第3.5章 旅の途中で
この作品はAnthropic社の生成AIであるClaude3-Opus200kを使用して作成されたものです。
死霊の王との死闘を終え、俺たちは再び街道を進んでいた。
「次の目的地はラウラだったな。確かアレが見えれば、もうすぐ着くはずだ」
「ええ、あの『勇者の碑』を過ぎたら、一般の街までは半日ってとこね」
「おお、あんな立派なモニュメントがデカデカと。中々様になってるじゃねえか」
道端に屹立する石碑を見上げながら、ケイトが感心したように呟く。
『過去と未来の勇者に、平和と祝福あれ』
台座に刻まれた一文は、遥か昔からの願いを今に伝えているようだ。
(ここを通るたび、この碑を見上げるたびに思うんだ)
(いつか俺も、こんな風に称えられる勇者になりたいって)
野心なのか、それとも単なる憧れか。
確かなのは、力強い使命感がこみ上げてくることだけだ。
「よーし、いい目標ができたな。こんな立派な勇者になれるよう、また一段と頑張るか!」
「フフ、言うじゃない。今の言葉、あなたらしくて素敵よ」
「おう、その意気だ。ま、俺様みたいにはなれねえだろうが、応援してやるよ」
仲間たちの笑顔に、俺も元気百倍。
大志を胸に秘め、勇者一行は快調に街道を進んでいく。
***
「着いたぞ、ラウラだ!なんて活気に満ちた街なんだ!」
城壁に囲まれた大都市。
その賑わいに、俺は興奮を隠しきれない。
「本当ね、まるでお祭りみたい。屋台もいっぱい出てるわ」
「おお、こりゃ美味そうな匂いがプンプンするぜ。一杯食らいてえなあ」
目移りしそうなほどの見世物に、一行はテンションを上げていく。
「まあ、その前に腹ごしらえだな。ちょっと食堂にでも入るか」
「そうね。ゆっくりご飯食べて、疲れを癒やしたいもの」
「よし、じゃあその辺の店で…お、ちょうどいい食堂があるじゃねえか」
目ぼしい食事処に足を踏み入れる俺たち。
そこで偶然耳にした会話に、一同の視線が釘付けになる。
「ねえ知ってる?この街に、すごい宿があるんだって」
「ああ、『しおりの館』の噂でしょ。あそこ、旅人の間じゃ評判なのよね」
「だって絶品の料理に、ゆったりくつろげる露天風呂。極上のおもてなしって言われてるもの」
「うわあ、泊まってみたいなあ。でも、予約でいっぱいなんでしょ?」
「そうなのよね。あんまり知られてないけど、コツさえ掴めば意外と空室あるらしいわよ」
話に聞き入る俺たち。
思わず見つめ合い、無言の同意を交わす。
(お、おいしい料理に極上の露天風呂…俺たちにぴったりじゃないか!)
(冒険の疲れを癒やすなら、ここ以上の宿はなさそうね!)
(予約でいっぱいってのが難点だが…コツさえ掴めば、意外といけるのか!)
