第十一話 日常
取り敢えずそのまま私は家に帰った。父はもう寝ており、私は物音をあまり立てないようにしながら部屋に入った。
「ふー、疲れた.......」
なかなか濃い一日だった。だが有意義でもあった。
そのまま私はもう一度タブレットを見る。
<聖典スキルの所有者が出現しました。本日世界基準時間0時に、大型アップデートを行います。
アップデート内容:①魔物の追加
②スキル及び職業の追加
③ダンジョンの追加
また、パッチ保有者の数が少ないという要望があったため、保有者を増加いたします。
サービス開始まではまだ時間がありますが、皆様どうぞお付き合いくださいませ。 >
これ、確実に私だよねぇ......そう思いながらミッション項目を開くと、予想通りに③が達成されていた。
私は③の報酬を受け取る。すると、新しいミッションが追加された。
<ダンジョンの一階を踏破せよ。
報酬 スキルポイント+5 >
<眷属を一名製造せよ。
報酬 調合手引き書>
<ランクを【E】以上に上げよ。
報酬 神術、信仰術入門書 受け取り可>
<二度進化せよ。
報酬 汎用スキル〔身体強化〕取得 >
この四つが追加されていた。
これらに新たにナンバリングするとして、私は③の報酬を受け取る。ちょうど欲しかったものだ。
そして私の目の前に、報酬の神術、信仰術入門書と書いてある冊子が出現した。
「......でも......」
眠い。今は早く眠ってしまいたい。
(あ......制服......破られてたっけ......)
まあでもいざとなれば光変化でどうにかしよう。そう思いつつ私は眠った。
§
そして月曜日。
「おっはよ〜紗綾香。」
「おはよう美幸。」
学校で私と美幸は挨拶する。美幸の顔を見れるだけで私は幸せだ。
「ん〜どうしたの?私の顔を見ながらニマニマしてさ〜?」
「いや......別に何かあるわけじゃ......」
そう私は言い淀む。そのあとも普段と変わらない話をしつつ、朝のHRを迎えた。
「えー、みんな。最近この辺りで二人行方不明になった人がいるので、帰り道は警戒する様に。あと登校時間を短くします。具体的にはお昼までね。」
クラスからえーっという声が上がる。普段ならともかく、今はテスト前だ。ここで勉強の時間が減るのはかなり痛い。
しかし私は別のことを気にして目を逸らしていた。
これさ......絶対私がやったゴミ1とゴミ2だよね......
私は少しばかり後悔しながらも、これも日常かと思った。
そう、日常。私はこれを大事にするべきなのだ。ステータスがあっても、ゾンビになっても、この美幸のいる日常を私は大切にしなきゃいけない。
この日常を破壊する不届き者は、私がなんとかするぞっ!
「えー、そのですね。紗綾香さんにはこれから政府に所属していただき、『特殊地下構造物』の攻略をしていただければと思うのですが......」
......どうして、こんなことに......