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屍少女は何になる  作者: 島原流星群
第一章 屍生・狩猟・変革
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閑話 その2 覚醒

 

「うーん......」


 怪しい。とても怪しい。紗綾香は絶対私に何か隠している。


 そう私こと、澤田美幸は確信しながらも確証を持てずにいた。


 絶対何か隠し事があるというのはわかる。しかし何を隠してるのかはわからない。それに隠していると確信してるのも結局心だけの話で実際は何も隠してなくて、私がただそう思い込んでるだけかもしれない。


「いや、でも。」


 実際こういう時の私の感は外れたことがない。だから紗綾香は何かを隠している。


「隠すってことは......私に対して後ろめたいか、巻き込みたくないってこと......つまり、彼氏が、できた......?」


 瞬間、私の肌が粟だった。吐き気がする。私は急いでトイレに向かい、胃の中にあるものを吐き出した。


「ぅ......ぶ.......ゲェッ......」


 頭の中が鈍くなっていく感触がある。


「嘘だ......嘘だ......」


 私は、否定する。


 私は紗綾香のことが......好きだ。友人としてではなく、性欲を伴った恋愛感情として。


 そして独占したい。紗綾香の視線を私以外に向けさせたくない。頭の中を私のことだけ考えさせていたい。私以外の全てを忘れさせて、私の事を彼女にとっての絶対のルールにしてしまいたい......


 気持ち悪いと言われるだろう。自覚はある、だが好きなものは好きなのだ。この気持ちは止めることができないのだ。


「......紗綾香......」


 私が紗綾香を好きになった事の起因は特にない。

 ただ、ずっと一緒にいたらいつの間にか好きになっていたのだ。


 だがそれを紗綾香に伝えたとしよう。その時紗綾香は私と疎遠にならないだろうか?紗綾香は私のこの感情を受け入れてくれないのではないだろうか?


 その恐れが私を踏み留める。私は意気地無しで、愚図な女だ。自分の気持ちを親友にすら伝えられない女だ。


「......紗綾香ぁ......」


 私がそう嘆いていると———


<適格者を確認......能力解放パッチを起動します。>


(え......?)


 頭の中に直接響く声が、聞こえた。


<行動ログを確認中......知識及び経験、願望から職業を決定、スキルを製作します。>

<職業が《調合師》になりました。>

<専用スキル〔調合知識〕〔魔力貯蔵〕〔等価交換〕〔錬金空間〕〔夢幻〕を取得します。>

<汎用スキル〔魔力操作 lv1〕〔魔力放出 lv1〕〔融合進化 lv1〕〔分離退化 lv1〕〔解析 lv1〕〔言語(日本) lv9〕〔言語(英語) lv4〕を取得します。>

<冒涜スキル 〔盲愛 lv1〕を取得します。>


<これにて起動シークエンスを終了します。お疲れ様でした。>


 その声が消えてもなお、私は呆然としたままだった。


「ちょっと美幸!ご飯できたんだけど?」

「あ、お母さん......はーい。」


 お母さんがご飯で呼んでくれなきゃ、私はそのままずっとぼーっとしたままだっただろう。ちなみにその日の夕食は唐揚げだった。


(あれは......いったいなんだったのだろう?)


 ご飯を食べてお風呂を済ませ勉強し終えた私はあの不可思議な現象に思いを馳せていた。


「幻聴......?それとも夢......?」


 頬をつねってみるが痛い。痛みを感じる夢もあると言うが、これは恐らくそうではない。そもそも夢ならば夢かどうか疑うことすらできない筈だ。


「てことは現実か......」


 私は悩む。さっき聞こえた声を現実として捉えるのなら、私にはスキル、直訳だと技能が宿った、と言うことなのだろう。


 どうにかして確認できないものか、そう思うと水色の半透明のタブレットが出てきた。


 私はそれを手に取り、画面を眺める。


<名称:澤田 美幸(Miyuki Sawada)

 種族:[人間族]《調合師》


 Lv:1/99

 年齢:15

 体力 60/60

 魔力 15/15

 気力 50/50

 力:10

 硬:10

 知:30

 技:30

 信:5

 ステータスポイント:10


 専用スキル:〔調合知識〕〔魔力貯蔵〕〔等価交換〕〔錬金空間〕〔夢幻〕


 汎用スキル:〔魔力操作 lv1〕〔魔力放出 lv1〕〔融合進化 lv1〕〔分離退化 lv1〕〔解析 lv1〕〔言語(日本) lv9〕〔言語(英語) lv4〕


 称号:


 冒涜スキル:〔盲愛 lv1〕          >


 ......?これが私の能力、と言うことだろうか?


「色々あるなぁ......」


 大体のものはわからない。が、確か錬金というのは鉛を金の替えるとんでもない技術だった筈だ。


 しかし、本当にゲームの世界に来たみたいだ。ゲームと違うのはプレイヤーと操作キャラクターが一緒で、今が魔王とかがいない現実であるというところか。


 恐らくこういうタイプは用語を調べることができる筈だが、触ればいいのだろうか?


 そう思い、〔調合知識〕と書かれた文字をタップする。


<〔調合知識〕 調合系職業が保有する専用スキルの一つ。調合の際に辿るべき道筋を瞬時に理解する。ただし、作りたいものとそれに必要な材料がハッキリしていなければいけない。                       >


「ふわっ!?」


 一瞬で画面が変わり私は驚く。そして、文章を読むがいまいち理解できない。


「......というか、どうやって戻すんだろうこれ......?」


 タブレット端末を見ていると左上に←ボタンがあったためボタンを押す。すると先ほどの能力画面に戻った。


 そのまま私は色々なスキルを調べていった。


 〔魔力貯蔵〕魔力を限界量を超えて無制限に貯蓄できる。


「ふわあああ......!」


 私は胸のときめきを抑えられない。

 魔力が存在する。となるともしかしたら魔法も存在するかもしれない。魔法使いになれるかも?という期待は私をきらめかせた。


 私はウキウキしながら技能確認を進める。


 〔等価交換〕価値基準を理解しているものを交換することができる。


「んん......?」


 どういうことなのかさっぱりだ。しかしそれは今に始まったわけではないので取り敢えず置いておく。


 〔錬金空間〕調合系職業が持つスキル。錬金道具の揃った空間を内包する。


 〔錬金空間〕をアクティブ化しますか?

      YES/NO


「えっと......イエスを押せばいいのかな?」


 そのままYESの文字に触れる。


 その瞬間、私は世界から消えた。



 §



 ドスンッ!


「痛た......!?」


 気づけば、私は草原に座り込んでいた。


「うぅ......ここどこ......?」


 私は自分の部屋で技能の確認をしていた筈だ。だが今は草原にいる。これは一体どういうことなのか......?


 そして周りを見渡すと、そこには———




 ———一軒の、大きな洋館があった。

ステータスに魔力の項目がありますが、美幸ちゃんは流し目でしかもスキルに注視してたので気付くのが遅れました。

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