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転生魔神は陽気に歌う  作者: まちどり
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63.改めてお願い


 はっ!またもや呟いてしまった!お口、ミッフィー!!でもたぶんルセーニョ以外の皆の疑問だったようで、私には視線をちらりと送っただけで直ぐにルセーニョに注目が集まる。


「な、何って、司教様達を害したり、『聖樹』を消したり…」

「うむ、ということはレアンがそのような力を持っているとお考えか。して、具体的にはどのような力や方法で害をなしたと?」

 ルセーニョの言葉にガンダルフが問いを重ねる。

「具体的にはと言われましても、それは本人に訊けばわかるものでは?」

 それ、答えになってないよ。と心の中でルセーニョに突っ込む。

「いやいやいやいや、俺にそんな力がある訳ねえだろ!あったら今頃こんな所にはいない!」

「確かに」

 全力否定のレアンにガンダロフが速攻で頷く。


「あの…」

 黙って成り行きを見ていた、というよりは訳が分かんなくて口を挟めなかった感じのロジェ団長が

「出来ればアスタロト殿とガンダロフ殿の話をもう少し詳しく伺ってもよろしいか?」

と遠慮がちに尋ねる。

「詳しく、とは」

「『聖樹』がどのような経緯で消え去ってしまったのか」

 まぁ、気になるよね。そして聖騎士ルセーニョのレアンに対する疑惑はさりげなくスルー。「後で個人的にやれ!」と暗に言ってる。


 先にオルジオさんが私達のことを、北にいた傭兵と魔法使いで、襲われたのを反撃したら捕まってた大聖女様を助けたので、彼女の依頼で『聖樹』の様子を見に来たら異変が起こっていたのでそれを収めた、と簡単に説明していた。ガンダロフがちらりと私に目線を投げてから、説明を始める。


「襲撃時には知らなかったのだが、大聖女様によると俺達を襲ったのはラクーシル大司教で、どうやら『聖樹』へ捧げる贄を確保する為に俺達を襲ったらしい。返り討ちにしてしまったので詳しい事情は不明なのだが。それで大聖女様から自分にはもう力が無いが『聖樹』の様子が心配だから見てきて欲しいと頼まれて此方に来たのが一昨日の朝。

 元から空気は淀んでいたが到着寸前に大気が大きく震えて『聖樹』が根元から黒く染まっていきその後ボロボロに崩れ去った。その根元から大きな黒い球…二階建ての村長の家がすっぽり入るくらいの大きさだったな、それがせり出してきて黒い靄が絶え間なく大量に噴出していた」

 その時の重苦しい空気を思い出したのか、ガンダロフは、ふぅっと息を吐き出してもう冷めてしまったお茶を一口飲んだ。


「では、貴方方が到着した時には『聖樹』はすでに手の施しようが無かった、ということか…」

 ロジェ団長は沈痛な面持ちで確認を取る。それにガンダロフは頷きで返して

「まず黒い靄がこれ以上拡散しないよう結界を張り、黒い靄を発生させていた大きな黒い球と黒く朽ちてしまった『聖樹』の残骸を燃やして灰にして処分した。それから黒い靄とそれに汚染されたものを浄化して事態を収束させた」

「アスタロト殿が?」

 ロジェ団長が確認するように私を見る。

「うん、ガンダロフと二人で。後、仲間たちにも手伝ってもらった。一人じゃ無理」

 私、魔法使いって紹介されているから「燃やす」とか「浄化」とか出てきたら全部私の仕業ってなるのかな。まぁ、実質私がやったんだけど。ロジェ団長もそのつもりで訊いたんでしょうけど、ガンダロフに手綱をしっかり持っててもらわなきゃ私自身どこ行くかわかんないよ?