一致団結とばかりに、俺たちはその宿の予約を取りに動き出した。
***
「ようこそ、しおりの館へ。ただいま満室でして、本日のご案内は難しいかと…」
「あ、あの、実はちょっと事情がありまして。どうしても泊まりたいんですけど…」
「申し訳ありません。こちらも常連のお客様を優先せざるを得なくて」
旅館の受付で、俺は専属マネージャー風の女性に頭を下げる。
それでも、宿泊の許可は下りない。
「お、俺たち、実は勇者と…その、世界を救う大事な使命があるんです。だからせめて一晩でも…」
「え、ちょっと待って。あなたが勇者だって…まさか、噂に聞く…?」
女性の表情が、一変する。
まるで俺の正体に、心当たりでもあるかのように。
「…ええと、もしかしてあなたが佐藤タクヤ様ですか?」
「は、はい、そうです。あの、俺のこと知ってるんですか?」
「はい、よくぞいらっしゃいました!実は、うちの若女将が勇者様のことを知っていまして」
「若女将…?」
「ええ。以前勇者様が魔物から村を救ってくださった時に、若女将もその場に居合わせたそうで」
思い出した。
つい先日、山賊団から村人たちを守った時のことだ。
「あの時は本当に、お世話になりました。若女将もずっと、勇者様に恩返ししたいと言っておりました」
深々と頭を下げる、女性。
その言葉に、俺は感無量だ。
「そ、そんな。俺はただ、当然のことをしただけで…」
「いえ、立派なお働きでした。だからこそ、ぜひうちに泊まっていただきたい。若女将の願いでもあるんです」
要人待遇とばかりに、俺たちは宿へと案内される。
こうして伝説の宿・しおりの館に、奇跡的に滞在できることになったのだ。
「わあ、なんて素敵な和室なの!まるで絵本の中に迷い込んだみたい!」
きらきらと輝く瞳で、エミリアが感嘆の声を上げる。
「ああ、極上の畳の感触だな。思わずゴロゴロしたくなっちまう」
「いやー、この客室見ちまうと、もう旅に出れねえな。ずっとこの布団とイチャイチャしてえぜ」
テンションの上がる一同に、苦笑いを浮かべる俺。
それでも内心、この贅沢な時間をかみしめずにはいられない。
「そういえばタクヤさん。旅の間中ずっと、頑張ってくれてたわね」
「え?」
「だってそうでしょ。私たちのこと、いつも気にかけてくれてたじゃない」
「ホントだぜ。お前さえいなきゃ、俺たちこんな風に旅を満喫できてねえよ」
褒められる俺。
それでも、内心は複雑だ。
「いや、俺はまだまだ未熟だよ。本当の勇者には、程遠い…」
そんな俺の呟きに、ケイトが肩をポンと叩く。
「バカ言え。お前は立派な勇者だ。俺たちをここまで導いてくれた、最高の勇者様だよ」
「そうよ。私たちは、あなたについていく。これからだって、ずっと」
エールを送ってくれる、かけがえのない仲間たち。
俺は、この絆にいつも救われているんだ。
「…Thanks。お前らがいてくれて、本当に良かった。俺、絶対に世界を救ってみせるから。約束だ」
こみ上げる感謝の想いを胸に、勇者の使命を再確認する。
そんなほっこりとした時間を過ごしていると、静姫が部屋に顔を覗かせた。
「失礼いたします。お客様方、いかがお過ごしでしょうか」
「ええ、おかげさまでとっても快適よ。本当に素敵な宿をありがとう」
「それはよかったです。お客様に喜んでいただけて、私も嬉しいですわ」
満面の笑みを浮かべる静姫。
その笑顔に、俺は思わず聞いてみることにした。
「あの、改めて静姫さんにお礼を言わせてください。俺たち、この宿に泊められて本当に感謝してます」
「いえ、お礼を言うのはこちらの方こそ。勇者様には以前、私を村で魔物から守っていただきました」
「村を…?ああ、あの時の!」
過去を思い出す俺。山賊団に襲われた村を救ったことがあったのだ。
「はい、あの時は本当にありがとうございました。おかげで村人たちも、今は平和に暮らせています」
穏やかな笑みを見せる静姫。
それを見て、改めて勇者冥利に尽きる思いだった。
