40.空飛んで結婚って
前話を差し替えております。ご確認くださいませ。
私が提案すると
『へい!その為のわっちでございやすんで』
中の人、親父か?
『力の化身様のお側に居させていただければ、眠っている時以外はいつでもお話しさせてもらいやす』
「「『力の化身様?」」』
初めて聞く謎の言葉。
『人間どもは『魔神』と称しておりやしたが』
そんな禍々しいもんじゃあございやせんでしょ、と小人さんは両手の平を合わせて南無南無と拝む様にお辞儀した。
※※※※※
寝室に戻って落ち着いて話をしよう。と思うのだけど。
「昨日程では無いにしろ疲れているだろうし、ベッドで横になって休んだ方が良いのではないか?」
とガンダロフは直球でお昼寝を勧めてくる。
「お茶飲んでまったりしてれば、別に寝なくても良いと思うのだけど」
お昼寝は極力避けたいから駄々を捏ねてみたら、彼はしょうがないなぁって感じで肩をすくめて
「眠たくなったらいつでも目を閉じて良いからな」
と私の頭を撫でた。
ルゥさんとアーリエルさんは隣の部屋で大人しくしている模様。と麒麟が報告しつつお茶を入れてくれた。
小人さんにも大きさに見合った卓袱台と座布団とカップを用意して、テーブルの上で寛いでもらっている。座布団にあぐら掻いて、益々親父っぽい。カップじゃなく湯呑みにするんだったかな。
「身柄は動いてなくても、いろんな所を探っているのだろう」
当然この部屋も、とガンダロフは、はあぁ~~と深く息を吐く。
「見せないし聞かせないけどね」
『そうそう』
「そういえば彼等は剣や小人の存在は認知していないのか?」
「それは大丈夫。さっきも『突然大きな力が出現したけど直ぐに収まった』って感じだろうし」
『力のある剣だけど、お喋り出来るとは思ってないはず』
「お喋りする剣。喋って踊って歌う剣。なんかアイドルみたいでいいね」
『……ますたーは剣をデビューさせたい?』
「…あいどる?でびゅう、とは?」
目指せ!剣界のトップアイドル!
お茶を飲んでひと息ついたところで
「それで話の続きなのだが、『結婚』というのはどこでそのように判断されたのだ?」
とガンダロフは小人さんに尋ねる。
小人さんはつぶらな瞳をパチパチと瞬き
『昨日お天道様が頭の上に居る時に、お二人で空に舞い上がって宣言されたんじゃあなかったんですかい?』
「昨日のお昼?確かに二人で空、飛んだねぇ」
しゅびび~~んっ、て。
「ただ飛んだだけ、だったよなぁ」
ガンダロフも首をかしげる。
「大体、空飛んで結婚って、蜂とか蟻とか?」
私が欲しければ捕まえてごらんなさい、オホホホ~って感じだよね、あれ。この世界に蜂とか蟻とかいるのかは判らないけど。
『確かに愛の波動を感じたんですがねぇ』
と小人さんは腕を組む。すると剣ちゃんが
『愛の波動。言われてみればそう思えなくもないかも』
と応えた。え、どういうこと?
「剣、俺達に解説してくれ」
『昨日、空飛ぶ前後含めて、もの凄くいい感じだった!』
「「何が?」」
その説明内容で理解しろというのはさすがに無理だよ?
剣ちゃんの感覚に偏った説明とあの時の状況、二人の状態から総括して
「要するに、俺とアスタロトがお互いの力の遣り取りで気持ち良くなってたことを、お前は『結婚』と称していた、ということか」
とガンダロフが纏める。
小人さんは、やっと話が通じたのが嬉しかったのか
『へいっ。さいでがす』
と、なはっ、と笑った。けど、次の瞬間
『しかし、男同士、とは?』
と不思議がって首をかしげる。
「そんなに気になる?」
個人の好み、で片付けられる問題じゃないのかな?
