男爵令嬢キャンディ・ララベルの奮闘①
私はキャンディ・ララベル、15歳⭐︎
物心ついた時から教会の孤児院にいたのだけど、10歳になったある日、ララベル男爵と名乗るおじ様が私を引き取りに来たの。
何でも、私に特別な才能があるから養子にしたいんだって。
『特別な才能』って何だかよく分からないけど、私ってどう見ても孤児院なんて似合わない可愛さなのよね。
水色でふわふわ揺れる髪にキュートな桃色の瞳。
本当の桃みたいにまん丸な眼の形も気に入ってるの⭐︎
ララベル男爵は髪の薄い小太りのおじ様で、正直私とは不釣り合いだけれど、貴族にしてくれるって言うんだからまぁ悪い提案ではないわよね。
10歳でララベルのお邸で暮らすことになって贅沢三昧できると思ってたのに、待っていたのは家庭教師によるマナーレッスンだったの。
『私には生まれながらに美貌と気品があるので、マナーのレッスンなんて必要ありません!』
そう言ったら、家庭教師のオバサンは笑顔で納得して去って行ったわ!
やっぱり世の中は何でも私の思い通りになるのね⭐︎
そんなことより、男爵夫人はいつもド派手なドレスや宝石を身につけているけれど、私にはドレスも宝石もまともに買ってくれないのはいただけないわ。
男爵は口癖のように私に『オータイシヒになれ、そしたら何でも買ってやる』と言っていたけど、オータイシヒって一体何なのかしら。
男爵ってよく分からないしケチな男よね。
やっぱり見た目が悪いと性格も悪いのかしら?
『15歳になれば王都の学校に行かせてやる。そこで、お前を幸せにしてくれる王子様と出会うんだ。』
男爵はそう言って、一冊の恋愛小説をくれたわ。
本って何か小難しくて全然読む気がしなかったんだけど、恋愛小説は面白くてあっという間に読んでしまったの。
私のような庶民の女の子が、国の王子様と結ばれるお話。
すごく気に入って、ベッドの中で何度も何度も読み返したわ。
そして分かったの。
ーーー15歳になったら、学校で私の運命の王子様に出会うんだ。
***************
そして迎えた入学式の日。
座っている新入生を見回したけど、孤児院とは比べものにならないくらい皆んな素敵なの!
シンプルに顔が整ってる人が多い!
やっぱり、私には都会の貴族がお似合いだわ⭐︎
ララベル男爵なんて田舎の貴族じゃ私に釣り合わないもの。
それにしても、男子はみんな魅力的なのに女子はパッとしないわね?
どうみても私が一番の美少女だわ⭐︎
そんなことを考えてるうちに、ある1人の男性に私の目は釘付けになる。
たった今舞台上で挨拶している、金髪の物凄いイケメン!
嘘みたいに顔が整ってるし、髪も眼も宝石みたいに輝いてる!
私の隣に立つのなら、あれくらいのイケメンでないと釣り合わないわよね…。
ん?そっか!そうだったのね!
彼こそが、私の運命の人だったのね⭐︎⭐︎⭐︎
周りの会話に聞き耳を立てていたところ、さっきの金髪イケメンはこの国の王子様らしい。
名前はスタンリー様。名前も美しいわ!
男爵もそう言っていたし、私の運命の相手はスタンリー様で間違いなさそう。
恐らくスタンリー様も舞台上から私を見て、私が運命の相手だと分かったはず!
***************
…そう思っていたのだけど。
入学して1週間経っても2週間経っても、1ヶ月経ってもスタンリー様は私を迎えに来てくれなかった。
きっとすぐに迎えに来てお城へ連れて行ってくれると思ってたのに。
そこでふと、男爵から貰った恋愛小説を思い出したの。
ーーーそうだわ!待っているだけでは2人の仲は深まらない。ちょっとしたきっかけが必要なんだわ!
どうやってきっかけを作ろうかと考えたのだけど、ここはやはり小説にも書いてあった『よそ見していてぶつかる』というのが一番簡単だし、無難かしら。
思いついたら、すぐ行動⭐︎
私ってばラッキーガールだからきっと上手くいくはずよね!
スタンリー様は3年生だから、3年生の校舎のあたりをウロウロして機会を伺おう。
ーーーあっ!来た!スタンリー様だわ!
授業を終えたスタンリー様が教室を出てまっすぐこちらに歩いてくる。
ああ、私のスタンリー様は歩く姿も美しいわ⭐︎
私は遂に出会える興奮を抑えるために深呼吸して、まっすぐスタンリー様に向かって走り出す。
ーーースタンリー様ぁ!私を受け止めて〜⭐︎
両手を広げてスタンリー様に飛び込もうとしたその瞬間、ガシッ、と肩を掴まれる。
あまりの衝撃に目を白黒させてしまったわ!
何が起こったのか周りを見回すと、いつの間にかスタンリー様を屈強な男たちが囲んでいる。
私の肩を掴んでいるのもこれまた屈強な男。
服の上からも分かる厚い胸板、鍛えられた太い腕…体格は素晴らしいわね…。
でも、フンッ!あんたなんかにスタンリー様との出会いを邪魔される筋合いはないのよ!
そう思って文句を言おうとしたのだけど。
『…何をやっている?』
物凄く冷たい、低い声だった。
喉まで出かかった文句が一気に引っ込んじゃった!
あまりの恐怖で涙目になりながら『ご、ごめんなさい…。走っていたら足がもつれてしまって…』と咄嗟に言い訳をしたの。
『…気をつけるように。』
屈強な男はそう言って手を離してくれたわ。
その時にチラリとスタンリー様のお顔を見たら、すごく心配そうな顔をなさってた!
ーーーああ、ごめんなさい。スタンリー様も私との出会いを楽しみにしてらしたのに、上手くできなくて…。
急に失敗したことが恥ずかしくなって、思わずその場から走って逃げたの。
でも、めげてばかりはいられないわ!
王子様は、ドジをしちゃってもいつでも明るく前向きな主人公が好きなのだから!
頑張れ、キャンディ⭐︎
そう思ってまた挑戦したのだけれど、あえなく失敗。
そして3回目。
次こそはと意気込んでスタンリー様の胸に飛び込もうとしたんだけど、あの屈強な男、今度は何と私を床に取り押さえたの!
『貴様!何度も何度も殿下に突進しおって!…何を企んでいる?!』
な、なんて無礼なの…?!
あまりの屈辱と恐怖に、私ついに泣いてしまったわ。
スタンリー様には明るい笑顔だけをお見せしたかったのだけど…。
スタンリー様のお顔はやはり私が心配なのか、すごく険しい表情だったわ。
スタンリー様安心してください、私があなたと結婚したらこの無礼な男は解雇して差し上げますからね。
泣き続ける私を見かねて、スタンリー様は『離してやれ』と言ってくださった。
やっぱり運命の王子様は私の味方なのね…⭐︎⭐︎⭐︎
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