第35話 ”SSS"の壁
各所で甚大な被害を出している4体の魔物を倒すため高速で飛行し、アンデッド系に最も効果のある火魔法を中心に撃ち出すことにした。
「雷炎!」
「炎竜!!」
次々と火魔法を放ちドラゴンゾンビを火だるまにしていく、HPを一度ゼロにしても復活するが二度目の復活は無かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「あれが魔法か‥‥‥‥」
自分たちが歯が立たなかった化物を、いとも簡単に倒している魔法使いに自衛隊員は感嘆の声を漏らしていた。
魔法使いがいることは一般人はともかく、自衛隊員の間では公然の事実だった。なにしろ、その一人のために法案を可決したほどだ。
だが実際に目の前で見る魔法は、想像を絶するものだった。
この日から自衛隊員の間で五条将門のことを“爆炎の魔術師”と呼ぶものが増えていった‥‥‥。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「よしっ! これで終わりだ」
最後のドラゴンゾンビを焼き尽くしたところでステータスを確認してみる。
僧侶 Lv99
HP 1259/1259 → 1337/1337
MP ∞/∞
筋力 483 → 512
防御 328 → 348
魔防 737 → 765
敏捷 365 → 381
器用 667 → 682
知力 1498 → 1560
幸運 505 → 534
【職業スキル】
魔術 Rank SSS 称号“魔術王”
回復術 Rank SS
複合魔術 Rank B
獲得“魔法” 回復魔法(Ⅰ)× 2
「ああーっ! ダメか‥‥‥」
僧侶のレベルはカンストしていたが、職業スキルのランクは“SS"のまま上がらなかった。僧侶の職業ボードは7枚しかない、今回の物が最後のボードだったので、もう“SSS”には上がらないと言うことだ。
成長には職業によって差があるため感覚的に言えば職業ボードが8~10枚はないと“SSS”まで上がらないように感じる。
「そう考えると”SSS“に達する職業ボードは数種類しかないことになるな‥‥‥」
まあ、仕方ないかと思いながら怪我人の救助に向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
夜が明け始め、うっすらと空が白んできたころ仮設の首相官邸は大騒ぎになっていた。この建物は首相を含め、ほとんどの閣僚の宿泊施設を兼ねていたからだ。
今は化物の襲撃で大部分が倒壊している。何人かは救助されたが、まだ総理が見つかっていない。
必死の捜索で、見つけることができた時、息こそあるが到底助からないであろうことは誰の目にも明らかだった。
「総理!‥‥‥すぐに病院へ!!」
救助隊が救急車に運ぼうとするのを俺は止めた。
「ちょっと待って! 俺が治すよ‥‥‥こっちに持ってきて!」
救助隊員が驚いた表情でこちらを見ていると、後ろから怒声が聞こえてくる。
「何を言っているんだ! 生死にかかわるんだぞ。さっさとどかんか」
政治家の偉そうな爺さんが何か言ってるようだが、無視して回復魔法を使った。
手から光が溢れ、全身を包む総理の下半身はほとんど潰れていたが、まるでそんな事実は無いかのように全てが元通りになった。
回復術のランクが“SS”でなかったら危なかったかもしれない。
「何だ‥‥‥これは‥‥‥これが魔法というものなのか‥‥‥‥」
「だが魔法は法律で禁止されてるハズだぞ! 許可は出てないだろう!!」
「違法行為だ!!」
自衛隊の偉そうなのも寝言を言い始めている。
俺は気にせず怪我をした人やドラゴンゾンビのブレスを受けて猛毒の症状になった人を助けて回ることにした。
俺が怪我を治していると、多くの自衛隊員が手伝ってくれる。怪我人や病人を手分けして運んでくれたおかげで効率的に治すことができた。
多くの人が亡くなったが、これ以上犠牲者が出ないように最善を尽くせたのは良かったと思う。そんな中‥‥‥
「動くな!!」
何人かの自衛隊員から冷たい銃口を向けられていた。