「単にガンダロフが男色だったってだけのような」
「ちょっと待てそれは違う誤解だもの凄く間違っているっ!」
もの凄い勢いで否定された。
「……何が間違ってる?」
とガンダロフを見つめると、彼は鼻息荒く顔を真っ赤にして釈明する。
「お、俺は、男が好きなのではなく、アスタロトが好きなんだっ!殆ど一目惚れだったからもう性別なんかどうでもいいって思っちまったし、大体、野郎なんかに欲情したことなどこれまで一度も無いし、これからも無いっ!」
おぉう、熱く語られてしまった。釣られて私も赤面するしドキドキするし微かに甘い花の香りも漂ってくるし。
『そういえば』
と剣ちゃんが思い出したようにピコンと揺れて
『魔法陣で呼び出された時に『男とか魔神とか関係ない。そんなことは本当にどうでも良い。好きだ』って、主言ってた』
私が昏倒していた時かな?
「そうなんだ~」
どこが、とかどれくらい、とか理由とか理屈とか関係なく
「好きな人に好きって言われるの、嬉しいな」
嬉しくて口元がほころぶ。おっと涎出そう、なんて気の緩みを自覚した途端、一瞬フワッと浮遊感を感じて、あ、と言う間も無くガンダロフに膝の上に乗せられて抱き締められた。
「うわぁ~~っ、嬉しいって嬉しいって嬉しい!本当にかわいい~!もう好き過ぎてどうしてくれようか?!」
『主、心の声駄々漏れ』
だから剣ちゃん、小声でもしっかり聞こえてるからね。で、麒麟と小人さん、キラキラした瞳で見つめられても何も出ないよ?ん、甘い香りは濃くなったかも?
ガンダロフは、私と一緒にこの世界に来た時から『私が好き』ってことは一貫して変わらない。中身というか内容はその都度変化しつつも。それがわかっているから私は好き勝手出来てるんだろうな。今は彼に嫌われたくない、彼の嫌がることを極力避けたいとの思いはあるけど、うん、お互い無理せず笑顔で一緒に過ごせるのが一番大事だな。……同じ思いを共有出来れば良い?ううん、無理。私と彼は別のものだから感じ方が全く同じにはならないもの。交ざり合ってもお互いを感じあって個々の存在をしっかり認識出来るように……私は私で在りたい。
はあぁ~~、幸せだぁ~とガンダロフがうっとりと呟く。甘い花の香りに爽やかな柑橘系の香りが混ざって、とても美味しそう。近くにある真っ赤に茹で上がった耳、齧ってみようかな?あぁ、香りに反応したのか私の身体も温かくなってきたかも。このまま眠ってしまうのも有り?なんて現実逃避気味にじっと動かずにいたら、拘束が緩んだ。
「ロト……その…ロトがあまりにもかわいくて、抑えられなかった。済まない」
ガンダロフ、耳どころか身体中茹で上がったみたいに熱い。ほかほかして暖かくて気持ち良い。離されたくないから、彼の首に腕を回して
「このまま抱っこしてて」
と耳元で囁いて頬ずりする。
「ぇ…」
私の反応が彼としては意外だったのか、戸惑いながらもその大きな手で背中をゆっくりと擦ってくれた。うふふっ、気持ちいい~。だから麒麟と小人さん、じっと見てても何も出ないよ?
ドキドキが大分治まってきたので、引き続き小人さんに聞いてみよう!
「小人さんは、大きな木の分身体ってことだよね、聖都の大きな木は、知り合い?他のところにも同じ様な大きな木ってあるの?」
小人さん、急に話を振られたからかちょっとびっくりしたようで、パチパチッと瞬きした。
『へぇ。知り合いっちゅうか、兄弟の様なもんで。わっちもそうでがすが、他の者が地中で無理せず息を潜めるように過ごしている中、真ん中のはずっと地表で頑張っている見上げた根性の持ち主でさぁ。それで…』
と、座布団から降りて正座し直して
『先程、おそらく前の愛し子様も懇願されておりやしたが、真ん中のにも力を贈っていただけやせんか?』
読了、ありがとうございます。
<(_ _)>
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