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転生魔神は陽気に歌う  作者: まちどり
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91.金色の光を纏って


 まず、全ての神殿に『大聖女』の代理として私とガンダロフがイルシャ教関係者を伴って2~3日中には訪れること、その時にわかる範囲での事情の説明を簡潔に行うこと、眠れる司祭を大神殿で療養させることを文章にまとめる。そしてすべての神殿に配布出来るように、50枚程の紙に複写した。事務担当の修道士さんが私におっかなびっくり伝えてくる。

「2~3日中では、伝書鳩では伝えられませんが」

「うん、そこは紙飛行機にして飛ばす」

 私と麒麟以外の人は、わけわからんって顔になる。あ、表情に出てないだけで麒麟もわかってないな、たぶん。

 文書の体になった紙を簡単な飛行機の形に折る。ざざざっと凄い速さで手を動かしてあっという間に紙飛行機の山の出来上がり。地図にすべての神殿の場所を記して、文書が来た神殿はその送信者を目当てに、来ていない神殿は司祭級の者に届くように紙飛行機に仕込む。

「窓、開けて」

と言うと、麒麟がサッと素早く窓を開け放つ。

「じゃあ、気を付けて行っておいで」

 行き先等の最終調整を兼ねて一つ一つ手に取って無事に届きますようにと願いを込めると、紙飛行機は金色の光を纏ってぱぴゅーん、ぱぴゅーん、と窓から勢い良く飛び出していく。


 五分程で全ての神殿に紙飛行機を飛ばし終えて

「文書の配送作業は終了。届いた文書の整理、よろしくね」

と事務担当の修道士さんにお願いする。

「は、はい!ありがとうございました!」

 それなりなお年の修道士さんは頬を紅潮させ潤んでキラキラと光る瞳で私を見つめた。

「麒麟、聖獣を一人、整理の手伝いに付けておけ」

 ガンダロフが麒麟に命じる。うん、何というかほおけてて、お気を確かに!って感じだものね…。




 文書の整理は玄武がお手伝い。私とガンダロフと麒麟はアバルードさんとリコロさんに案内された司教様のお部屋の探索を行う。ラクーシルの部屋に似て華美な装飾の無い、簡素で清潔感溢れる趣の内装だね。執務室と寝室に別れているけど無駄な広さではなくて、清貧を是とする姿勢を感じさせる。

「ここに地図が張り出されていたのですが」

 執務室の壁には確かに何かあったんだなぁっていう跡が見える。そして机の上にはバンダナほどの大きさの布がてろん、と敷いてある。

「実はこれぐらいの水晶球が飾られていたのですが、それも無くなっていて」

 司教様が不在の時は、布が被せられていたのだとか。

「水晶球、光ったりするの?」

「私は見たことはありませんが」

 アバルードさんがそう答えるとリコロさんも首を横に振る。何かしらの道具、たぶん地図と合わせて通信設備だったんじゃないかなぁ。


 で、寝室の方に隠し扉発見!「なんと!」「こんな所に!」とアバルードさんとリコロさんは驚いていたけど、クローゼットの中で魔法で隠されていたらそりゃわからないよね。引き戸になっている扉を開けると三畳程かな、ガンダロフが大の字になったらそれでいっぱいいっぱいな感じの狭い部屋だ。壁も床も天井も白っぽくて私が照明用に放った握り拳大の光の球の明るい光を柔らかく反射する。遮る物は何も無い。そう、部屋の中には何も無かった。

「何が置いてあったのだろうか」

 ガンダロフが床の汚れ具合から何かしらの痕跡を見つけて呟く。細長い跡。それこそピンク色の何処にでも繋がる扉が置いてあったような。私も床の痕跡を撫で撫でしながら考える。

「もし、各神殿にこのような部屋があるのだとしたら、この部屋を移動に使用できれば都合が良いのだけど」

「しかし、どのように?いえ、魔法をお使いになるのは理解しておりますが」

 アバルードさんの心配も理解できる。何十もの神殿から眠れる司祭達を連れて来ようと言うのだもの、理屈はわからなくてもとんでもない労力が必要になるのはわかるから。私は立ち上がって暫しじっと床を見つめる。ピンク色がちらつくけど、常設するのでなければ扉は要らないよね。


「よし、試しにやってみよう!」

 不測の事態に備えて扉は開けたままで、アバルードさんとリコロさんは部屋の外から、麒麟は内の扉の横で見守っててもらう。彼等を左側に見て、正面の壁に向き合う。

「ガンダロフ」

「俺は何をしたら良い?」

 私が呼び掛けるのを待っていたのか、ガンダロフが直ぐに応じる。

「後ろからギュッとしてて」

 ガンダロフが、ん、うむと頷いて、ぎこちなく私の腰にその逞しい腕を回す。もう何度も支えてもらっている筈なのだけど、未だに気恥ずかしい。でも、この体勢がガンダロフの熱を一番感じられる。んんっ、身体の奥の熱いモノがグルグルと蠢きはじめる。

「この壁と、大神殿奥の宮の隠し部屋の壁を繋げる。まずは向こうの様子を見よう」

 微かに甘酸っぱい香りが鼻を掠める中、白い壁に両手をついて、意識を大神殿の隠し資料室へと飛ばす。


 あぁ、ベルシームとダングさん、相変わらず興奮気味に資料を漁って……うん、整理じゃなくて漁っているなぁ。あ、ジョーイとジョニーがしっかりと選別作業進めてる。偉い。と、私の気配に気付いたかな?まん丸お目々がかわいい。それにしてもこの部屋、散らかりすぎて眠れる司祭様を運び込む余地が無い。う~ん、寝室の方に運び込んだ方が良いか。寝室の何も無い壁、うん、ここにゲートを開いてみよう!和室の続き間の襖を取っ払う感じを想像して、柱と鴨居を形作って襖を開いて取っ払う!私が両腕をバッと勢い良く外側に開くと、その先は大神殿奥の間の大司教の寝室に繋がった。

「「ますたー!あるじ!」」

 ジョーイとジョニーが隣の隠し資料部屋から飛び出してきた。バサバサバサッとかあ゛あ゛~~っとか聞こえてくるのだけど、大丈夫なの?


 読了、ありがとうございます。

 <(_ _)>

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