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転生魔神は陽気に歌う  作者: まちどり
85/227

85.その違いはどこから?


 麒麟以外の聖獣達は神殿到着時点で隠密形態で周囲を探索している。麒麟は元の小っちゃい姿で私やガンダロフの肩に乗っかってたり、近くでふよふよ浮いていたり。隠密形態で姿が見え辛いはずだけど、勘の良い人はなんとなくいるってわかるようで。まぁあれだけ上機嫌に華やかな気配を振りまいたら、バレるよね。……隠れている意味、ある?


 応接室で、聖騎士リコロさんと司祭アバルードさんと向かい合って濃い琥珀色のお茶をいただきながら、初めに私達のこの世界に来てから今までの経緯を簡単にお話ししていく。ラクーシルとその配下に襲われた時のことをガンダロフが表面上は淡々と語る。

「教会の地下でラクーシルに斬りかかった時に、奴は近くにいた大聖女を盾にして逃れようとしたのだ。上手く切っ先を変えられたから良かったものの、本当に卑劣な行為だ。その前後の言動からも、あれは大聖女を道具としてしか見ていなかったのではないか?」

 ガンダロフ、未だに怒ってる。けど、それまで眉間に皺寄せながら聞いていたリコロさんと司祭アバルードさんは「ラクーシル様が?」と凄く驚いたようで目を丸くしていた。

 大聖女のアーリエルさんのこと、『聖樹』崩壊の顛末、大神殿の様子、『聖都』での暴動未遂、等々。

「『聖樹』を崩壊させた大きい黒い球の瘴気がどの位の範囲まで影響があったのかはわからない。でも、ジョウガ王国の異変は瘴気とは直接的な関係は無さそう。精々、伝書鳩ポッポがやられてしまったくらい?」

との私の推測に

「それで連絡が全くつかなかったのですね」

と司祭アバルードさんは頷く。


「大神殿と『聖都』の現状は聖騎士リコロは実際に見てきたからわかると思うが、修道士から上の者達、聖騎士は全員亡くなっており、大神殿どころかイルシャ教自体もこれからどう運営していけば良いのか、と考えることもままならない程人手不足で忙殺されている。俺達も手伝いはするが、それも限りがある。部外者だからな」

「うん、行き掛かり上、手助けしたけどね。でも、ラクーシルが『イルシャ教の代表』として私とガンダロフを害したのは事実。私が貴方方に報復したとしても、貴方方が文句を言えるのは私でもガンダロフでもなく、ラクーシルであり、イルシャ教だ」

 ガンダロフに続く私の発言にリコロさんと司祭アバルードさんはサァーっと顔色を無くす。ガンダロフも、無闇に脅すな、と溜息を吐く。

「まぁそんな面倒なこと、わざわざしないけど。ガンダロフが言ったとおり私達は部外者なんだから、いろんなことに巻き込むようなことしないでね。ちゃんと忠告したからね」

 こう言っておけば、「聖女様!(男だけど?)」とかって担ぎ上げることなんか考えなくなるはず!そういえばリコロさん達は「聖女様(ガンダロフも?)」って言ってたけど、マーリオ君と王族の方達は「女神様(だから男だよ?)」って言ってたな。その違いはどこから?


 「次はジョウガ王国の神殿側の事情を説明して欲しいのだが」

 ガンダロフが促すと、司祭アバルードさんが説明を始めた。


 異変が起きたのは4日前の朝。この神殿の最高責任者である司教様は干涸ひからびてカチカチに固まっており、傍仕えが触れるとボロボロと崩れて塵となって消えてしまった。そしてその補佐を務める司祭様は眠ったまま目覚めない。二人は祭事と大神殿との連絡・連携を担っており、実務は司祭アバルードさんが主に担当していて神殿の運営面ではまだそこまでの支障は生じてはいないという。だが、この異変には大神殿が関わっているのは想像に難くなく、司教様、司祭様のことが心配ながらも大神殿側の秘密を曝く良い機会だと、聖騎士達を派遣した。


「ルセーニョを大神殿に連れてきたのは、厄介払いと大神殿内偵の為の攪乱か陽動か。欲しかった情報は手に入れられたのか?」

 ガンダロフ、直球すぎる。まぁ、イルシャ教の内情とか派閥争いとか私達には関係無いからどうでもいいけど。リコロさん、グゥッて息を詰まらせてるし、アバルードさんは気まずそうにリコロさんを見るし。


「んん゛、その、私は……実は大聖女アーリエル様のご様子をお伺いしたかったのです。ご高齢ですしもう何年も表舞台には姿を現してはいらっしゃいませんし……」

 リコロさん、段々と俯いて涙声になってきた。

「私が幼少の頃、一度だけお見掛けしたことがありまして…」

 母親が亡くなって寂しい思いをしている時に大神殿の儀式で淡い光を纏う大聖女様の姿に、それとはわからなくとも自分も母親に守られているのではないか、と何故か感じたのだという。だが、もう5年程表舞台には出て来ず、しかしお隠れになったとも聞かない。もう随分昔から大聖女様のお力が衰えてその影響でこの大陸全体が暗く重い空気が覆われているのではないか?と噂されており、今回司教様が塵となって消えたり司祭様が眠ったまま意識が戻らないなど、もしかしたら心の拠り所としてお慕いしている彼の方に何か良くないことでも起こったのではないかと危惧して『聖都』に行った、と。ルセーニョを連れて行ったのは、彼が悪目立ちをすることで自分が注目されずに大神殿を探索できるから、との考えだったという。

「事情があったとはいえ、人手不足を理由にあんな厄介者を押し付けられるのは迷惑だな」

「はい、その点に関しましては誠に申し訳ございませんでした」

 リコロさんとアバルードさんは揃って、本当に済まなそうに頭を下げた。


 読了、ありがとうございます。

 <(_ _)>

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