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転生魔神は陽気に歌う  作者: まちどり
1/203

1.ポニーテールの可愛いお姉さんが

 数多ある作品の中から選んでいただきありがとうございます。

 新連載です。お手柔らかにお願いします。<(_ _)>

 5/22追記で注意喚起。これはBLです。15Rです。苦手な方はブラウザバック推奨です。

 目を瞑って仰向けに寝ていたような気がする。そんな状態で突然、布団も床も消えて奈落の底に強い力で引っ張られるような感覚にびっくりして、目が覚めた。


 ドクドクドクと自分の鼓動がうるさい。息も少し荒い。白寄りの灰色の雲?靄?まぁ雨は降らなそうだな、良かった。いや、良くない。なんで私こんな所で寝てるの?短い下草が生えたちょっとした空き地に大の字っていい度胸してるよね!と自分に突っ込みつつ周囲を探る。樹木が密集しているのか、薄暗くて見通し悪し。さわさわと木葉が擦れる音が、大勢の何かが一斉に呟いているよう。


 よいしょと身体を起こして直ぐに違和感を感じる。え、なにこれ何のコスプレ?なんでこんな御貴族様感満載の服着てるんだろう?立ち上がってコートやらベスト?シャツとか良い生地使ってるわぁ。ってペタペタ触ってたら、気が付いた。肉が無い。胸とお腹がスッキリと引き締まってる?


「あ~、ついに女を捨てたか、私」

 下、付いてるし。触らなくても感覚で判るし。


 何時眠ったのか覚えて無いけど、一日の疲れを癒やすべく湯舟に浸かって微睡んでたような。溺れるとか心臓止まったとかであればそれなりに苦しむんだろうから、その後天に召されたとしても記憶に残るんじゃないかな?知らんけど。


「ということは、夢か。夢だな。うん、夢だ」


 頭の中ではポニーテールの可愛いお姉さんが腰をフリフリしながら歌っている。行ってみたいと思った訳じゃないのだけど。

 これが明晰夢というものであれば、夢だと自覚したら割と直ぐに目が覚める。もう何度も経験済みだし、熊に追いかけられる夢はあまりにも繰り返し見て慣れちゃったのか、「夢だ」と自覚した途端に空飛んで逃げたり熊を背負い投げでぶっ飛ばしたりしてるけど。


「しかしだな、成人済子供二人いるありきたり平凡普通主婦が、何故に御貴族様風コス?」


 いや、ヅカ系か?今まで気にもしなかったけど、心の奥深くでものすごぉ~く憧れていたとか?鏡で全身を見たいかも。常識的に考えると、森の中に鏡は無いよね。だが!ここは!夢の中!!


「これ位の大きさの鏡が欲しいな」


 目線より上に両手の人差し指を突き出して四角くかたどってみる。横は肩幅より少し長く、そこから腰の辺りまで垂直に下ろしてから再び両指をくっつける。と、キラリーンと光って縁無し鏡が出現した。鏡はその場で浮いた状態で留まっている。


「おぉぅ、マジか。」

 本当に鏡が出てきたこともびっくりだけど、そこに映し出された姿が

「えっらい美形。ってか、誰?」


 澄み切った新月の星空のような黒眼、腰の少し上までのロングストレートは烏の濡れ羽色の東洋系美人さんが私を見ている。眉目秀麗とか容姿端麗って文字ではよく見るけど、3Dにしたらこんな感じなんだね~。うん、現在の自分自身の姿だと頭では理解してもね。「これが、私……」をリアルでやるとか、流石は異世界転生!


 いや、夢だけどね!


 で、驚きつつ鏡の中の私を眺めていると、なんとなく思い出した。こいつ、四半世紀以上も前に作ったキャラクターでないかい?まだ実家で学生してる時、弟がTRPGというのにハマり「何かキャラ作って」とお願いされて、じゃあ、と頑張って考えた現実には絶対存在しないよねっていう超絶格好良い無敵お兄さん。「別の所で頑張って欲しかった」って言われたけど結局採用したのかどうかは訊いてない。ちなみに名前は弟が付けたっけ。


『アスタロト』


 ビジュアルがそれっぽいとか。確かにその辺にあったゲーム雑誌を参照したけど、それ、悪魔さんのお名前では?


