空には 初春 (2篇)
掲載日:2020/02/03
空には
空には優しさが満ちていた
喧騒がかき消され
たゆとう心 潤んだ瞳が見た空は
どこへ向かっているのか
真っ白な直線を引く飛行機雲
空には陰り一つなかった
それがごく当然のように
完璧に真っ青な傷ひとつない塗りたての聖堂には
飛行機雲の崩れた線が
天使の羽のように舞っていた
空には声があった
叫びではない
ささやきでもない
呟きでもない
空っぽな心を満たす
滲み透る暖かな声
誰?あなたは!
私の魂を引き寄せて輝かせてくれるのは
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初春
うきうきと心弾むこの初春
目を閉じ
耳を澄まし
待っている
かすかにはじけて花びらが開く音を
枯れ枝に潜む逞しい命
誰も想像さえできない
目を閉じ
耳を澄まし
待っている
硬い皮を破って吹き出す命の音を
誰もまだまどろみの中
幾つもの夢が膨らみ消えていく早朝
空は日の出を待つ
紅に染まり
待っている
花嫁のように




