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ヒロインは人気者

それからしばらくの間、ジュリアの周りでは度々変なことが起こるものの、概ね平和に過ごしていた。


変なこととは、階段を降りる途中に背中を押されよろめいたが後ろには誰もいなかったり、図書室で本を探していたら突然本が上から降ってきたり、馬車に乗っていたら何もないところで馬が興奮して暴れ出したり…といった事が度々起こった。

その間ジュリアは怪我ひとつ負っていないが、そのいずれもが原因不明であるということが気味の悪いところだった。


学院内外で護衛がついてたり、学院内での移動ではイグニスやイレーヌ、ギルバートができるだけジュリアに付き添ったため、興味半分でジュリアに直接接触してくる人はほとんどいなかった。

いや実際には、ジュリアより話題を集める存在が学院内に台頭してきたから、というほうが正しいかも知れない。


その存在とは、男爵令嬢キャンディ・ララベルである。


キャンディ・ララベルは長期休暇が明けてから、以前とは雰囲気が変わった。

1人、また1人と男を侍らせるようになったのである。

なぜ『侍らせる』という表現かと言うと、その男達は常にキャンディの後ろを付いて回り、キャンディが座れば横に跪き、時には荷物持ち、時には使いパシリと、明らかに友人関係には見えない異様な状態なのである。


キャンディの取り巻きはだんだんと増えていき、最初は男爵令息や子爵令息など低位の貴族だったものの、ここ2ヶ月で伯爵令息、ついには侯爵令息まで加わるほどになっていた。


取り巻きは当然ながら男子生徒だけで、キャンディの周りには女子生徒は近寄らない。

最初こそその行動を嗜めるような生徒もいたものの、そういう生徒が立て続けに事故にあってからは、直接キャンディに異を唱える者はいなくなった。




その日の昼、ジュリアは久しぶりにオーランドとローレンスと共にテラスで昼食を取っている。

今日はイグニスが所要があり昼食を一緒に取れなかったため、オーランドが護衛役を買って出たのである。


ーーー「あなた、言ったものもマトモに買って来られないの?ホントに無能ねぇ!」


不意に妙に甲高い猫撫で声が聞こえて、ジュリアはそちらに目を向ける。

少し離れたテラスのテーブル席に2人の男女の生徒が寄り添うように座っており、その周りを男子生徒3人が立ったまま取り囲んでいる。

また1人の男子生徒が、女子生徒の前に跪いている。


ーーー「…すみません、キャンディ様。無能な私にお仕置きください…。」


そう言って跪いた男子生徒は、女子生徒の足に頬擦りしている。


ーーー「やぁだ。お仕置きだって⭐︎どうしたらいい?」


女子生徒は猫撫で声でそう言って、隣に座っている男子生徒と腕を絡めその肩に顔を寄せる。




「何だあれ。気持ち悪い。」


その光景をしばらく見ていたローレンスがポツリと呟く。


「キャンディ・ララベルだろ?横に座ってるのはイヴァンじゃないか?」


オーランドが怪訝な顔をする。

イヴァン・レスリーは侯爵家の次男である。


「イヴァンなんかついこの間まで『ララベル嬢に頻繁に話しかけられて鬱陶しい』とか言ってたのに。何があったんだ?」


「オーランドはイヴァン様と親しいの?」


ジュリアが尋ねる。


「親しいってほどじゃないけど…。剣術専攻で一緒だし、会えば話をするってだけの関係だよ。」


オーランドは肩をすくめる。


「ララベル嬢は本当に鬱陶しいよね。1日に一回は必ず話しかけられる。この間なんて、資料室で作業してたら突然入ってきて、いきなり部屋の鍵かけるから焦ったよ。」


ローレンスがそう言うと、ジュリアは目を丸くする。


「鍵って…どうしてわざわざ?話をするだけなら鍵をかける必要がないでしょう。」


「さぁ…知らないよ。何かニヤニヤしながら近づいてくるから気味が悪くて。2階だったけど窓から逃げたよ。」


ローレンスはおでこに手を当てて溜息をつく。


「はぁー?災難だったな。っていう僕も何回も話しかけられてウンザリしてるけどさ。」


オーランドもテーブルに肘をついて溜息をつく。


ーーーララベル嬢は男子生徒に手当たり次第に声を掛けているのかしら?


ジュリアがそう思った瞬間、いきなり辺りに突風が吹く。


ーーービュウゥゥゥッ!


突風は竜巻のようになり、周囲のものを巻き上げる。


「うわっ!何だ?!」


ジュリア達は急に巻き起こった突風に驚き、咄嗟に腕で顔を隠し、目を瞑る。

その瞬間、何か大きなものがジュリアの肩を掠める。


ーーードンッッ!!


風が止み恐る恐る目を開けると、ジュリアの真横にはテラスのテーブルが脚を上にして落ちていた。


「……………」


「姉さん!!」


ジュリアが絶句していると、オーランドが慌てて駆け寄ってくる。


「大丈夫?!怪我はない?!」


「…ええ、大丈夫よ。」


ジュリアはしばらくの間、落ちてきたテーブルをただ茫然と眺めるのであった。




***************




「あなた、言ったものもマトモに買って来られないの?ホントに無能ねぇ!」


ハア〜。

今日は絶対に『スイーツパラダイス』の『焼きリンゴハニーパイ』の気分だったのに、売り切れなんて!

目の前の男、男爵令息だったかしら?

身分が低い男はやっぱり使えないわね!


それに比べて隣の彼…イヴァン・レスリーは侯爵令息だもの⭐︎

正直顔はそんなにイケてないけど、体格はそこそこしっかりしてるし、及第点のキープ君ってとこ!

そのうちもっとイケメンを侍らせてやるわ⭐︎


…あら?あそこに座っているのはオーランド様とローレンス様ではないかしら?

その前に座っているのは………金髪の女?!

あの金髪女、オーランド様とローレンス様にも手を出しているの?!!

とんでもないアバズレね………許せない!


あんな女……()()()()()()()()()()()()()のに!


ーーービュウゥゥゥッ!


な、なに?突然あの金髪女の席の辺りで竜巻が起こったわ?!


ーーードンッッ!!


テーブルが落ちて…あっ!惜しい!

もうすぐで金髪女に当たるところだったのに…。

まあいいわ!あの金髪女の驚いた顔!

キャハハ!おっかし〜い⭐︎


ーーー「姉さん!!」


ん?『姉さん』?

…なぁんだ。あの金髪女、オーランド様の姉だったの…。

オーランド様は随分姉思いの弟なのね?


………そうだ。良い事思いついちゃった⭐︎⭐︎⭐︎




毎日更新頑張ってます(*'ω'*)


⭐︎ランキング100位以内目指しています⭐︎


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