 相変わらずサワサワと葉擦れる音が不規則に聞こえているのに混じって、鏡の向こう側から何かが慎重に歩み寄る気配がする。二足歩行っぽい。いきなり襲われたら嫌だな。向こうの人?もまだ私の全体像は把握してないよね。鏡に触れてマジックミラーのように向こう側が見える状態にした。


 ガチムチマッチョな厳ついお兄さんが、鏡から5メートル程離れた所に『だるまさんがころんだ』状態で停止中。


 ぱっと見は歴戦の勇士。日に焼けた浅黒い肌、黒い短髪に黒い眼、彫像によくある堀が深めなお顔は驚きの表情で固まっている。マジックミラー仕様変更前は鏡の裏側が見えていたとすると、突然自分の姿が映し出されて、そりゃびっくりするよね。では、意思疎通を図るとしましょうか。


 マジックミラーを普通の透明なガラス板にゆっくりと変化させる。お互いの姿がしっかり確認出来る状態になったらガラス板を消失させる。


 こんな非現実的なことを想像しただけで苦も無く出来るって、すごいね夢の世界!マッチョ兄さんは更なる驚きと困惑でか、顔が赤らんできて口をはくはくさせている。両手に大根持ったちっちゃい妖精が周りでわらわらと踊ってそう。


 先ずは挨拶から。第一印象って大事よね。


「こんにちは。初めまして」

 必殺!スーパー勤務で培った『いらっしゃいませスマイル』!どやっ!


 少し距離あるけど、私の声はしっかり届いているはず。そしてマッチョ兄さんの顔色は更に赤くなり、ぁ、とか、ぇ、とか言葉にならない小さな声を発するも、左手でおもむろに口を覆ってしまった。無言。目は逸らさない。う~~~ん?人生初の反応だなぁ。どう対応すべきか悩む。けど、勇気を出して聞いてみよう。


「あの、お尋ねしたいのですが」


 マッチョ兄さんがビクッと跳ねる。でも無言。目は逸らさない。は、話し辛い~。


「……お身体の調子がよろしくないように見受けられますが、何か、腰を下ろして休めるものでもご用意いたしましょうか?」

 高熱出てるんじゃないの?ってくらい顔真っ赤なんだけど!あ、そういえば今の私って顔面偏差値が無茶苦茶高いんだった。ということは、あれは照れか?ものすごく照れているのか?難儀なことだねぇ。


 野っ原で立ち話っていうのも落ち着かないから、ソファセットを出してみよう。お値段以上の家具屋さんのCMを思い浮かべて気合を入れる。


 ドン!はい、出ました!L字形のライトグリーンのソファと木目調のローテーブルのセット、程良い堅さで座りやすそう。マッチョ兄さん、モゴモゴと何か言ってたのが呆然として沈黙。あり得ない、非常識、でも何故か出来る。便利だなぁ、これ。あ、お茶出して寛ぎながらお話するのもいいね。ローテーブルの上に急須と、湯飲み茶碗と茶托を2セット出して。

「落ち着いてお話ししましょう。こちらにお掛けいただいてもよろしいですか?」


 私、自分が怪しさしかないのは自覚してる。ので、実際どう行動するのかはマッチョ兄さんの自由だよ。


 さて、お茶を入れよう。私は先にソファに腰を下ろして、急須の蓋を開ける。いつもの玄米茶の茶葉と90℃のお湯を想像して気合を入れる。ほわぁ~と湯気が立ち上り急須がお湯で満たされる。……茶葉は?


「あれ?お湯だけ?よし、今度は茶葉だけ出そう。玄米茶のあの芳ばしい香りが今とてつもなく恋しい。って頑張って念じているのに出てこない。

 お客様にお出しするお茶は高級煎茶でなきゃってことかな?では、甘味のある八女茶で!

 ……出ない。えぇ~~~っ、何でぇ~~~?あっ、ここがナーロッパ異世界設定だとしたら、緑茶は無しか?では、香り高いアールグレイで!

 ……って出ないんだけど。あれか!私がミルクティー好きでアッサムばかり使っているからか!アッサムティーでも良いんだけど、そうなると絶対ミルク欲しくなるよね。あ、飲みたくなってきた。うん、頑張って出そう。

 ~~~~~っ!出ない。何で?」


 私が両手の平を見詰めた所で

「ぁ、あの……」

 マッチョ兄さんはいつの間にかソファに座っていた。


 

 読了、ありがとうございます<(_ _)>

 もう一人の方のお話です。というか、こちらが本編のつもりだったのですが(・_・;)

 マッチョ兄さんの方の話『聖者のお務め 

https://ncode.syosetu.com/n9170if/』が先行してますので、そちらを読んでしまうとネタバレしますので、ご注意くださいませ。

 更新はストックがある内は連日、無くなればその都度、出来れば週1を目標にしてます。

 お付き合いの程よろしくお願いします(^o^)

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