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転生魔神は陽気に歌う  作者: まちどり
37/227

37.アーリエルさん、歳幾つ?


「でもね」

 住環境だけであれば其処らの王侯貴族より立派な物を準備できるし

「誰かに利用されるのも利用するのも嫌だから。そういう駆け引きと無縁のところで生きたい」

 面倒な事は避けるに限る。

「ルゥさんにはかなりの量の力を分け与えたから、それで充分でしょう?私は人間社会には我関せずの方針だから、ルゥさんの好きにやったら良い」


「それでは、わたくしは聖女の役割からは逃れられないということでしょうか…」

とアーリエルさんは俯いてポツリと呟く。ルゥさんが悲しそうな申し訳なさそうな表情で彼女を見る。


「『聖女』の役割がどんなものかは解らないけど、もうこれ以上は辛くて嫌だと思うのであれば引退してここに住むとか?」


 私がさらっと言うと、ガンダロフが、えっ、ここに?!と驚きの顔で私を凝視した。いや、元々このおうちは私達の物ではないからね?


「あ、でもお世話する人、いないんだよね。私達がここを見つけた時には誰もいなかったし」

 狼さん達と馬さん達はいたけど。


「誰もいなかったというのは?」

とルゥさん。貴方方が排除したのではないのですよね?と少し疑いの目で見られている。そう疑われてもまぁ、しょうがないよねぇ。


 それにガンダロフが冷たく答える。

「言葉通り、誰もいなかった。大体、俺達が洞窟の地下に呼び出された時も、大人数の読経や叫び声が聞こえたのだが、気付けば誰もいなかった」


 ルゥさん達は怪訝そうに顔を顰めて聞いている。ガンダロフはその時のことを思い出したのか、頬をほんのり赤く染めて、ふぅっと息を吐いた。


「貴方方は何もしなかったと?」

と、ルゥさんが鋭く訊いてくる。眉間に皺が寄ってるなぁ。

「何を?突然移動させられて、何が出来ると?ロトは昏倒して意識が無かったのに?」

 ガンダロフも眉間に皺を寄せて言い返す。うん、確かに意識無かったよね。

「で、気付いたらべしょべしょ……」


 あ、心の声が漏れた?ガンダロフはビクッと私の方を向いて

「……済まなかった……本当に…その……」

と謝罪の言葉を口にすると両手で真っ赤になった顔を覆って俯いてしまった。


 彼の変わり様にルゥさん達は狐につままれたような顔になったので

「私がなかなか目を覚まさなかったから、私を抱き締めて号泣してたの」

と説明すると、アーリエルさんは、まあっ!と顔を赤らめて口を両手で押さえ、ルゥさんは生暖かい眼差しをガンダロフに向けた。うん、嘘は言ってない。


「で、話が逸れたけど、服とか装備がそのまま残っていて中身だけが消えた感じなのだけど、何故だかわかる?」

と訊いてみた。ルゥさん達に、私達がこちらに来た時のことを尋ねられても上手く答えられないから、ごまかしを兼ねて。


「そう、昨日の襲撃の時も、兵士を斬り伏せるとその兵士は塵となって消えたのだが、この世界では死体は残らないのか?」


 ガンダロフ、復活。え、何気に大活躍?見たかったなその勇姿!


「彼等は御使い様の部下達です」

 アーリエルさんが答える。

「わたくしも詳しくはわかりませんが、常ならぬ力を分け与えられた屈強な戦士なのだと聞いていました。その…彼等が倒されるのを見たのはあれが初めてで、わたくしも彼等があんな風に塵となってしまうなんて……でも、確かにわたくしの知っている方々で…人間でしたのに。……ただ…」


 話しているうちに、アーリエルさんの顔色が悪くなっていく。


「ただ…彼等もわたくしのように、もう長い間姿形が変わっていないのです。30年から50年程」


「えっ、アーリエルさん、歳幾つ?」

 小声だけど思わず訊いちゃった。ガンダロフが、それ訊く?って呆れて私のこと見てるけど、淑女レディに対して失礼とか言ってる場合じゃ無いでしょ、これ。


 ルゥさんがアーリエルさんに気遣わしい眼差しを向ける中、彼女は俯いたまま弱々しく答える。

「…16の時に紋様を刻まれて、そろそろ100年になります」


 116歳!本物の美魔女!!

