表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気まぐれ少女どこへ行く?  作者: 月見 瑠那
発見
97/98

ダン団長からお手紙着いた

遅くなりました。ぐおぉ〜!ルナさんやなんでここまで話をこじれさせたんじゃ!クラスメートとと和解させにくいんじゃ!!

院長は恐る恐る差し出された封筒を受け取り、ボク達が覗けないよう高い位置で開封する。クラスメートABCはじっとボクを見ている。高い紙なのか光が透けず、下から盗み見ることはできない。今まで真下から覗いたことがなかったから胸部の防具が厚いな、このひと。クラスメートABCはじっとボクを見ている。あの時あった人柄から考えると、きっと真面目で回りくどいないようなのだろう。苦笑いを浮かべたあと、その目は驚愕に見開かれた。クラスメートABCはじっとボクを見ている。何度も読み返したあと、居住まいを正した院長はボクをじっと見ているクラスメートABCに視線を向け、口を開いた。


「…ルナさんに用事があるのであれば部屋を貸しましょうか?」


いや手紙の内容確認しろや!!


「ほんと!?」

「え?いいんですか?」

「お願いします!!」


陸上競技ではスタートの合図から0.1秒以内に動いた場合フライングとなる。これは感覚器官が物事を感知し、脳へと伝達するために必要な時間が0.1秒であり、それよりも早く行動を始めることは理論上不可能だからだ。


彼女たちはそんな人体の限界すら突破したのかという速度で反応した。って…あれ?え?嘘でしょ院長?突然訪ねてきた誰かわかんないこの人たちと一緒にボクを密室に閉じ込めるつもりなの?ウソダヨネ?


3人がなんかコソコソと小声で相談するなか、錆び付いたロボットのようなカクカクした動きで院長を見上げる。すると院長は視線で謝ってきた…手紙の内容が衝撃的で、もう少し飲み込むまでに時間がかかるからその時間稼ぎをしたいってことだろう。そのために生贄がボクってことだね!って納得できるか!!


「いーやーでーすー!突然来た変な人たちと密室で会話なんて嫌です!酷いです!ボクが何をしたっていうのですか!!」

「花瓶」

「さ〜皆さん行きましょう!部屋たこっちです!」

「ルナ…」

「えぇ…」

「…ちゃんと後でごめんなさいするのよ?」


サーテナンノコトデショウカネ?ボク、掃除中二窓辺ニ置イテアッタ花瓶ナンテ倒シテナイヨ?


とぼけた顔をしながら早足で部屋を出ていくルナであった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


テキパキとした動きで足早に去っていくルナと、呆れた顔をしながら付いて行く来訪者の背中を見送ったあと、院長は一人物思いに耽る。内容はもちろん先程の手紙についてだ。


(時の流れは早いもので、ルナさんの大暴れからかなりの時間が過ぎ去りました。もうあの子達も今の生活に馴染み、ルナさんやイタドリ【前に出てきたハーフエルフの少女】、帰ってきた卒院生達のおかげで森での狩りや野菜の栽培など自給自足の目処が立ちました。食器や塩などもルナさんのスキルなどで調達でき、粘土や岩塩なども見つかったことで、独立した村としての基盤ができた今になって資金援助の申し出…一体彼女たちの狙いとは?)


ダンが送りつけてきた手紙にはオークがやっていた商館が完全に崩壊した上に街のど真ん中に出現した大型の魔物の目撃情報、大旦那の逃亡、従業員の約半数の失踪、残った従業員たちの虚偽情報による操作の混乱、違法奴隷の追跡と保護などなどの理由によって孤児院の支援まで手が回らず遅くなってしまったと書いてあった。しょんぼりしている文章越しにダンが見えた。


