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転生魔神は陽気に歌う  作者: まちどり
28/227

28.筋肉は後で


 全てを力に変換して取り込む。手の平に触れたモノを私の意志で、力に変える。そして全ての障壁を取り払って、ガンダロフの元に行く!




 吸い込み始めて割と直ぐに周囲の色が薄くなる。フシュゥーーーーー……という音と共に段々と薄くなっておそらく外の景色が濃くなっていく。あ、ガンダロフ!剣ちゃんを抱いたまま黒い網に捕らわれて倒されてる。えっ、全裸?!いえ、履いてますよ!でも何で?!一体何をされたらパンツ一丁にされちゃうの?!胸の中に黒くて冷たくて重い物がずんずん溜まっていくようで、苦しい。


 力を吸って吸って、もうすぐ球の外殻が無くなる。

「そろそろ行くよ!」

 ヒュポンッと全てを吸い込むと、薄皮一枚で隔てられていた向こう側が現実となる。と同時に、みんな一斉に手筈てはず通りに動く。


 私は思いっきり地面?を蹴ってガンダロフの元へ行き、彼に絡まった黒い網を取り払い燃やす。彼は息も絶え絶えで、殴られたような痕が幾つもある。見るだけでも辛い。暖かい毛布で彼の身体を覆って抱き上げて階段の登り口付近に移動。ルゥさんとルゥさんの最愛の人を引き寄せて纏めて結界を展開!聖獣達も小さい姿のまま守りを固める。あ、鞘と剣帯回収、ありがとう!……敵一人寝てるのは、私がさっき蹴り倒したのかも?そしてここは見覚えがある。教会の地下だ。


 意識しなかったけど、私、もの凄い速さで動いたみたい。それとも敵方が呆気にとられていたのか。寝てた敵が上半身を起こして喚く。

「何だ?!何が起こったんだ?!」

 白い修道服の胸元には左の靴跡が薄暗い中でもはっきりくっきり見えた。




「ガンダロフ」

 私はざわめく気持ちを抑えて、優しく声を掛ける。胸が苦しい。泣きたい。横抱きに抱えたガンダロフの冷えた身体が徐々に温かくなる。と、身動みじろぎして薄く目を開けた。

「ガンダロフ!良かった、気が付いた。意識はしっかりしてる?」

 彼が私と目を合わせてくれたことへの嬉しさから、私は彼を抱きかかえる腕にぎゅっと力を込めた。

「…っ!ロト…無事で…」

「ガンダロフ。よく頑張ったね。剣ちゃんもありがとう。次に備えて休んでて」

 彼に握られたままだった剣ちゃんは、ほわんと弱く光って自分で鞘に収まった。


 ガンダロフの穏やかな夜の海のような黒い瞳から、ホロリホロリと涙が零れる。綺麗。でもそれだけ怖い思いをしたってことだよね。指でぬぐえないから、右、左と口で吸い取った。あぁ、この勢いでキスしたい。 彼はびっくりしたのか目を大きく見開いて、それから私の首に太い腕を回して抱きついた。震えている。私は彼と自分自身を落ち着かせるように

「もう、大丈夫。私はちゃんとここにいる」

と大きな背中を優しく叩くと、彼は抱きついたまま、うん、と頷いた。甘い花の香りと甘酸っぱい爽やかな香りが漂い始めて、身体の奥から熱いモノが溢れ出して全体をぐるぐると駆け巡る。彼の身体も随分暖かくなった。もう、大丈夫。そう実感したらまた嬉しくなって、私も改めて彼をぎゅっと抱き締めた。




「な、なな何だ、何なんだお前達は!普通逆じゃないのか!何でそんなごつい野郎をお姫様みたいに抱きかかえているんだ?!しかもそいつも当たり前のように抱きついて!」


「アーリィ!」

「ルゥ!」

「あぁ、やっと出られた!ずっと抱き締めたかった!アーリィ…」

「ルゥ、わたくしもずっとずっとお待ちしておりました……」

 ルゥさん、最愛の人に会えて良かったね。んで外野、五月蝿い。せっかくガンダロフを堪能してるのに。


そもそもお前達は男だろう?野郎同士でいちゃついて何が楽しいんだ?ホント訳がわからない!いい加減、めてくれよ気持ち悪い!」


 好き放題言ってくれてるけど、

「だから何?って感じだね。自分がモテないからってひがむの、めて欲しいなぁ」

「誰が僻むか!そんなの羨ましくもなんともない!」

 あ、声に出てたっぽい。相手にするつもりは無いので、無視。したいのだけど

「あんなのの言うこと気にしなくても良いからね、ガンダロフ。あれはモテない奴の僻みだから」

 ガンダロフが真っ赤になった顔を両手で覆って、縮こまっちゃってた。何気にかわいい。


「いや、その、は……降ろして欲しいのだが…」

 は……恥ずかしいんだ。うん、パンツ一丁は私も恥ずかしいかも。ここにいる人達にこの筋肉を見せつけたい!って気持ちもあるけど、まずはガンダロフの心身の安定が一番大事。