「この世界の人って、長生きなんだねぇ。で、1年は365日?」


 聞けば前世の太陰暦とほぼ同じ。季節は春。で、私達が召喚された時は丁度日食が起こっていたのだとか。


「話を戻して、その兵士達もアーリエルさんと同じように紋様を刻まれたということ?」

 アーリエルさんとルゥさんを順に見て訊く。


「直接見たり聞いた訳でもありませんが、わたくしと同じく何らかの紋様を刻まれていたのかもしれません」

とアーリエルさんは震える声で答える。ううん、声だけじゃなく身体も小刻みに震えている。怖い、と思う。自身の死を目の当たりにした感じだよ、これ。


 ルゥさんがアーリエルさんの背に腕を回して「ずっと傍にいる」等々優しく声を掛けるのを目の前にして、う~ん、そろそろお昼ごはんの準備をしなきゃって思う私は、やはり薄情なんだなぁ。



 ※※※※※



 ♪おべんとおべんとうれしいなぁ~♪と食堂でマジックバッグのランチメニューを眺める。お弁当とはかけ離れたラインナップだけどね、朝食より気持ち豪華なメインディッシュって感じだ。朝と同じように昼食セット①②を『毒味』と称して捕虜二人に先に食べさせた。朝に引き続き好評だったらしい。ルゥさん達にも同じ物を玄武に持って行かせた。




「俺達も同じ物を出すか?」

とガンダロフが聞いてきた。

「迷ってる」

と答えると、彼は複雑そうな面持ちで、はぁ~と小さく息を吐く。


「このバッグの中の料理って、たぶんこの世界では最高水準の物だと思う。でも、好みじゃない。……ごめんね」

「いや、ロトが謝ることは無い。確かに朝食を食べた感じでは、ロトの作った料理の方が数段美味い」

とガンダロフはキリッとした表情で言い切った。私の料理が美味いって。嬉しいな。顔がニマニマしちゃう。


 では、聖獣達の分も用意したいからパパッと作ってしまおう。


 マジックバッグには食材が大量に入っている。そう、玉子もたくさんある!


 お馴染みとなった野菜スープに、練った小麦粉を一口大にちぎって入れ、これまた一口大に切ったベーコンを程良く焦げ目をつけてから入れる。ジャガイモっぽい芋を細切りにしてベーコンの油で炒めて、火が通ったら真ん中を空けて玉子を落とす。蓋をして黄身がとろとろのなるように加熱に気を付けて。味付けは塩と胡椒。硬いチーズはプロセスチーズ?少し削って粉にした物を、潰して粗い粉状の黒胡椒と一緒に半熟玉子に振りかける。バジルっぽい葉を瞬時に乾燥させてスープの上に砕きながら振りまいて完成!


「料理の種類に幅が無くて申し訳ないです…」

 まぁ、30分クッキングで私の技量では妥当かな。


「いや、毎回目の前で美味い料理が出来上がっていくのを信じられない思いで見ているのだが。作業自体は何の変哲も無いものだとわかっているし、何なら手順は昨日の俺達が作った夕食とそう変わらないのだが」


 素材の味を感じる素朴な味わいに、ベーコン、玉子等が加わるだけで、なんとなく豊かな感じがする。美味しい。ガンダロフもお代わりして満足したようで、作った甲斐がありました!


 読了、ありがとうございます。

 <(_ _)>

 更新、不定期です。書き上がって問題無ければその都度、更新していきます。

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