米の炊き方を覚える人も多かったそうじゃ」
今は全くいないがなぁ……
こうして、なんやかんやあり…
「完成じゃ!!!」
温かい湯気に真っ白のお米…これぞ白米!
木の器に米をよそう。
白い輝きの白米に、なんちゃってポテトサラダを添えて〜の出来上がりじゃ!
この前作った箸を持って、両手を合わせる。
では……「いただきます!」
「いただきます…?」
ハクッ!もぐもぐもぐ…
「ん!んんぅ〜!!うまいのじゃ〜…!!」
噛めば噛むほど甘くなり、旨味が出てくる!
炊きたてだからこそのこのツヤと温かさ!
硬すぎず柔らかすぎないこの食感!
白米最高じゃ…!
「…!初めて食べましたが…美味しいです…!」
「穀物がこんなにも美味しいとは…!」
メロア君も料理長も目を大きく開けて食べ始める。
お気に召したようで良かったのじゃ!
ではでは〜次は…ぽてとさらだじゃ
ハクッ……しゃくもしゃしゃく…
「うん!美味いのじや!」
じゃがいもと酸味があるマヨネーズがよく絡み合って美味いのじゃ!柔らかいじゃがいもの中にシャキシャキした玉ねぎときゅうりが良い味を出しとる!
そしてふとくる他のより歯ごたえのある人参がまたも良い…!!
食、最高なのじゃ!!
「これが白米ですか…とても美味しいです。」
「わたくしめもです」
2人の笑顔に嬉しくなってしまう。
「そうかそうか、よかったのじゃ!けど……まだなのじゃ…」
「「まだ??」」
食べていて、確かに美味しいと感じた…しかし違う…白米の美しさが、食感が、甘みが、ツヤが!
日本の米はもっと輝いておった…
やはり…日本の米を完全に育てることは難しいか…
いや…当然じゃ、農家さんが一生懸命工夫して作っとる米じゃ。違って当然じゃ…
「……今度はもっと良い米を作るのじゃ…!」
仕方ない、一度の稲作で最高峰の米など不可能じゃ!次に生かすのじゃ!
なにはともあれ
魔王様、白米をゲットする!
読んでくださいありがとうございました。
どうでもいいですが、土鍋で白米を食べたくなりました。