その夜、静姫を交えて酒宴が開かれた。
豪勢な酒肴を前に、一同が笑顔で杯を傾ける。
「いやー、この大吟醸最高だな!静姫さん、次もお代わりお願いしまーす!」
「あら、もうそんなに空いたの?ふふ、飲兵衛さんね」
「へへっ、旨い酒は別腹ってヤツよ。酒の肴も最高だぜ、ここの料理人は天才だな!」
「でしょう?うちの料理長、この街でも屈指の腕前なのよ」
自慢げに語る静姫。
その言葉に、俺も興味をそそられる。
「へえ、静姫さんもいろいろ詳しいんだな。この宿のこと、もっと教えてよ」
「そうだそうだ、せっかくだしいろいろ聞かせてくれよ」
ケイトとエミリアも話に加わり、宴はさらに盛り上がっていく。
「そういえば、この宿ってすごい歴史があるんでしょ?いつ頃からあるの?」
「はい、うちは創業200年の老舗旅館なんです。代々、旅人をおもてなしする仕事に誇りを持ってきました」
「200年…!そりゃ、伝統も積み重なるわけだ」
「でも、そんな長い歴史の中には、いろんな逸話もあるんでしょうね」
「ええ。この宿にまつわる伝承も、いくつか代々受け継がれてきているんですよ」
「おお、それは気になる!ぜひ詳しく聞かせてくれよ!」
好奇心をくすぐられ、俺は静姫に詰め寄る。
すると静姫は、意味ありげな笑みを浮かべてこう切り出した。
「中でも特に有名なのが…この宿に眠る、いにしえの神器の伝説です」
「神器…だと!?」
「ええ。太古の昔、この地を訪れた勇者が残したと言われる、二つの武具のこと」
「それって、もしかして…」
「そう。ひとつは『烈風の弓・ウィンドシューター』。もうひとつは『雷光の刀・サンダーブレイド』」
「おおっ!」
その名前に、俺たちは思わず息を呑む。
「で、でもそんな伝説の武器が、なんでこの宿に?」
「実は、その勇者様もかつてこの宿に滞在していたそうなんです。旅の無事を祈念し、お守りとして武器を託されたとか」
「へえ、そんな経緯があったんだ。じゃあその神器、今もこの宿のどこかに?」
「いえ、それが…」
困ったように眉を顰める静姫。
何やら事情がありそうだ。
「神器は今、東の山奥にある『勇者の眠る洞窟』に封印されているらしいんです」
「封印…だって?」
「ええ。勇者亡き後、悪しき者の手に渡るのを恐れ、長らく鍵をかけられているそうで」
「そりゃ大変だ。でも、開ける方法はあるんだろ?」
「はい。選ばれし勇者だけが、再び神器を手にすることができると言い伝えられています」
俺とエミリア、ケイトの三人は顔を見合わせる。
「選ばれし勇者って、もしかして…」
「そう、タクヤさんたちなら、その資格はあるはず!」
「ええと、俺が神器を手に入れられる…?」
「だって、タクヤさんは立派な勇者じゃない。なんたって、この世界の危機を救ってくれた」
「それに、タクヤの剣の腕前はお見事だったぜ。きっと、神器とも相性バッチリだ」
俺の背中を押してくれる、仲間たちの言葉。
その期待に、俺は力強く頷いた。
「…よし、分かった。俺、神器を取りに行く。必ず、この手で勝ち取ってみせる!」
「おお、そう来なくちゃ!」
「私も全力でサポートするわ。一緒に強くなりましょう」
歓声を上げる仲間たちを見て、俺は心の底から喜びを感じていた。
(皆の力を借りて、きっとまた一回り成長できる。…よし、勇者の威厳に懸けて、必ず試練を乗り越えてみせるぞ!)
「静姫さん、神器のこと教えてくれて本当にありがとう。俺、絶対に力の証を持ち帰るから、待っててください!」
「はい、お待ちしております。私も、こんなご縁に感謝ですわ」
穏やかに微笑む静姫に別れを告げ、俺たちは宿を後にした。
新たな力を求め、また旅立つ時がきたのだ。
遥か昔、古の勇者が託した伝説の武具。
それを手にする時、勇者と仲間たちの絆は更に強くなる。
どんな試練が待ち受けていようと、必ず乗り越えてみせる。
この世界を守り抜くその日まで、彼らの戦いは決して止まることはないのだった。
第3.5章 旅の途中で 完