勇者達
王城にて
「はっ!とっ!そりゃ!」
まだ誰も起きていない早朝の訓練場に短い呼吸音が響く。
「相も変わらず気の抜ける掛け声だね、、、」
そんなセリフが塀の上から降ってくる。
「なによ。なんか文句でもあんの??」
声の主、伊藤加穂留が上を見上げると
「いや文句なんてないよ。今日も朝練?」
彼女の親友の清村夏がいた。
「もちろん!なんたって私は強くなんなくちゃいけないからね!」
次は守れるように。夏にはその小さなつぶやきが届いていた。悲壮で後悔の念に包まれつつも強い意志を感じさせる言葉が。
「、、、バーカ、、、」
「へ?」
思わぬ返しにめがてんになる加穂留。
「なぁーに一人で抱え込んでんのよ?“私達”でしょ?」
とそっぽうを向きながら言う夏。恥ずかしいのか耳までゆでだこのように真っ赤にしている。
「あっ、、、フフフ、、、そうだね!」
そんなかわいらしい親友を見て思はず笑みがこぼれる。
「っちょ!なに笑ってんのよ!」
「え~だってかわいいんだもん!」
「かっかわかわかわななななななに言ってんの!」
「うぅ~ん?事実?」
(あっからかいすぎたかな?なんか頭からプシューって湯気出てる。)
夏は背が高く、運動が得意なためどちらかと言えばかっこいいという雰囲気だ。そのためかわいいと言われ慣れておらず、そう言われるとすぐに真っ赤になるのだ。
「ところでなっちゃん?私になんか用事でもあったの?」
オーバーヒートしている親友を救うために話題をそらす。
「あっそっそうよ!、、、遠征の日取りが決まったわ。」
「っ!これで!」
「ルナを探しに行ける、、、んだけど、、、」
「なっなによ!なんかあんの!?」
「ルナがいなくなってもう一週間じゃん?今まで戻ってないことを考えると、、、ルナは戻ってくる気がないんじゃないかなって思って。」
死んでるのではないか。のどまで出かかったその一言を飲み混む。
「、、、そうかもしれない、、、でも会ってごめんって謝りたい!無事であることを確認したい!もしものときは、、、弔ってあげたい。これ以上その死がけがされないように。」
夏はそののまっすぐな瞳にたじろぐ。
「ハハハ!やっぱ強いね。香里奈は。」
「なっちゃんには負けるけどね?」
「フフフ」「ハハハ」
「イトウ様~!シムラ様~!」
「あ!メイドさんが呼んでる!」
「行かなきゃ、、、ってずいぶん馴染んだもんだね、、、初期はあんなに恐縮しっぱなしだったのに、、、」
「人は慣れる生き物だからね?」
「よっと!」
「ちょっ!そんなところから飛び降りたらスカートの中見えちゃう!」
「え~別にいいじゃん!香里奈しかいないんだしさ?」
「それでも乙女としての恥じらいを持つべきだよ!」
「香里奈、、、オカン?」
「、、、」
「え、、あ、、、ちょっと落ち着こうか?なんでこっちに向けて剣かまえてるの?練習用の的あっちだよね?その左手の魔力は何?」
「、、、」
「、、、」
「おかんてゆーな!!!!!」
「きゃーゆるしてーきゃーゆるしてー」
「まーてー」
「待てと言われて待つやつおらんと思うで?ほなさいなら!」
「あ!塀の上はずるい!おりてこーい!」
「だが断る!」(シャキーン!ポーズ付き)
「まーてー!」
「ヤッ!」(プイッ)
「ヤッ、、、って、、、フフフ」
「シムラ様~!イトウ様~!」
「これ以上待たせるのもあれだし行こうか?」
「そうだね!」
二人は仲良く、朝の訓練場を駆け抜けていくのだった。
香里奈 「あっでもおかんって言った落とし前はつけてもらうからね!」(ニッコリ)
夏 「ひえ~」