 その後もガンダロフが説明を続けて、大神殿で治癒を施したこと、既に消えてしまったり亡くなっていた人が少なからずいたこと、

「この辺りはオルジオさんの話と重複するのだが」

 『聖都』に行くと暴動が起こった直後で破落戸共を捕縛して労働の担い手としてこき使っていること、『聖都』でも治癒を施したこと、今は大神殿に滞在していることを話した。


「……なるほど、わかりました。大惨事になるところを防いでいただいたようで誠にありがとうございます」

とロジェ団長とシャンテ隊長、遅れて聖騎士ルセーニョが頭を下げる。


「どういたしまして、と言うべきか」

 頭を上げてもらってガンダロフは言葉を連ねる。

「元は大聖女様からの依頼ではあったし、報酬もそれなりにもらっている」

 マジックバッグの中身のことかな。

「それに「好きにやって良い」との言葉も貰っている」

 世界監理者の分身体さんの言葉だけどね。

「『聖樹』は今は休眠状態だが完全に失われるのを阻止できたことを良しとするべきだろう」


「休眠状態、ですか。どのくらいの期間になるかはおわかりですか?」

 必死にメモを取っているシャンテ隊長が問う。ガンダロフが私に、わかる?と目で問うので

「気が済むまで」

と答えたら。

「「「「「は?」」」」」

 ガンダロフ以外の人達の頭の上に?が飛び出た!

「あ~…。つまり『聖樹』が充分な休息を取り活動できるほどの力を取り戻すまで、ということだな。実際何年、何十年掛かるかなんて俺達にはわからない」

 おぉ、さすがガンダロフ、私の言わんとしたことがちゃんと伝わってる!嬉しくてニコニコしてたらガンダロフに頭を優しく撫でられた。えへへっ。


 ん゛ん゛っとロジェ団長の咳払いでそちらを向くと、

「改めてお願い申し上げる。未だ目覚めぬ者に治癒を施す為に、是非とも我が国ジョウガ王国へお越しいただきたい」

とロジェ団長とシャンテ隊長が再度頭を下げた。遅れて聖騎士ルセーニョも頭を下げる。いや、行くのは構わないんだけどね。

「……すぐ?」

「出来れば早急に」

 ロジェ団長もシャンテ隊長も困り顔、眉がへにょんとなってる。

「はやる気持ちも理解できる。が、俺達も大神殿で引き取ったり預かったりした破落戸共や子ども達を放って行くことは出来かねる。何分、『聖都』も大神殿も人材が不足していてな、おそらくだが聖騎士や主だった神官たちは皆黒い靄の毒でやられてしまったようで、今はともかく、時間の経過とともに労働力の低下、治安の悪化が懸念されるのだが」

とガンダロフが私をかばうように弁明してオルジオさんの方を向く。それに釣られるようにロジェ団長とシャンテ隊長もオルジオさんを見る。


「えぇ~っとぉ~…」

 いきなり話を振られて戸惑っているのか、オルジオさんは上手く言葉が出てこないようだ。

「それで、どおしようね?」

 話が戻った。ガンダロフは目を片手で覆って、はあぁ~~っと大きく息を吐き出して…気を落ち着かせてる?耳がほんのり赤くなっているのは、私が能天気すぎて怒ってる?呆れてる?かくなる上は!


「レアン」

「はい」

「大神殿の差配、任せた。マーリオ君と協力して運営よろしく。オルジオさんとも仲良くね」

「承知しました」

 っていうかもう既にやらされてますよね、みたいな目で見るんじゃない!

「はぁ?な、何でこいつが」

 聖騎士ルセーニョが口を挟むのを無視して

「オルジオさん、人手が要りそうだったらレアン達を使ってどうぞ」

「えぇ、はい、頼りにしております」

 私が声を掛けるとオルジオさんはほっと一安心したように笑みを溢した。


「折角来てもらったが、部隊はそのまま国へ先に帰ってもらった方が良いだろうな。下手すると俺達の方が先に着く」

とガンダロフ。私がジョウガ王国へ行くつもりになったってこと、わかってるんだね。

「どの位で着くの?」

「麒麟に乗って1時間程だそうだ」

『そこにいる三人、一緒に連れてったら?』

との剣ちゃんの提案に

「え、聖獣達に乗せたくない」

 つい本音が零れた。

「オルジオさん達は良かったのに?」

とガンダロフが意外そうに声を上げる。

「非常時だったし、急ぎだったし」

 そんなに気にしてなかったし。…何でだろ?あ。

「蓑虫にして連れてけば」

「それは止めておこうか」

「それはさすがに失礼かと」

「それは見応えありそうだな」

 三者三様の感想だね、賛成1、反対2ってところかな。


 読了、ありがとうございます。

 <(_ _)>

 『魔神』よりも『聖者』の方が恋愛強めです。視点の違いと、単にアスタロトの精神発達が歪というか子どもというか。

 続きが気になる、面白い、と思われた方は是非スクロールバーを下げていった先にある広告下の☆☆☆☆☆を★★★★★に、ブックマーク、いいね、感想等をお願いします。

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