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気まぐれ少女どこへ行く?  作者: 月見 瑠那
絶望の奈落
39/98

決戦 その6 月見瑠那

「、、、オーイ、、、」


「、、、なに?」


 寂しげな弱々しい声が目の前のラスボスから聞こえた気がしたけど気のせいだよね?


「ムシハヤメテ?カナシイカラ、、、」


「、、、」


 そんな目で見ないでほしい、、、倒しづらいから、、、


「やまたのおろちよ!さいしゅうけっせんといこうではないか!」


「グワァーハハハハー!オマエゴトキ!ヒトノミニシテクレルハ!」


 ほっよかった。元気になってくれた。敵が元気になってよかったってのもおかしな話だけどさ?


 私は自分の内側に意識を向ける。閉じた目蓋の裏に浮かび上がる無数のスキルの数々。神様からもらった私の力。


(フフフ、、、〈暴食の罪(ぜんぶたべちゃえ)〉)


ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー


 壁に叩きつけられる直前、ベルゼバブはルナと分離した。そして魔力で身体を構築。その身体と引き換えになんとか主を守ることに成功した。


 精神生命体である悪魔であるベルゼバブには、物理攻撃は通用せず魔力の身体を失ったところでまた創ればいいだけの話であり、ダメージを受けることはない。しかし、ベルゼバブは主との会話すら出来ないほどに弱ってしまった。それはなぜか。


 精神生命体であるが故に、力はその時の精神状態に深く依存するからである。この時のベルゼバブはひどく落ち込んでいた。調子に乗ったために格下の攻撃をくらい、あっさり悪魔逹の住まう精神世界へと送り返されてしまったからだ。


 格下に負けたことも悔しいが、それ以上に主から不要と判断されるのが怖かった。悪魔なのに恐怖を覚えた。会って数日だというのに捨てられるのが怖かった。


 弱りきったベルゼバブ。うずくまっていると突然主の声が響いた。その後絶え間なく響き続ける主の声。恐怖をおし殺し、なけなしの勇気を振り絞って主の声に耳を傾けると、聞こえて来たのは叱責ではなく自分を心配する言葉だった。


(ベルゼバブ!いきてる?へんじして!!)


(、、、ごしゅじん、、、さま?)


(ベルゼバブ!!よかった~、、、へんじがないからあせったよ、、、よかった~)


 よかった?わたしがいきてて?やくたたずのわたしをしんぱいした?よわいのに?


(ベルゼバブ!さっさとおろちをたおすよ?スキルをくらっちゃえ!)


ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー


〈暴食の罪〉

 喰らったものの力を自分の物とする。スキルを喰らえば〈悪魔 ベルゼバブ〉の力が増す。


ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー


(、、、すて、、、ないの?)


(ん?すてるってなんのはなあぁぁし?あぶな!これがしたからだったらあぶなかったよ!はなししてるひまがないからはやくじゅんびして!げんきになって!)


 、、、ああ、、、なんて優しんだろう?失敗したことを攻めず、また頼ってくれる。必要としてくれる。ベルゼバブは歓喜する。


(じゅんびできました!)


 今度こそ期待を裏切るわけにはいかない。


(フフフ、、、〈暴食の罪(ぜんぶたべちゃえ)〉)


ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー


 1つまた1つとスキルが消えていく。スキルの数に反比例する様にベルゼバブの力が上がっていく。ぐんぐん上昇する。


 私の膨らんでいく魔力に恐怖を覚えたのか、ヤマタノオロチが激しい攻撃を仕掛けてくるが私はちょこまかと避ける。


ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー


〈状態適応〉 どんな状態、状況にも適応す

       る。


ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー


ー削除ー


ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー


 うおっとあぶねぇ~かすった。こえ~!でも楽しい!


「あぶねーじゃねーか!」


 文句を言ってみる。テンプレ的には返事は攻撃か?


「、、、クチョウカワッタ?」


 は?なにいって、、、否定しかけたところで気が付く。俺の口調が変わってる?いつの間に、、、いや、、、戻ってる?


 、、、そうだ、、、そうだよ!そうなんだよ!!


「ははは、、、ありがとな?そうだよ!おれのなまえはルナ・ティーグルなんかじゃない、、、おれは、、、月見瑠那だ!」


 〈暴食の神〉


 俺の覚醒と共に悪魔のあぎとが開いた。

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