「もう離れても大丈夫?あまり動き回らないでね、結界張ってるし。あいつら直ぐ片付けるからルゥさん達と待ってて」

と顔を覆ったままの彼の指先に、チュッ、と軽く口づけを落とすと、ピクンと震えて、ひぁっ、と小さな声を洩らす。ん~~~~っ、かわいい!離したくない!ホント名残惜しいけど、寒くないように分厚い座布団を出して、その上にそっと降ろした。ついでに服も一揃い出して

「寒くないように、ね」


 見応えのある筋肉は後でゆっくりじっくり鑑賞させていただきます!


「お前達、絶対間違ってる!僕はそう言うのは認めないからな!!」

 灰色修道服の人に支えられながら、白修道服の人が喚く。自分の見解だけが正義で他は認めないって。こいつの言葉を聞いているとムカムカして気持ち悪くなってくる。吐きたくなる程に。……違う、これは、吸い込んだ魔神捕獲器の影響かな?あれは力に変換しても私には合わないんだ、きっと。


「誰かに認めてもらう必要はないでしょう?恋愛は許可制じゃない」


 私は修道服達の方を向いてそう言い放ちつつ、自分を空気清浄機に見立てた時と同様に左の手の平に気持ち悪いのを集めて凝縮する。

「ましてや、こんな気持ち悪いモノ作るような奴等にどう思われようと関係ないけど、邪魔するんだったら、潰す」


 さっきから喚いている白修道服の人は、更に顔を真っ赤にして私を人差し指で差して

「お、おまっ、お前っ!失礼にも程があるぞ!誰に向かって」

「知らない。こんな粗悪品、要らないから返す」

 凝縮、圧縮で熱を帯びて、橙色を通り越して白く小さな星のように輝くそれを持ったまま突っ込んで

「次はもっとマシなの持ってこい!」

と勢いを付けて白修道服の胸元の靴跡に押し込む。


 ドゥンッ!ビジャジャジャッッ!


 身体の中で暴発したっぽい。さすがは粗悪品。見たくもないスプラッタな姿に周囲から悲鳴が上がる。


「アスタロト!」

「ラクーシル様?!」

「御使い様?!」


 周囲に影響を及ぼさないように配慮したけど、見た目汚くてガンダロフが心配するから、返り血も纏めてポイッと返す。で、

「御使い様って、これが?」


 殺しても死ななさそうだったから手加減無しで力を返したのだけど、まさか受け止められなくて胸に穴開けるとか想定外ですが。傍にいた灰色修道服の人達、ヒェ~~ッ、と腰を抜かしながら後退あとずさりしていく。


「御使い様?あれは私の眷族ではなかったか?」

 ルゥさんのお知り合い?

「えぇ、ルゥが傍にいなくなると、いろいろと不便だろうからご自身が傍につくと仰って、わたくしの傍仕え、ラクーシルに乗り移ってしまわれたのです」

「そうか……。今がどのような状況になっているのかは後で詳しく訊く。だからこれからは私を傍に置いておくれ。あの者にはもう触れないで欲しい」

「っ、はいっ!ずっと一緒です、ルゥ」

 おぉう、辛気臭い空気が一気に薔薇色に変わる。凄いな、聖女様。でも、なんだか身体が辛そう。疲れてるのかな?




「アスタロト、相変わらず無茶をする」

 ガンダロフ、復活!まだお着替え途中だけど、顔色も良くなって一安心。

「無理はしてないよ。それにまだ終わってない」


 胸に穴を開けてスプラッタ状態の御使い様(らしい人)に声を掛ける。

「で、何時まで死んだふり?死体ごっこに付き合えとでも言うのかな?」


 ……動かない。隙を覗っている?この身体から別の場所に中身が移った気配は感じなかった。血が飛び散るのは嫌だからと白修道服の周りに事前に結界も張ってるから、逃れようもないのだけど、誰かに繋がってる?


「私ね、目が覚めたら既に魔神捕獲器の中だったの。その直前に見た夢みたいなのって、今考えたら精神攻撃ってやつだったかも」

 うん、やっぱり死んだふりに見える。徐々に傷が塞がってきてるし。

「見たというか聞いたというか、問答のようなモノ。……あなたで試してみる?」


 読了、ありがとうございます。

 <(_ _)>

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