それはさておき問題はこの資金援助を受けるべきか否かだ。


貰わなくてもしばらくは生活に困ることはない。ルナ達の努力により生活の基盤はすでに出来上がりつつある。たまにやってくる親切な冒険者三人娘に、解体した動物の素材や森で採取した薬草などを買い取ってもらい現金もそこそこ稼いでいる。ハーフエルフという森のエキスパートや、ブラックな環境で長らく働いてきた万能メイド達というこの世界に詳しい者たちに、ルナ、ベルといったイレギュラーから異世界の馬鹿みたいに進んだ知識が伝えられ、とてつもない化学反応が起こった。そして生まれた知識をスポンジのように吸収し、定着させた子供たちの狩の腕前、植物の生産能力はこの世界の専門家たちを遥かに超える。お察しの通り稼ぎはものすごいことに!なってるはずもなく、経済学なんかも身に着けた彼ら彼女らには死角がない。きちんと値崩れしないか?厄介な人たちに絡まれないか?そんなことを考えきちんと調整しながら商品を市場に流している。故にあまり多くはないのだが、現状維持という観点においては問題ない額は稼げている。


そんなこんなで必要ないが、ここで受け取らなかった場合当然ながら角が立つ。またなぜ今まで悪徳業者によって借金をつまされていた貧乏孤児院が急に裕福になったのか?なんか悪いことをしたのでは?という疑いをかけられる可能性もある。むしろそれがねらいで、適当な疑いをかけて押し入ってくるための口実なのかもしれない。もしそうだった場合狙いは…


院生の頭に浮かぶのは笑顔の子どもたちに囲まれながら苦笑いを浮かべる一匹の猫。彼女の笑顔を守るための最適な選択肢はなにか、ルナを生贄に差し出し得た時間を有効活用し、思考の沼へと沈んでいった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「ううぅ…」

「団長?どうしましたか?」

「…いろんな悪事を一気に暴いたじゃん?」

「はい」

「補填で色んな所にお金ばらまいたじゃん?」

「はい」

「倉庫に行ったらほぼ空だった…」

「…はい…ぎりぎり足りるとわかったときは安堵しましたが、今後の騎士団の運営を考えると頭の痛い問題です…」

「…1箇所まだ補填していないところがある」

「ふぁ!?なっなんですって!!それどこですか!!」

「…違法奴隷を長年出してしまい、ひもじい思いをさせた孤児院」

「は?真っ先に補填すべき場所じゃないですか!!」

「だって子供を愛する院長先生だよ?金やるから許せとかどんな外道よ!!だから売られてしまった子供たちを保護してその子達を連れて謝りに行く予定だったんだけど…」

「だけど?」

「男の子たちは…いや青年達全員の生存が確認できた」

「え?マジ?」

「マジ。ってか捜査担当じゃなかったから知らないのか。あの蒸発した商人?相当な怠け者だったらしく倒壊した商館以外で商売をしていなかったらしくてさ?買い手も買って村一つ二つまたげば気づかれないだろうとか思ってたらしくみんな近場にいたんだよね…」

「…うる方も売る方だけど買う方も馬鹿だわね…」

「…まぁ類は友を呼ぶっても言うし…長年気づかれなかったから学習したとも言われたよ…わたしの失態を反省するのは後にして問題は女の子たちだよ」

「…そういうことですか…」

「そう一人も見つからなかったの」

「…うそ…ですよね?」

「本当だよ、一人も見つからなかった。子供たちを売っていたやつに話を聞いたけど、売り飛ばしたことがないと言われて書類も残っていなかった」

「想像していたよりももっと悪いじゃないの…」


「…今、どこでどんな苦しい生活をしているのか?

(※孤児院で可愛い後輩たちや大好きな院長とキャッキャウフフと楽しく暮らしております)心にどれだけ大きな傷を追っているのか?(※確かに傷はありますが、純粋無垢な子どもたちとの交流やバグキャラたちのさりげない治療でかなり回復。むしろ希望に満ち溢れた幸せな生活を送っています)それを思うと心が苦しくなる…(※彼女たちは王侯貴族ですら滅多に食べれないレベルの美味しいご飯を3食食べ、子どもたちと遊び、寝るという生活を送っています。)」


「…」

「しかし、人員も資金も激減している今、いつまでも一つのことにそれらをつぎ込むことは難しい。故に手紙を送ったのだが…」

「…あの人なら無茶な要求はしてきませんよ」

「それがわかってるからなお苦しい。初めて怒られて喜ぶ人の気持ちがわかったよ…」

「「…」」

「はぁ…」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