82.今、悪口言った?
ブックマーク増えてて嬉しいです。登場人物の暴走に置いて行かれないように頑張ります!
「お目覚めになられて良かったです。顔色も良いですね」
身体を起こして水を飲ませて……無言でキラキラした瞳で見つめられても。面倒なことになりそうだとしか思えないのでさっさと退散しよう。
「私はアスタロト、こちらはガンダロフです。殿下のお身体の調子はそう悪くは無さそうですので、後は周囲の方々にお任せして私達は次に行きます」
と立ち上がるとピヤンカ殿下は
「え、あ、あの」
私を引き留める為か焦って声を掛けるけど
「詳細は周囲の方々にお聞きください。では失礼します」
と、え?と戸惑っているガンダロフの腕を取って扉へ向かう。
「え?ちょっとお待ちになって!お待ちなさい!お待ちなさいって言ってるでしょう?!」
ピヤンカ殿下、元気だね。うん、問題無!ガンダロフがモルク殿下から毒素玉を受け取ると、ギャーギャーと喚いているのを無視して部屋からさっさと退出する
「───っ!そんな醜男なんかに構わずこちらに」
つもりだったけど、今、ガンダロフのこと悪口言った?
「ロト」
ガンダロフの小さいけど落ち着いた低い声が、凍り付いたように静かになった部屋に響く。頬に触れた彼の手の暖かさで私自身が凄く冷たくなっていたのを自覚した。扉の前にいた人にガンダロフが
「では、失礼する」
と声を掛けて、彼女を視界に入れるのは癪に障るので振り返らず、心の中で「モルク殿下、後はよろしく!」と告げて部屋を出る。
扉前で待機していたロジェ団長が
「あ、あの、陛下と王族の方々を目覚めさせていただき、本当にありがとうございました」
と私達にお辞儀する。顔色が冴えないのだけど、お疲れ?
「どういたしまして。報酬だけど、要らない。もうここには来ないから」
「ロト、それは早計だ。俺達がもうここには来ない前提で大神殿側と協議してもらうという手もあるぞ」
どちらにしても「もうここには来ない」って言う。ロジェ団長は顔色をますます悪くして
「その、詳細はわかりませんが、部屋の中での無礼については、私からも謝罪いたします」
詳細はわからずとも予測はできる、ということはピヤンカ殿下のあの振舞いは通常運転なのね。すると、扉が開いてモルク殿下が合流。
「先程は妹が貴方方に失礼な態度を取ってしまい、さらには大変無礼な言葉を投げつけてしまった。本当に申し訳なかった」
とモルク殿下が頭を下げる。でも
「謝罪はいらない。貴方達に非は無い」
「しかし」
「くどい」
殿下が言い募ろうとするのを私は一言でバッサリと切る。ちょっと低い声が出て、自分でも内心びっくり。冷たい態度の私を気遣うようにガンダロフが話題を変える。
「休憩がてら昼食を取ってから神殿に向かいたいのだが、外で適当な場所を貸してもらえるだろうか」
するとロジェ団長が
「昼食はもう準備が調っておりますので、ご案内します」
と私達を案内しようとするのを
「ううん、私は揚げたての唐揚げが食べたい、です。自分で作りますから、誰にも邪魔されないようなお外に案内して欲しいです」
他所の人相手に我儘全開だ!『揚げたての唐揚げ』と聞いてガンダロフと麒麟も白虎もワクワクし始めたのが伝わってくる。
「唐揚げ?」
「自分で作る?」
ロジェ団長とモルク殿下が、何それ美味しいの?って感じで復唱した。
※※※※※
庭園の奥まった一角をお借りして、結界を張って誰にも邪魔されない空間にする。みんな大好き揚げ物オン・パレード、始めるよ!マジックポーチに入っている食材、いつの間にか増えているのは聖獣達やユキチ達が見回りがてら狩りをした成果物だとか。山鳥は唐揚げ、川魚は鱒?唐揚げとパン粉を付けてフライ、猪はミンチにしてミートボールとメンチカツ、芋と玉葱も薄く小麦粉を振って揚げていく。
「これは、山鳥か?歯ごたえがある中にも嚙む毎に旨味が沁みだして、幾らでも欲してしまう」
「芋、か?外はカリッと、中はほくほくと食感も良いのだが、塩と胡椒の釣り合いがなんとも絶妙で、非番の時に酒と共に食したいものだ」
モルク殿下とロジェ団長も一緒にどうぞ!とお誘いして聖獣達に混ざってそれぞれ食べ比べている。そしてテーブルの上には切れ目を入れた柔らかいパンとレタス、キュウリ、トマト、そしてソースとケチャップとマヨネーズを一緒に並べて、自分で好きな具をパンに挟んで食べる。そう、柔らかいパンとソースとケチャップ!北の住居組が「暇だから」って大きい木の協力を仰ぎ作ったのだとか。配下が有能すぎる!お礼に今回作った揚げ物を北の住居組の分をしっかり取り分けて、仲良く食べてねってポーチに入れておく。大神殿留守番組の分も取り分けて入れておく。それでもまだまだたくさんあるけど。
「無くなったらまた揚げるし余ったら仕舞って後で食べるから、満足するまで食べてね」
とおやつのサーターアンダギーを揚げながらお勧めする。まぁ、そんなこと言ったら聖獣達が目をキラキラさせて全部食べちゃうんだけどね。ガンダロフも無言ながら全身で美味しい!って表現しながらもぐもぐしてる。うん、幸せそうな良い笑顔。嬉しくて頬を緩ませて眺めていたら、ガンダロフが具を挟んだパンを一口大に千切って「どうぞ」と口元に持ってきた。メンチカツサンドだ。ちょっと大きめかな、でも彼の指毎パクっと口に入れて、んふっ、美味しい。彼は真っ赤になりつつも私の口にちょこっと付いたケチャップを指で拭ってそれを舐める。うわぁ、ドキドキするなぁその仕草。甘酸っぱいのは雰囲気だけじゃなくて実際に香りが漂ってくるからなのだけど、揚げ油の匂いとも混ざらずに辺りを幸せな暖かい空気に変えていくのは、ガンダロフの魔法かな?
読了、ありがとうございます。
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