第50話 錬金術師
今の戦闘で2枚目の“弓使い”の職業ボードがカンストした。
弓使い Lv99
【職業スキル】
弓術 Rank D → B
獲得“スキル” 千里眼(Ⅰ)×2
俺はジョシュア達の所に向かった。ミシェルに抱きかかえられているエルの前で膝をついて様子を見る。瀕死の重傷だ‥‥‥このままでは死んでしまう。
「また、助けてもらいましたね‥‥‥‥‥弟はもう助からないかもしれないけど」
悲しい表情で弟を見ているミシェルを横目に俺は弟の手を握った。内臓がひどく損傷しているようだ。
「“完全なる治癒”」
エルの体が光に包まれる。ミシェルやジョシュア達が驚愕の表情を浮かべた。蒼白だった顔に血の気が戻り、体のいたる所にある傷が治っていく。
ミシェルは傷が無くなった弟を抱きかかえながら言葉を失っていた。
「なんだコレは、どうして傷が治ったんだ!?」
ジョシュアが困惑したように叫んだ。周りにいた軍人も信じられない様子でこちらを見ている。“厄災の日”以来、世界各地で特殊な力に目覚め魔法や異能を使う人間は少しずつ確認されているらしいが、実際に見るのは初めてだろう‥‥‥。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「う‥‥‥うう‥‥」
「エル!」
「どうして‥‥‥‥体が‥‥‥‥!?」
エルが自分の体を見渡して、怪我が治っていることに違和感を覚えながらミシェルの顔を不思議そうに見上げた。
「ゴジョーさんが助けてくれたの、あなたの体も治してくれたのよ!!」
エルが振り返ると、そこには巨人を操り自分たちを助けてくれた人が立っている。なによりエル自身が追い出した人物だ。
困惑した表情でエルは話しかける。
「どうして助けてくれたんですか? 僕は‥‥‥‥‥あなたを‥‥‥‥」
エルの言葉はそこで途切れた‥‥‥その後に続く言葉が見つからない。
「別に、人を助けるのに理由なんていらないだろ? 困ってる奴がいるなら助ける。当たり前のことをしただけだ。何も気にする必要はない‥‥‥」
◇◇◇◇◇◇◇◇
横からジョシュアが会話に入ってきた。
「な、なあ! あんたを追い出したのは俺だ。そのことは謝る! この辺りはまだ巨人も多い、俺たちと一緒にいてくれないか? あんたの力が必要なんだ、頼む!!」
「それはできない」
俺の言葉を聞いてジョシュアは絶望した表情を見せた。
「勘違いしないでくれ、別に見捨てようってわけじゃない。この辺りの巨人は狩りつくすつもりだ。それが終わったらタイタンを倒しに行く! だから一緒には居られないんだ」
「タイタン?」
こいつ本気か? みたいな顔をされたが俺は至って本気だ。もう迷いは無い。タイタンを倒すには力をつけるしかない! それには‥‥‥‥‥
俺は怪我人を一通り治して、近くの避難所まで送っていった。一緒にいてほしいと言うジョシュアの頼みは断って目の前で空中に浮きあがり、そのまま飛び去る。残された人たちは全員信じられないという表情をして口が開いたままになっているが、気にしている場合じゃない。ここから先はレベリング! ひたすらレベリングだ!!
俺は亜空間から職業ボードを取り出した。
「今、使うことができるSSRの職業ボードはこれだけだ‥‥‥‥こいつに運命を託すしかない!」
俺の手の中にあるのは“錬金術師”の職業ボードだった‥‥‥‥。
錬金術師の職業ボードが使えるようになった切っ掛けは恐らく賢者と鍛冶職人がカンストしたからだろう‥‥‥
俺はその後、百体以上の巨人を葬ったが、SSRの錬金術師はなかなかレベルが上がらなかった。やはり上位職業のレベリングは時間がかかるな‥‥‥‥。
錬金術師の職業スキルは予想通り“錬金術”だった。
「まあ、そりゃそうだろうな‥‥‥ランクが低いうちは特に何もできないみたいだ」
その後、3日をかけて千体以上の巨人を倒した‥‥‥そしてついに
錬金術師 Lv99
HP 2290/2290 → 2422/2422
MP ∞/∞
筋力 1144 → 1182
防御 718 → 748
魔防 1075 → 1103
敏捷 1389 → 1409
器用 1249 → 1520
知力 1910 → 2027
幸運 770 → 921
【職業スキル】
魔術 Rank SSS 称号“魔術王”
回復術 Rank SS
複合魔術 Rank B
マッピング Rank C
魔道図書 Rank D
剣術 Rank C
武術 Rank D
生成術 Rank C
解体 Rank C
強奪 Rank D
弓術 Rank B
テイム Rank SSS 称号“魔を統べる者”
錬金術 Rank F → D
獲得“スキル” 加護(Ⅰ)× 2
ステータスの伸びはMPを除き、合計で700ほど上がっている。今までの職業では最も高い、獲得できるスキルは“加護”か‥‥‥‥戦闘職ではないのが、よく分かるな‥‥‥。
俺はさっそくランクの上がった“錬金術”を試してみることにした。
「まずはコレから‥‥‥」
俺は青黒い異形の大地の前にいた。日本にもあった異世界の大地だ。日本では確か“魔鉱石”と呼ばれていたな‥‥‥ここから金属を取り出し精製した物を“魔鋼鉄”つまりミスリルだが、そう呼んでいたはずだ。
“錬金術”は物質に変化を起こす技だが、何にでも変えられるわけではない。
特定の物質から、それに近い物質に変化させることができる。例えば“魔鉱石”から“魔鋼鉄”への変化などだ。
「土魔法・岩石操作!」
青黒い大地がガタガタと音を立てて形を変えていく、なるべく大きく丸くすることをイメージしながら少しずつ形を作っていく。
直径10メートルほどの青黒い岩の塊が出来上がる、いままで使っていた巨人用の岩より二回りほどデカイものだ。その岩に向かって手をかざす。
「錬金!!」
岩の下に巨大な魔法陣が現れる。魔法陣から光が溢れ青黒い岩を包み込む‥‥‥光が収まった時、鈍く光る銀色の岩が現れる。さっそく鑑定してみると‥‥‥‥
ミスリル(低純度) R
成功だ‥‥‥低純度とは言え“ミスリル”を作り出せるのは大きい!
その後も色々試したが成功する場合もあれば失敗する場合もあった。やっぱり成功率があるようだ‥‥‥まだDランクなので成功率は高くないだろうが、運の値がものすごく高いのでDランクにしては、かなり高い成功率を叩きだしていると思う。
一回でもかなりの魔力を消費するようだが、“無限魔力”がある俺には関係ない。
タイタンを倒すための“最強の武器”はこれで手に入ったはずだ‥‥‥‥待ってろよタイタン、今から行く!!




